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【25周年企画】KnKと私(15) -カンボジア プロジェクト・コーディネーター  福神 遥-

国境なき子どもたち設立25周年を記念して、関係者のインタビューを連載します。

KnKと私(15) -カンボジア プロジェクト・コーディネーター 福神 遥-

家族や友だちに優しくして、一緒に楽しく過ごす、知らない誰かに親切にして、笑顔で接する、そういう小さなことが積み重なり、素敵な社会になると信じています。

– 前職とKnK入職のきっかけ、理由を教えてください。

以前は、掘削が専門の建設会社で働いていました。渋谷ヒカリエ建設や石垣島での温泉掘削現場で働いた後、ケニアとタンザニアに赴任し、水井戸掘削のプロジェクトに従事したり、後方支援のような業務をしていました。アフリカでの生活が5年目になった時、他の地域で他の仕事をしてみたくなり、ちょうどヨルダン勤務の職員を募集していたKnKに応募しました。以前にシリアとヨルダンを何度か旅したことがあったのですが、優しく、全力でもてなしてくれるシリアやヨルダンの方たちと一緒に働きたい、ヨルダンで働いてみたいと思ったのが、きっかけです。

ヨルダン:ザアタリ難民キャンプの生徒たちと(2017)

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– 通常、どのような業務を行っていますか?

KnKに入ってから、ヨルダン、パレスチナ、カンボジアで働いてきました。国によって少しずつ業務は違うのですが、事業の申請、進捗管理、予算・会計管理、現地スタッフの労務、本部との調整や報告、広報などの事務的なことから、現地のパートナー機関や団体との調整、事業のモニタリングなど、現場に出向くことまで、広く浅く仕事をしています。現在カンボジアでは、会計業務と、コミュニティ・ラーニング・センター(CLC)の建設担当として、カンボジア人のエンジニアと一緒に建設現場に行き、工事の進捗や品質を管理しています。

カンボジア:コミュニティ・ラーニング・センターの美容コースで職業訓練を受けている若者たちと(2022)

カンボジア:教育省の方が建設中のコミュニティ・ラーニング・センターを視察に来た際(2022)

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– 業務をする上で大切にしていることは何ですか?

1つは、とても小さなことかも知れませんが、教室やセンターを綺麗にし、笑顔で挨拶して、KnKの活動に参加する若者、子ども、学校教員、保護者の方たちが安心して、楽しみながら活動に参加できる環境を作ることを大切にしています。
また、特に海外で働く中で、一緒に働く現地のスタッフや教育省、講師などパートナー団体の方たちと協議をするときは、自分の意見もはっきり言いつつ、相手の意見も聞いて、その時の正解をみんなで探すことを心がけています。スタッフをまとめる立場としては、先頭に立って引っ張る時、真ん中で一緒に動く時、後ろからただ見守る時、という、自分の立ち位置のようなものは気にして仕事をするようにしています。

パレスチナ:子ども支援センターのスタッフや子どもたちと。後列右から二人目(2021)

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– これまで最も困難だったエピソードを教えてください。

2020年はパレスチナにいたのですが、コロナ禍での事業運営は、ロックダウンや移動制限が起こる度に、当時活動していた子ども支援センターや学校は休校になり、スタッフと事務所で顔を合わせて働くこともできず、先が見えない状況が続きました。オンラインに切り替えられるものは切り替え、厳しいロックダウンで家からほぼ出られない生活の中で、スタッフとはよくオンラインミーティングをして、励まし合っていました。ロックダウンが明けた後も、夜間外出禁止令や移動制限、学校の休校などが度々起こり、その都度事業の予定を変更して、対応しなければならず、大変でした。

当時、ステイホームと言われる中で、事業対象校に通う生徒の家がイスラエル軍によって家屋破壊されることもあり、新型ウイルスの感染症と、イスラエルによる占領と、ものすごく考えさせられました時期でもありました。大変な状況の時に、一緒に対応し、励まし合ったスタッフは、私が何かトラブルを起こした時にも助けてくれる心強い存在です。

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– これまで最も嬉しかったエピソードを教えてください。

嬉しかったエピソードはいくつもありますが、コロナウイルスのロックダウンが明けて、パレスチナの子ども支援センターを半年ぶりに再開したとき、子どもたちが嬉しそうにセンターにやってきたときは本当に嬉しかったです。センター内にどういう感染対策をすればよいか、感染者が出た時にはどう対応するかなど、センターを管轄するジェリコ市役所と、センターのスタッフ、KnKのスタッフとは何度も協議をし、準備やシミュレーションをしてからの再開でした。

「ずっと家にいたけど、センターが再開して、学校が違う友だちともまた会えるようになって嬉しい」という声を聞き、スタッフたちと喜びました。
子どもセンターは、ジェリコ市の管轄下なのですが、私たちの事業で雇用した職員2名が、事業終了後にジェリコ市の職員として雇用され、引き続き子どもたちに活動を提供しています。遠足に出かけたり、イベントを開いたり、とても活発に活動している様子が垣間見えて、事業終了後にも活動が続いていることもとても嬉しく思っています。

 

パレスチナ:子ども支援センターにて(2019)

パレスチナ:子ども支援センターにて(2019)

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– 休みの日(OR仕事をしていない時)は何をして過ごしていますか?

お気に入りのお店で友人や常連さんたちと飲んだり、サッカーを見るのが楽しみになっています。

パレスチナでは、アラブの打楽器タブレを習っていました。海やプールに行ったり、街を散歩することもよくあり、パレスチナのスタッフとは、休日でもお茶をしたり旅行に行ったりしていました。友人の家を訪ねたり、自宅に友人を呼ぶ機会も多くあり、ゆっくり過ごすというよりは、賑やかな休日を過ごすことが多い気がします。

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– 今後、KnKの活動を通じてご自身が取り組みたいことを教えてください。

今後取り組みたいこととは少し違うのですが、パレスチナで活動していたときに出会った方の言葉で、「子どもたちの子ども時代を奪わない」という言葉がずっと残っています。子どもらしく幸せな子ども時代を過ごした一人の大人として、子どもたちが幸せに、楽しく、安全に過ごせる、少しの手伝いが出来ればいいなと思っています。

パレスチナ:子ども支援センターでは、子どもと一緒に遊ぶことも多くありました(2019)

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– KnKが各地の苦境にある子どもたちと共にあるためには、新たな仲間が必要です。彼らに向けたメッセージをお願いします。

家族や友だちに優しくして、一緒に楽しく過ごす、知らない誰かに親切にして、笑顔で接する、そういう小さなことが積み重なり、素敵な社会になると信じています。そして、その積み重ねや繋がりが、遠くの誰かにも繋がり、助けを必要としている人に届くこともあるかも知れないと思っています。私自身、大きなことはできませんが、そんな小さなことを日々繰り返しながら、これからも皆さんと、素敵な社会を作って行ければと思います。

認定NPO法人国境なき子どもたち(KnK)
カンボジア プロジェクト・コーディネーター
福神 遥

新たなマンスリーサポーター25名を募集

これからも教育機会を提供することで、各地の子どもたちが主体的に生き、自己決定ができる人生を歩めますよう、25周年を記念して新たなマンスリーサポーターを25名募集します。
(募集期間:2022/9/1~12/31)

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