活動ニュース

各地での活動

カンボジア

カンボジアは長らく外国の支配を受けていたという歴史があります。
1953年にフランスから独立しましたが、その後は1991年まで内戦が続きました。国家が崩壊して多くの難民を出し、今もなお国が再建の途上にあります。 アジアの中でも近年まで最貧国とされていたカンボジアは、高い経済発展を遂げる一方、いまだ各国からの援助を多く必要としており、農村部を中心にストリートチルドレンや児童労働、人身売買など貧困家庭に生まれた子どもたちを取り巻く環境はなかなか改善されません。

活動概要

支援期間 2000年9月~継続中
活動地 バッタンバン州、パイリン州(2020年~2023年3月終了)、バンテアイミエンチェイ州(2023年~)
支援内容 ・自立支援施設「若者の家」における安定した衣食住と教育・訓練機会やコミュニティに開放した教育クラス(識字、英語、図書館)を提供しています。
・絹織物、縫製、洋裁の職業訓練を実施しています。(収入創出活動は2022年終了)
・職業訓練を通じた若者の就労支援を行っています。
支援対象 ストリートチルドレン、暴力や性的被害に遭った青少年、極貧家庭出身の青少年等【直接裨益者約348名/年】
※ KnKのカンボジアでの活動は、外務省「日本NGO連携無償資金協力」の活用ならびに公益財団法人日本国際協力財団からの助成と国際ボランティア貯金寄附金、レッドソックス(元オリックス・バファローズ)吉田正尚選手と日本の皆さまからのご寄付で成り立っています。

支援の紹介

若者の家

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子どもから大人へと成長する時間と将来の職業選択に向けて努力をする機会を提供し、ひいては彼らが自立し一市民として自立できるようサポートすることを目的に開設されました。

子どもたちは大家族のように共同生活を送り、過去の苦難を乗り越えながら必要な教育や職業技術を身に付けます。また、2008年以降はヘンケルジャパン株式会社とタイアップした美容職業訓練も年に数回開催してきました。

2000年の開設以来、460名以上を受け入れてきました(2022年12月現在)。「若者の家」の卒業生が集う同窓会も年に1~2度行われています。「若者の家」は、卒業生たちがいつでも帰ってくることのできるホームでもあります。

「若者の家」の卒業生 ロウ

「若者の家」の卒業生 ロウ(26歳)

「若者の家」で暮らしていた時のロウ

「若者の家」で受け入れる子どもたちの多くは、自立を叶える技術を早く身に付けることができるため、職業訓練を受けることを希望します。しかし、ロウは「若者の家」に来たときから学校に通うことを決心しました。「技術を身に付けてもわずかなお金しか稼げないことが多い。だから僕は学校でいろいろなことを勉強してビジネスマンになるんだ」。そんな夢を持つロウは、6年間一生懸命に勉強して、英語も話せるようになりました。高校を卒業したのち、シエムリアップの大学に進学。経済の勉強をしながら世界遺産アンコール・ワットのツアーガイドの仕事を始めました。ガイドの仕事に情熱を持ったロウは、プロのガイドとして国家資格を取得。現在は大学を卒業し、一人前のツアーガイドとして世界中の観光客を相手にカンボジアの歴史や文化、遺跡の魅力を伝えています。

職業訓練

職業訓練・収入創出

KnKカンボジアでは「若者の家」の生活者や近隣コミュニティの青少年を対象に、就業に有利な識字や英語の他、縫製、絹織物などさまざまな職業訓練を提供してきました。技術の習得だけでなく、それを活かすための就職サポートの他、収入創出活動を実施し、就業の機会を提供してきました。

収入創出活動については、カンボジア国内で女性の就職先の選択肢が増えたことや、これまで生産者として活動に参加してきた女性たちがその後独立して現地で一定の収入を確保するなどの成果が確認されたことを受け、KnKの施設内での生産活動は2022年で終了として、2023年からは職業訓練の場を拡充していきます。今後はリスクが高く保護を必要とする若年女性の受け入れに注力していき、職業訓練とライフスキルの習得を目指す支援を提供していきます。

ライフ・ロング・ラーニング・センターを通じた青少年の就労支援事業

近年安定した経済成長を続けるカンボジアですが、依然として若者の取り巻く環境は厳しい状況下にあります。タイへの出稼ぎを始め、不利で危険な条件で就労せざるを得ない貧困層の若者も少なくありません。こうした課題の背景には中学校以上での高い中退率とそれに伴う若者の将来を設計する力の不足の問題があります。
KnKではこの問題に取り組むべく、タイとの国境沿いにあるパイリン州にて「カンボジア、パイリン州におけるコミュニティ・ラーニング・センター(CLC)の質の向上を通じた青少年の就労支援事業」を2020年2月から2023年3月まで実施してきました。若者の高い中退率が顕著なパイリン州において、効率的に活用されていなかったCLCを整備し、そこを拠点に中退者を中心とした若者への将来設計を含む職業訓練の提供から就労支援を行ってきました。

