活動ニュース

パレスチナの子どもたちと共に~子ども支援センターの事業終了とその後~

私たちKnKがパレスチナ自治区ジェリコにおいて行っていた活動は、2021年8月に一旦終了しているのですが、事業終了後の様子も含めて、子ども支援センターでの活動についてご報告いたします。

ジェリコ市の子ども支援センター(通称キッズセンター)は、ジェリコ市が運営する市営の児童館のような施設です。KnKが事業を始める前は、スタッフの数や予算が限られており、多くの子どもたちに活動を届けるのが難しい状況でした。

そこで、私たちの事業では、パレスチナの若い世代をスタッフとして雇用し、音楽、演劇、美術、心理ケアの研修を実施し、センターの活動を充実化させ、より多くの子どもたちに活動を提供することを目指しました。

パレスチナの団体に講師をお願いした研修は、最初の1年半は全員が全教科の研修を受け、後半1年半は、それぞれが専門の教科の研修を受けました。音楽、演劇、美術の研修は、学校教員と一緒に、子ども用教材を作ったり、楽器の弾き方や体を使った表現方法などを学びました。
研修の様子:https://knk.or.jp/pal211008/

心理ケア研修は、教員とは別に、スタッフのみを対象とし、子どもと関わる際の注意点や子どもの保護、保護者との関係づくりや問題を抱えた子どもとの接し方などを学べる内容とし、グループディスカッションやケーススタディも取り入れて、基礎的なものから専門的なものまで、1年半かけてじっくりと研修を行いました。スタッフからのリクエストもあり、KnKのスタッフによるパソコン、英語研修も実施しました。また、子どもたちに活動を提供するにあたって、計画を立てることやチーム内で役割分担をして協力し合うこと、記録や報告を残すことの大切さも説明し、毎週ミーティングを開いて確認し合う作業も行いました。

雇用したスタッフは、学校で働いた経験がある人もいれば、初めて仕事に就く人もおり、年齢もバラバラで、当初はそれぞれが個別に働いている感じだったのですが、研修や日々の業務をこなす中でチームワークが出来上がり、事業終了時には、それぞれの個性を活かした良いチームが出来上がりました。

 

研修の様子

 

子ども支援センターは、平日は放課後、週末は1日中子どもが遊べる、地域のセンターです。地域に住む6歳~15歳の子どもたちを受け入れて、毎日子ども向けの活動を提供しています。毎日遊びに来る子どもたちも多いので、子どもたちが飽きないよう、どんな活動を提供するか、スタッフは工夫を凝らしました。

また、「子どもの日」「パレスチナの土地の日」「母の日」などのイベントに合わせて、保護者の方や地域の方たちに踊りや演劇、工作や絵画を披露するオープンデーも定期的に開催していました。人前で披露するための歌や踊りを練習することで、子どもたちはやり遂げることを学び、自信をつけるだけでなく、得意なことを見つけたり、友だちと1つのものを作り上げる楽しさを学べたのではないかと思います。日本の中学校とオンラインで繋ぎ、一緒にマジックショーを楽しんだり、交流会をできたことも、子どもたちだけでなく、スタッフにとっても楽しい思い出となりました。
事業開始時に62人だった子ども支援センターの登録者は、一番多い時で222人になり、コロナ禍においては、密を避けるために子どもたちをグループに分け、活動ごとの人数を制限して活動を行いました。

イベントでの発表

イベントには保護者や近所の方たちを招待

展覧会の様子

展覧会で自分の作品を撮る子どもたち

オンラインイベント

日本とのオンラインイベント

事業期間中には、活動で使用する楽器や絵具、演劇用の衣装、またコロナウイルス感染対策用の消毒液やハンドジェルも供与、日々の活動の中で活用されました。

フラフープを使ったゲーム

日本でいう小学校1年生から中学3年生くらいの年齢の子どもたちが通うため、年齢に合わせた活動を提供することも考慮しました。小学生には、ゲームやダンス、体を動かすスポーツを多く取り入れて、センターに来るのが楽しいと思えるような活動と環境作りを、中学生には、ユースグループを作って、スタッフを手伝う役割を担ったり、リーダーとして活動内容やイベント時の発表内容を考えたりもしました。特に中学生くらいの年齢の子どもたちにとっては、家が離れていたり学校が違う子どもたちが集まるセンターで、新たな友だちを作り、自分の役割や得意分野を見つけるきっかけが出来たのではと思います。センターでの思い出は?という質問に、「一番の友だちが出来たこと」と回答した子どももおり、センターが子どもにとって、安全に安心して楽しめる、ひとつの居場所のようなものになりました。

