活動ニュース

各地での活動

パレスチナ

パレスチナ自治区ではイスラエルによる長期の占領政策により、種々の犠牲を日常的に強いられています。1995年の暫定自治拡大合意により、パレスチナ自治区はエリアA、B、Cに分割されました。エリアAはパレスチナ自治政府が治安・行政の権限を、エリアBはイスラエルが治安、パレスチナ自治政府が行政の権限を、エリアCはイスラエルが治安・行政の権限を保持しています。パレスチナ自治区の約6割がエリアCにあたり、エリアCでは住宅、学校等の建設にイスラエル軍の許可が必要である他、インフラ開発や行政サービスが充分でない、移動制限によって失業率や進学率、日常生活にも影響が出るなどの問題を抱えています。さらにイスラエル軍からの撤去命令の危機に晒されており、2021年一年間だけでも722の建設物が撤去され、11,713人がその影響を受けています。
南北に長いジェリコ県は、県の東側はイスラエル入植地による大規模農場とヨルダン国境、西側はヨルダン渓谷になっており、その間に村が点在しています。各村の中にはイスラエル入植地が入り組んでおり、さらにイスラエルの建設制限により、校舎は狭く、運動に十分なグラウンドや公園もなく、遊べないことから子どもたちはストレスをためやすく、またストレスを発散する場所、方法がないため暴力的になってしまう子どもが多くいます。ジェリコ県のエリアCの学校ではイスラエル兵が撤去命令に直接学校へ来たり、イスラエル人入植者による生徒への嫌がらせも確認されており、子どもたちは日常生活の中で不安に晒されています。職業選択も多くなく、入植地で働いている保護者も多く朝早くに家を出ることから、子どもが通学しているのか把握していないという声も聞かれます。ヨルダン渓谷のエリアCの子どもの状況調査では、19%の子どもが学校を中途退学し、そのうち32%が自身の村やイスラエル入植地で働いているという結果も出ています。さらに、ジェリコ市周辺の村には保守的な考えを持ち伝統的な生活を続けるベドウィンの家庭も多く、子どもが労働力としてみなされていたり、子どもが通学することに非協力的な家庭もあります。子どもの継続的な通学を促す保護者や地域住民への啓発活動も必要と考えられます。

活動概要

支援期間 2011年11月~継続中
活動地 ジェリコ県 ※本事業は終了し、現在次期事業を準備中。
支援内容 ・地域の学校や子ども支援センターで課外活動に携わる教員への研修、および課外活動の実施支援事業を実施しています。※本事業は終了し、現在次期事業を準備中。
・子どもの抱える問題やその対応法や子どもとのかかわり方について、保護者や地域住民に対して啓発活動を実施しています。※本事業は終了し、現在次期事業を準備中。
支援対象 ジェリコ県に住む子ども・青少年、公立学校教員およびキッズセンター職員【直接裨益者約3,600名(2020年12月現在)】※本事業は終了し、現在次期事業を準備中

支援の紹介 ※本事業は2021年8月に終了

教員・職員研修および授業・活動モニタリング

ジェリコ県内の公立・私立学校教員および子ども支援センター職員に、美術、音楽、演劇、心理ケアに関する研修を実施しています。研修の実施にあたってはパレスチナの子どもたちや保護者が抱える課題に精通し経験も豊富なジェリコ県外の外部団体7団体に講師派遣を依頼、演劇、音楽、美術、心理ケアを通し、子どもの不安軽減や安心感の向上、非暴力コミュニケーションを含む子どものコミュニケーションスキルの向上を目指しています。研修で学んだ知識や技術を、学校教員は通常授業に、子ども支援センター職員は子ども支援センターでの活動に活かしています。KnK職員と外部団体講師が学校での授業や子ども支援センターでの活動をモニタリングし、よりよい活用方法に向け、助言を行っています。

研修

学校の授業の様子

子ども支援センター

子ども支援センター

保護者向けワークショップ

子どもが抱える課題やその対応方法などを学ぶことを目的に、子ども支援センター職員とKnK職員が保護者向けワークショップを実施しています。子どもとの関わり方を学ぶだけではなく、子ども支援センターと保護者、また同年代の子どもを持つ保護者同士がつながる貴重な場となっています。

