各地での活動
パレスチナ
1967年以来、イスラエルの占領下にあるパレスチナ。2000年に始まった第2次インティファーダ(イスラエルに対するパレスチナ市民による抵抗運動)以降、その占領政策はいっそう厳しくなっています。自治区内はイスラエルの占領政策により分断され、さらに分離壁や検問所、入植地により人やモノの移動も厳しく制限されており、地域の経済活動は手足をもがれた状態になっています。パレスチナ全域での20歳-24歳の大卒を含む若者の失業率は41.1%と極めて高く、15-29歳の青少年のうち27.4%が貧困水準以下にいると言われています。(数値は2013年第1四半期時点のもの。Palestinian Central Bureau of Statistics (PCBS) On the Eve of International Youth Day より)。
当プロジェクトの活動地は、かつてエルサレム(現イスラエル領)の経済文化圏の一部であったことから、2003年に分離壁によって町が分断されて以降、地域経済は著しく衰退し、多くの住民が職を失い、高等教育を受けた若者も建設現場での仕事に就くなど就業機会が大きく制限されています。また、活動地にあるイスラエルの戦略的重要地域(エリアC)では、子どもの身近で、銃を携帯した兵士の存在が見られ、親族や兄弟の理由も無い検挙、市民生活への妨害、また若者とイスラエル軍との衝突が頻発しています。パレスチナ警察もこのエリアでは取締りができないため、地域の治安の悪化も懸念されています。
このように占領下という緊張状態にあり、職も得られず、将来が見えない不安を感じながら暮さねばならない青少年への心理的影響は計り知れません。
最新ニュース
- 2019.12.02【急募】中東地域(パレスチナ)派遣員
- 2019.11.29子ども支援センターで「世界子どもの日」発表会を開催しました
- 2019.08.09【パレスチナ】子どもたちとの新たな絆を育む保護者向けのワークショップ
活動概要
支援期間 | 2011年11月~継続中 |
---|---|
活動地 | ジェリコ市 |
支援内容 | ・地域の公立学校や子ども支援センターで課外活動に携わる教員への研修、および課外活動を実施 |
支援対象 | ジェリコ市に住む子ども・青少年、公立学校教員およびキッズセンター職員 【直接裨益者数1,000名(2018年12月現在)】 |
支援の紹介
学校での課外活動

パレスチナ自治政府は学校教育に情操教育を取り入れることを目指していますが、予算や人員の制約のために、実施できていない公立学校がほとんどです。子どもたちの情操面での成長を支援するため、KnKは学校の通常カリキュラムで対応できていない、音楽、図画工作、伝統舞踊の授業を、地域の小学校で提供します。またKnKのスタッフが子どもたちに直接教えるだけでなく、学校の教師が一緒に授業を行うことで、将来的には学校がこれらの活動を授業の一環として行えることを目指しています。
中学生以上の子どもについては、ユースセンターで工作やコンピューターのワークショップ等、を提供します。学んだことを子どもたち自身で発信できるよう、ウェブサイトの作成も予定しています。学校以外に社会との接点を持つ機会の限られる子どもたちですが、これらの課外活動を通じて交流を持ち、学業以外の面で評価されることで、自分に自信を持つことに繋げます。
(エルサレム県における上記活動は2016年4月で終了し、新たにジェリコ県で同様の活動を開始すべく準備中です。)
非公式教育

学校教育を補完する形で、課外補習授業とユースプログラムを実施しました。課外補習授業では、個別指導を望む傾向の強いパレスチナの教育事情をうけ、できる限り講師と生徒1対1で指導できるようスケジュールを設定し、アラビア語、英語、算数の授業を提供しました。
ユースプログラムでは、通年で音楽、絵画、伝統ダンス、演劇などの授業を行うほか、夏には遠足も含むサマースクールを実施しました。パレスチナ政府の予算不足もあり、こういった子どもの情操面での発達を促すプログラムは政府系の学校では学べないか、不十分な時間数でしか提供されていません。当プログラムを通じ、閉塞的な環境においても、子どもたちが社会性を身に着け、心の豊かさを培い、フラストレーションを健全に発散できる場を提供しました。また、センターでの学びは定期的に発表会を通じて保護者や地域住民に向けて披露され、子どもたちの自信の形成にもつながりました。
(2015年2月終了、現在は現地連携団体が継続して実施)
職業訓練