年長者向けクラス

日本から贈られたミサンガをつけて

カウンセラー担当のスタッフを雇用したことで、日本の学校の道徳のような活動も取り入れて、友だちとの付き合い方や自分で1日の時間配分を考えることの大切さを学べるクラスを提供したり、学校でもあまり習わない、思春期に起こる体や心の変化について、該当する年齢の子どもたちが学べるクラスを提供したこともありました。また、保護者向けのワークショップ:https://knk.or.jp/pls211227/を開催したり、子どもについて気になることがあった時には、保護者にセンターに来てもらって一緒に話をしたり、保護者会を開催するなど、センタースタッフと保護者が一体となって子どもを見守る体制作りも行いました。

事業終了後も継続して子どもたちへの活動が提供できるよう、事業期間中にはセンターを管轄するジェリコ市役所との協議や、市議会議員、県庁との協議を重ね、スタッフ自らがセンターでの活動の様子や子ども・保護者からの声を市長に届けることもしました。協議やプレゼンの成果もあり、事業終了時にスタッフ2名がジェリコ市の職員として雇用され、現在も子どもたちに活動を提供しています。

センターを管轄するジェリコ市役所の方たちと

現在もスタッフとして働くアーリア(カウンセラー、保護者対応担当)とマナール(活動担当)からコメントを受け取ったので、ご紹介します。

アーリア(後列右から5番目)とマナール(後列右から6番目)

事業期間中、どんな難しさがありましたか?

特にコロナ禍において、様々な困難や挑戦がありました。ロックダウンや移動制限下でセンターが閉館してしまっていた時期は、SNSで子どもに向けて情報を発信したり、玄関先ではありますが、家庭を訪問して子どもたちに会いに行くなど工夫をしました(アーリア)。
事業期間を通して、子どもたちに変化は見られましたか?
子どもたちの前向きな変化もそうですが、子ども支援センターに通う子どもの数がとても増えました。より多くの子どもたちに活動を届けるという意味で、大きな成果だと思います(マナール)

事業終了後の活動はどうですか?

研修で学んだことを日々の活動の中で活かせていると感じています。事業期間中は月や週ごとの予定を立てて、実際に活動したことをまとめるレポートを作成し、センター長やKnKスタッフに提出していましたが、今もそれらは続けています。子どもへの活動と同じように、計画や報告の大切さも学びました(アーリア)。

事業期間を通して、センターのスタッフたちは、毎日センターにやってくる子どもたちが飽きないよう、様々な工夫をして、毎日活動を届けていました。また、子どもたちが学校に通っている午前中には、スタッフ同士でミーティングを開き、活動や役割分担、スケジュールの確認をしたり、センターの部屋を飾り付けて、子どもたちが楽しく、安心して過ごせるセンター作りに努めました。保護者との繋がりも大切にし、保護者向けのパンフレットや、保護者や地域の方たちを招待するイベントも実施、SNSでは日々の活動を報告して、子どもたちがどんな風に過ごしているかを発信、自分たちの活動を広める広報活動にも力を入れました。スタッフたちの頑張りは、良い評判となってジェリコ市に広がり、事業終了間近の保護者会では、「KnKがいなくなった後もぜひ活動を続けてほしい」という保護者の声が挙がり、そのままジェリコ市役所に届けられたり、センターが閉まってしまうと思った子どもたちが、市長向けに署名活動を行ったこともありました。

事業終了後の活動は、益々活発になり、日々の活動に加えて、他団体や警察官を招いたイベントや、地域の福祉センターを訪問してダンスや歌を披露したり、遠足に行くなど、盛りだくさんです。事業終了後もセンターでの活動が継続され、頑張っているスタッフの姿は、私たちKnKパレスチナ事務所のスタッフにも励みになりますし、何よりも、子どもたちが変わらず楽しんでくれている様子を見ることができ、とても嬉しく思います。今後も、地域における唯一の公共の子どもセンターとして、センターが機能し、多くの子どもたちが安心して楽しめる場所であってほしいと願います。

事業終了時

事業終了後、ジェリコの世界遺産ヒシャム宮殿への遠足

事業終了後の音楽クラス。供与した楽器は今も活用されています。

事業終了後、保護者を招いたイベントで伝統衣装を纏った子どもたち

※パレスチナにおけるKnKの活動は、外務省「日本NGO連携無償資金協力」の活用、ならびに日本の皆さまからのご寄付で行いました。

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