保護者向けワークショップ

保護者向けワークショップ

※パレスチナにおけるKnKの上記活動は、外務省「日本NGO連携無償資金協力」の活用、ならびに日本の皆さまからのご寄付で実施いたしました。(2021年8月に終了)

国(地域)情報

パレスチナ自治区

パレスチナ自治区は、パレスチナ地域のうちヨルダンに接するヨルダン川西岸地区とエジプトに接するガザ地区からなるパレスチナ人の自治地区です。その行政は、パレスチナ解放機構 (PLO) が母体となって設立されたパレスチナ自治政府が行っています。ただし、最終的な地位は将来イスラエルとパレスチナとの間で結ばれる包括的和平によって定められることになっており、目下の正式な地位は暫定自治区・暫定自治政府となっています。
パレスチナ自治区の人口は約497万人で、西岸地区が約3分の2、ガザ地区が約3分の1を占めるとされています。 自治政府は1995年の暫定自治拡大合意に基づき、1996年に行われた立法評議会選挙によって正式に発足しました。

記事一覧

正式名称 パレスチナ
Palestine
国旗 パレスチナ
面積 約6,020平方キロメートル(西岸地区5,655平方キロメートル(三重県と同程度)。ガザ地区365平方キロメートル(福岡市よりやや広い)。)
人口 約535万人(2022年、パレスチナ中央統計局(PCBS))
(西岸地区 約319万人、ガザ地区 約216万人)(注)パレスチナ難民数:約639万人(2021年、UNRWA)
(西岸108万人、ガザ164万人、ヨルダン246万人、シリア65万人、レバノン54万人)
首都 ラマッラ(西岸地区)
民族 アラブ人
言語 アラビア語
宗教 イスラム教(92%)、キリスト教(7%)、その他(1%)
時差 日本との時差はマイナス7時間。日本が正午のとき、パレスチナは午前5時。夏はサマータイムが実施されるので6時間の差となる。
議会 パレスチナ立法評議会(PLC:Palestinian Legislative Council 132名。)
政府 大統領:マフムード・アッバース(PLO議長を兼任)
首相:ムハンマド・シュタイエ
気候 ガザ地区は地中海性気候/西岸地区は半乾燥砂漠気候
主な産業 農・漁業(6.5%)、鉱工業・電気・水(12.1%)、建設業(4.7%)、小売業・貿易(18.3%)、金融・保険(4.5%)、公共・防衛(12.4%)、サービス業(204%)、運輸業(1.6%)、情報・通信(3.4%)、家事サービス(0.1%)(2021年GDPに占める割合、PCBS)
名目GDP 約177.753億ドル(2021年 IMF推定)
一人当たりGDP 3,400.475ドル(2021年 IMF推定)
通貨と為替レート 独自の通貨なし(イスラエル・シェケル)
1シェケル=約40円(2022年6月)(イスラエル中央銀行)
「こんにちは」 アッサラームアレイコム/マルハバ
「さようなら」 マッサラーマ
「ありがとう」 シュクラン
【出典:外務省/2022年6月15日】

国と子どもに関するデータ

出生数 144千人 2020年
5歳未満児年間死亡人数(1000人当たり) 19人 2019年
若者(15-24歳)の識字率(男子) 99% 2010-2018年*
若者(15-24歳)の識字率(女子) 99% 2010-2018年*
初等教育修了率(男子) 99% 2010-2019年*
初等教育修了率(女子) 100% 2010-2019年*
中等教育修了率(男子) 80% 2010-2019年*
中等教育修了率(女子) 93% 2010-2019年*
高等教育修了率(男子) 52% 2010-2019年*
高等教育修了率(女子) 73% 2010-2019年*
児童労働(5-17歳)の比率(男子) 11%x,y 2012-2019年*
児童労働(5-17歳)の比率(女子) 8%x,y 2012-2019年*

*: データが、列の見出しで指定されている期間内に入手できた直近の年次のものであることを示す。
x: データが列の見出しで指定されている年次もしくは期間以外のもの、標準的な定義によらないもの、または国内の一部地域のみに関するものであり、地域平均や世界平均の算出には含まれていないことを示す。
y: データが標準的な定義によらないもの、または国内の一部地域のみに関するものではあるが、地域平均や世界平均の 算出に含まれていることを示す。
: データなし。

【出典:世界子供白書2021】

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