比較的就職機会の多いサービスセクターで求められるコンピューター技術訓練とセクレタリー技術訓練を実施し、受講生の就業や起業の機会を後押しするとともに、コースへ参加することで、自分への自信や将来へ前向きな気持ちを持つなど心理的な効果もねらいました。
セクレタリー訓練では、ワード、エクセル、パワーポイント、電子メールの作成、書類の作成、ファイリングなどの事務処理能力を、基礎コースからアドバンスコースまで受講生がステップアップして学べるよう提供したほか、会計ソフトのコースも実施しました。一方、コンピューター技術訓練では、コンピューターのプログラミング、グラフィックス、メンテナンス技術を、基礎から高度なものまで提供し、受講生の就職や起業へつながるよう能力の向上をめざしました。
(2015年2月終了、現在は現地連携団体が継続して実施)
現地連携団体の能力強化
本プロジェクト終了後も活動が継続されるよう、職業訓練や非公式教育の運営方法の改善や、地域住民や学校とのネットワーク強化を進めます。また、連携団体自体の能力向上もめざし、会計や事務処理能力についての研修や技術的アドバイスを適宜提供するほか、将来の活動資金調達をねらい、各種助成金への申請、新規ドナー開拓を行っていきます。
国(地域)情報
パレスチナ自治区
パレスチナ自治区は、パレスチナ地域のうちヨルダンに接するヨルダン川西岸地区とエジプトに接するガザ地区からなるパレスチナ人の自治地区です。その行政は、パレスチナ解放機構 (PLO) が母体となって設立されたパレスチナ自治政府が行っています。ただし、最終的な地位は将来イスラエルとパレスチナとの間で結ばれる包括的和平によって定められることになっており、目下の正式な地位は暫定自治区・暫定自治政府となっています。
パレスチナ自治区の人口は約450万人で、西岸地区が3分の2、ガザ地区が3分の1を占めるとされています。これは、1,160万人強いるとされるパレスチナ人の全人口の3分の1にあたります。 自治政府は1995年の暫定自治拡大合意に基づき、1996年に行われた立法評議会選挙によって正式に発足しました。
正式名称 | パレスチナ Palestine |
---|---|
国旗 | ![]() |
面積 | 約6,020平方キロメートル(西岸地区5,655平方キロメートル(三重県と同程度)。ガザ地区365平方キロメートル(福岡市よりやや広い)。) |
人口 | 約495万人【2017年,パレスチナ中央統計局(PCBS)】 (西岸地区 約300万人,ガザ地区 約194万人) (注)パレスチナ難民数:約587万人(2017年,UNRWA) (西岸100万人,ガザ144万人,ヨルダン229万人,シリア62万人,レバノン53万人) |
首都 | ラマッラ(西岸地区) |
民族 | アラブ人 |
言語 | アラビア語 |
宗教 | イスラム教(92%)、キリスト教(7%)、その他(1%) |
時差 | 日本との時差はマイナス7時間。日本が正午のとき、パレスチナは午前5時。夏はサマータイムが実施されるので6時間の差となる。 |
議会 | パレスチナ立法評議会(PLC:Palestinian Legislative Council 132名。) |
政府 | 大統領:マフムード・アッバース(PLO議長を兼任) 首相:ラーミー・ハムダッラー |
気候 | ガザ地区は地中海性気候/西岸地区は半乾燥砂漠気候 |
主な産業 | 農・漁業(3.2%),工業(13.1%),建設業(7.2%),小売業・貿易(18.5%),金融・仲介(4.1%),公共・防衛(12.5%),サービス業(20.0%),運輸・通信業(1.8%),(2015年GDPに占める割合,PCBS) |
GDP | 約150億米ドル【2017年、 IMF推定値】 |
一人当たりGDP | 約3,031米ドル【2017年、 IMF推定値】 |
通貨と為替レート | 自国通貨なし(イスラエル・シュケル) 1シュケル=約31円(2018年8月) |
「こんにちは」 | アッサラームアレイコム/マルハバ |
「さようなら」 | マッサラーマ |
「ありがとう」 | シュクラン |
国と子どもに関するデータ
5歳未満児死亡率の順位 | 89位 | 2015年 |
---|---|---|
5歳未満児年間死亡人数 1000人あたり | 3人 | 2015年 |
1人あたりのGNI | 3,060米ドル | 2015年 |
成人識字率 | 95% | 2009-2014年* |
男子若者(15-24歳)の識字率 | 99% | 2009-2014年* |
女子若者(15-24歳)の識字率 | 99% | 2009-2014年* |
電話を持っている人の比率 | 72% | 2014年 |
インターネットユーザーの比率 | 54% | 2014年 |
男子初等教育純出席率 | 99% | 2009-2014年* |
女子初等教育純出席率 | 99% | 2009-2014年* |
男子中等教育純出席率 | 85% | 2009-2014年* |
女子中等教育純出席率 | 94% | 2009-2014年* |
児童労働(5-17歳)の比率 | 6% | 2009-2015年* |
1日1.9米ドル未満で暮らす人の比率 | 0%以下 | 2009-2013年* |
*: データが、列の見出しで指定されている期間内に入手できた直近の年次のものであることを示す。
x: データが列の見出しで指定されている年次もしくは期間以外のもの、標準的な定義によらないもの、または国内の一部地域のみに関するものであり、地域平均や世界平均の算出には含まれていないことを示す。
y: データが標準的な定義によらないもの、または国内の一部地域のみに関するものではあるが、地域平均や世界平均の 算出に含まれていることを示す。
−: データなし。