国境なき子どもたち設立25周年を記念して、関係者のインタビューを連載します。

KnKと私(2) -ヨルダン プロジェクト・コーディネーター 大竹 菜緒-
常に、自分が外部者、外国人であることを意識して行動しています。
– 前職とKnK入職のきっかけ、理由を教えてください。
前職は、都内にてアラビア半島某国の大使館で働いていました。日本にいながらアラビア語の飛び交う職場で、外交の世界を覗くことができたのは得難い経験でしたが、近い将来NGOで働くぞ、という気持ちは常に持っていました。学生時代にシリア紛争のことを知り、戦争は人間同士の繋がりを引き裂き、ごく当たり前の生活を営んでいた一般市民が最もその被害を受けるのだということを強く思い知り、知ってしまった身として自分も関わらねば、と考えるようになりました。また、NGOの立場だからこそできること、最も現場に近いところで働けることもKnKへ入職するきっかけとなりました。
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– 通常、どのような業務を行っていますか?
事業の進捗管理・情報収集、現地スタッフの雇用管理、会計業務、教育省や教育局との調整業務、本部への報告業務、などがメインの業務です。現在は、JICA草の根技術協力事業の新規プロジェクト開始に向け、事業計画など見直しつつ、現地政府の許可を待っているところです。また、ザアタリ難民キャンプでの教育支援事業では週1−2回、モニタリングのためキャンプに行き、先生たちの授業を確認したり、子どもたちと話をしたりして、情報収集等しています。

ザアタリ難民キャンプ、学校の前で(2022)
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– 業務をする上で大切にしていることは何ですか?
常に、自分が外部者、外国人であることを意識して行動しています。国際社会からの援助がこの国を成り立たせている要素のひとつである一方、援助漬けは様々な場面で弊害をもたらしているとも感じており、KnKの事業ではできるだけその弊害を少なくしたいと思っています。この国のことはこの国の人々が主体となって考え、変わっていくのが健全だと思うからです。
私は外部者として、その潤滑油、ときに注目が必要な時は引き寄せパンダ的な存在であればいいのかなと思います。先頭で突っ走るのではなく、最後尾でナショナルスタッフや学校の先生たちの考えや意思を汲み取り、最大限事業に生かせるように心がけています。

共に働くヨルダンチームの仲間たち(2022)
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– これまで最も困難だったエピソードを教えてください。
昨年実施していた「社会性育成を主眼に置いた特別活動実践と体制構築事業」では、終盤で、現地の教育局や教員向けに、特別活動を学校で実施できるようにするためのハンドブックを作成していました。
そのハンドブックの編集作業が、本当に大変だったのを覚えています。今振り返るとやり方が良くなかったのかとも思うのですが、編集をかけた後に内容自体を変えなければならなくなったり、1度の確認で全て誤字脱字を見つけられず、後でポロポロ出てきてしまったり・・・。時には、年に1度降るか降らないかの降雪に見舞われ、作業時間も削られたりと、踏んだり蹴ったりでした。結果的に、5回ぐらい確認と編集作業を経てようやく完成した時には、当分そのハンドブックを見たくない、と思ってしまいました。世の書籍制作編集会社のご苦労の片鱗を垣間見た思いでした。
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– これまで最も嬉しかったエピソードを教えてください。
この夏休み中、ザアタリキャンプでは対象校で4週間、夏季アクティビティを実施していました。学校も休みで暇を持て余す子どもたちにとっては、格好の場所です。ただ初日から、パワーに溢れた子どもたちを先生たちが統率しきれず、混乱していました。これはまずい、と同僚に相談し、チームを複数に分けたり、子どもたちの中から先生のお手伝いを担ってもらう係を設けてみたりしてみたところ、徐々に良い変化が生まれてきました。
最初、疲労困憊だった先生たちも、子どもひとりずつに気を配り、声をかける様子や、お手伝い係の子にお願いをしている様子が見られるようになりました。子どもたちも、積極的に先生たちの手伝いをしてくれるようになったり、翌日のアクティビティは何か、など聞いてくれるようになりました。振り返りでは、先生たちが子どもたちの名前を出して、具体的に話をしてくれていたのが印象的です。まだまだ改善点はありますが、良い変化を目の当たりにし、先生ともそれを共有できたことが嬉しかったです。

夏季アクティビティ(2022)
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– 休みの日(OR仕事をしていない時)は何をして過ごしていますか?
5月から同居している猫と遊んでいます。猫は高いところが好きなので、キャットタワーを自作しようと計画中です。あと、最近は「まめきちまめこ」さんの漫画にハマって、毎日欠かさず読んでいます。
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– 今後、KnKの活動を通じてご自身が取り組みたいことを教えてください。
シリア国内への支援を考えていきたいです。ヨルダンのような周辺国の状況と比較するわけではありませんが、地域によってはまだ暴力が続いているところもあります。インフレが続き、食事もまともに得られない状況もある、とも聞きます。教育への影響も必至です。なんとかしなければならないと思います。
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– KnKが各地の苦境にある子どもたちと共にあるためには、新たな仲間が必要です。彼らに向けたメッセージをお願いします。
KnKの活動に興味を持ってウェブサイトをご覧いただき、ありがとうございます。地球にはいろんな社会問題があり、時には無力を感じる時もありますが、抗わなければ何も変わらない、ということもまた事実なんだろうな、とこの仕事をしながら実感しています。
行動してくださる人が多ければ多いほど、その変化も大きくなると信じています。
認定NPO法人国境なき子どもたち(KnK)
ヨルダン プロジェクト・コーディネーター
大竹 菜緒
新たなマンスリーサポーター25名を募集
(募集期間:2022/9/1~12/31)
スタッフインタビュー
- KnKと私(1) -創設者 ドミニク・レギュイエ-
- KnKと私(2) -ヨルダン プロジェクト・コーディネーター 大竹 菜緒-
- KnKと私(3) -広報・ファンドレイジング/支援者対応 村松 知恵子-
- KnKと私(4) -カンボジア プロジェクト・コーディネーター 倉持 真弓-
- KnKと私(5) -マネージング・ディレクター/FR 松浦 ちはる-
- KnKと私(6) -カンボジア、バングラデシュ事業担当 三喜 一史-
- KnKと私(7) -理事 栗林 まどか-
- KnKと私(8) -広報・ファンドレイジング/支援者対応 岡田 茜-
- KnKと私(9) -ヨルダン事業担当 佐々木 恵子-
- KnKと私(10) -マネージング・ディレクター/広報 清水 匡-
- KnKと私(11) -フィリピン、パレスチナ事業担当 久野 由里子-
- KnKと私(12) -理事 玉村 翔吾-
- KnKと私(13) -マネージング・ディレクター/パキスタン事業担当 大竹 綾子-
- KnKと私(14) -ヨルダン/シリア難民支援 事業総括 松永 晴子-
- KnKと私(15) -カンボジア プロジェクト・コーディネーター 福神 遥-
- KnKと私(16) -会長 寺田 朗子-