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【25周年企画】KnKと私(5) -マネージング・ディレクター/FR 松浦 ちはる-

国境なき子どもたち設立25周年を記念して、関係者のインタビューを連載します。

KnKと私(5) -マネージング・ディレクター/FR 松浦 ちはる-

「自分は今、何のためにこの業務をしているのか」ということを忘れないよう気をつけています。

– 前職とKnK入職のきっかけ、理由を教えてください。

KnKに入職する前は、「国境なき医師団(MSF)日本」の映像班で、活動地から届いた映像を編集する手伝いをしていました。当時は、MSF日本オフィスの一角にKnKのデスクがあり、2~3人のスタッフが働いていました。私は学生の頃に国内の児童虐待や自立支援施設の青少年を取材した経験から、KnKが行っている子どもの保護や自立支援に強く関心を持ちました。何か役に立てればと思い「友情の5円玉キャンペーン」のPRビデオを企画編集したこともあります。
KnKがMSF日本のオフィスから移転した2003年に職員枠に空きがあり、正式に入職しました。

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– 通常、どのような業務を行っていますか?

入職当時はウェブサイトの編集を中心に、広報やイベント運営、ボランティア対応、海外から届いた会計書類の整理など、人手が少ない分何でもやっていました。
創設者のドミニクが事務局長を退任した2017年頃からファンドレイジング(FR)の責任者になり、また事務局運営を共同で担っています。事務局運営は子どもたちや職員の安全面から全体の資金管理、団体としての方針立てなど悩みの多い仕事ですが、大竹、清水と3人で日々切磋琢磨しながら取り組んでいます。また、広報・ファンドレイジングチームの一員として、チャリティイベントの運営やウェブサイトの編集なども続けています。

湘南国際マラソンのブースにて(2017)

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– 業務をする上で大切にしていることは何ですか?

国内で日本の方を対象にした業務がメインのため「自分は今、何のためにこの業務をしているのか」ということを忘れないよう気をつけています。
広報・ファンドレイジング業務においては、専門用語や横文字を多用しない配慮をしています。実際、自分が入職した当初は不勉強だったこともあり、聞いたことのない横文字が飛び交うことに驚きました。国際協力の門を狭めたくないので、ウェブサイトやSNSに文章を上げる時には「この言葉は一般的にどれほど浸透しているのだろう?高校生でも理解できるだろうか」ということを、常に気にするようにしています。

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– これまで最も困難だったエピソードを教えてください。

私がファンドレイジング責任者になった時期は、KnKが財政面で厳しい状況におかれていました。そのため、慣れない寄付集めのプレッシャーで気持ちが空回りしてしまい、苦しみました。そんな中、KnKの事業地で子ども同士のトラブルが発生し、それを未然に防げなかったことは大きなショックでした。大切な子どもの安全を守れず、その子たちに対して本当に申し訳ない思いで辛かったです。団体の存在意義を問われたようにも思え、悔しくてたまりませんでした。

現在は、団体をあげてセーフガーディング*に取り組んでおり、子どもを守り、このような思いを繰り返さないことを願っています。

(*セーフガーディング:支援活動において、受益者・子どもを虐待や性的被害のリスクにさらすことの無いよう、組織の責任として取り組むこと)

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– これまで最も嬉しかったエピソードを教えてください。

2018年のカンボジア出張は特に忘れられません。「友情のレポーター」の取材に同行した時のことですが、旅の終盤にシエムリアップで生活している「若者の家」の卒業生たち数名に会う機会がありました。皆、誇りを持って仕事に取り組み、新しい家族との生活を大切に築いている様子が垣間見えて、これまで間接的に彼らの成長や自立に関わってこられたことを、心から嬉しく感じました。

ロウ(右端)の自宅にて。「若者の家」の卒業生たちやその家族と食卓を囲む(2018)

卒業生の一人、ロウは自宅にも招待してくれました。彼はこれまでKnKの広報誌や写真展でも度々ご紹介してきた青年です。「若者の家」で勉強に励み、進学してツアーガイドの資格を得た彼が、アンコールワットを案内してくれました。入口付近で土産物を売る現地の子どもたちに遭遇した時、ロウは私たちにこう説明しました。

「あの子たちから物を買わないください。本来は、彼らは学校に行く時間です。観光客が子どもからお土産を買うのを止めない限り、ああやって働かされる子どもは減りません」

自分自身も辛い子ども時代を経験しているロウが放つ言葉には、説得力がありました。同時に、逞しく成長した彼がとてもまぶしく見えました。

アンコールワットにて、ロウ、友情のレポーターの2人と(2018)

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– 休みの日(OR仕事をしていない時)は何をして過ごしていますか?

映画が好きで、よく見ています。今年見た中で一番好きな映画は『Coda コーダあいのうた』。聾唖の家族の中で唯一健常者である主人公が、歌に出会い自分の進む道を模索するという作品です。家族との関係性や主役の歌声が素晴らしいです!
それと、中高生時代にやっていたテニスをコロナ禍になる少し前から再開しました。週末の良いリフレッシュになっています。

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– 今後、KnKの活動を通じてご自身が取り組みたいことを教えてください。

子どもの教育には時間がかかるため、継続した支援は重要であると思いつつ、支援の終わり時が見えなくなるというジレンマもあります。長く続けている事業でも、年数の経過と共に現地のニーズが変化するのは自然なことです。
「継続それ自体が目的になっていないだろうか?」団体内でもそのような問題意識を共有し、変化を恐れず議論をしていきたいと思います。子どもたちにとって最善なことは何かを常に考え、行動に移していきたいです。

「友情のレポーター」フィリピン取材に同行(2015)

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– KnKが各地の苦境にある子どもたちと共にあるためには、新たな仲間が必要です。彼らに向けたメッセージをお願いします。

設立25周年メッセージにも込めたように、「子どもたちから学び、共に成長していく」ことを大切に、私たちはこれからも教育活動を続けてまいります。同じように思ってくださる方のご参加を、心よりお待ちしています。

認定NPO法人国境なき子どもたち(KnK)
マネージング・ディレクター/FR
松浦 ちはる

新たなマンスリーサポーター25名を募集

これからも教育機会を提供することで、各地の子どもたちが主体的に生き、自己決定ができる人生を歩めますよう、25周年を記念して新たなマンスリーサポーターを25名募集します。
(募集期間:2022/9/1~12/31)

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