パイリン州での事業は2022年3月をもって終了しましたが、同月より同じタイとの国境沿いにあるバンテアイミエンチェイ州にてCLCからライフ・ロング・ラーニング・センター(LLLC)と名称を改めて事業を実施していきます。パイリン州で実施してきた職業訓練から就労支援に加え、これまで教育の機会が確保できなかった若者を対象に同等性教育クラスも実施し小学修了資格取得や復学支援を行っていきます。引き続き、この事業を通じて、カンボジアの将来を担う若者を地域が責任を持って育てる枠組み作りを目指してまいります。

国情報

カンボジアという国

インドシナ半島の南部に位置し、2世紀頃そこに「扶南」(ふなん)という国ができました。 メコンデルタの肥沃な土地もあり海外貿易も盛んでしたが そののち国は盛衰を繰り返します。9世紀頃には国が最も大きくなり大石造建築で有名なアンコール・ワットも造られました。1431年に隣国のタイに敗れ、また周辺国との戦いで国が衰えていきました。そのためフランスの植民地になり、1953年にシアヌーク国王の下で独立するまで90年間続きました。その後もクーデターや内戦などで国土が荒廃します。特にポル・ポト政権の時には自国民が300万人も虐殺され、教育・経済社会・文化など一切のものが破壊されてしまいました。1991年にようやく内戦が終わり国連カンボジア機構によって再建が行われ1993年に統一政府としてのカンボジア王国が誕生しました。2013年の総選挙で人民党の党首、フン・セン氏が首相に再選しました。人口は約1,500万人で大部分が仏教徒です。また人口の約3割は農民で主に稲作に従事しています。

記事一覧

正式名称 カンボジア王国 / Kingdom of Cambodia
国旗 カンボジア
面積 181,035平方キロメートル(日本の約2分の1弱)
人口 15.3百万人(2019年カンボジア国勢調査)
首都 プノンペン
民族 人口の90%がカンボジア人(クメール人)とされている。
言語 クメール語
宗教 仏教(一部少数民族はイスラム教)
時差 時差は日本の2時間遅れ。日本の正午はカンボジアでは午前10:00となる。サマータイムはない。【地球の歩き方】
政体 立憲君主制
元首
首相
ノロドム・シハモニ国王 (2004年10月即位)
フン・マネット (2023年8月22日~)
気候 カンボジアは熱帯モンスーン気候に属し大きく乾季と雨季の2つの季節に分けられる。同じ時期ならシェムリアップ、プノンペンなど地域による大きな違いはない。旅行のベストシーズンは乾季の11~5月で、なかでも11~1月が雨も少なく、比較的過ごしやすい。【地球の歩き方】
主な産業 農業(GDPの24.3%)、工業(GDPの39.2%)、サービス業(GDPの36.4%)(2021年、ADB資料)
名目GDP 約262億米ドル(2021年、IMF推定値)
一人当たりGDP 1,780米ドル(2022年、IMF推定値)
通貨と為替レート リエル(1米ドル=4,129リエル、2022年10月末時点。カンボジア中央銀行資料)
経済概況 カンボジア経済は2004年から2007年までの4年間、10%を超える高い経済成長を記録した。しかし、サブプライムローン問題に端を発した世界同時不況の影響を受け、2009年の経済成長率は0.1%まで落ち込んだものの、翌年の2010年には6.1%にまで回復した。2011年以降2019年までは、堅調な縫製品等の輸出品、建設業、サービス業及び海外直接投資の順調な増加により、年率約7%の安定した経済成長を続けていた。2020年は新型コロナウイルスの影響を受けてマイナス成長となったが、2021年及び2022年についてはプラス成長が見込まれている。
「こんにちは」 チョンム リアップ スア
「さようなら」 リア ハェイ
「ありがとう」 オークン
【出典:外務省/2023年5月31日】

国と子どもに関するデータ

出生数 321千人 2021年
5歳未満児年間死亡人数(1000人当たり) 25人 2021年
若者(15-24歳)の識字率(男子) 2013-2022年*
若者(15-24歳)の識字率(女子) 2013-2022年*
初等教育修了率(男子) 68% 2013-2022年*
初等教育修了率(女子) 79% 2013-2022年*
中等教育修了率(男子) 41% 2013-2022年*
中等教育修了率(女子) 39% 2013-2022年*
高等教育修了率(男子) 20% 2013-2022年*
高等教育修了率(女子) 20% 2013-2022年*
児童労働(5-17歳)の比率(男子) 12%x 2013-2021年*
児童労働(5-17歳)の比率(女子) 14%x 2013-2021年*

*: データが、列の見出しで指定されている期間内に入手できた直近の年次のものであることを示す。
x: データが列の見出しで指定されている年次もしくは期間以外のもの、標準的な定義によらないもの、または国内の一部地域のみに関するものであり、地域平均や世界平均の算出には含まれていないことを示す。
: データなし。

【出典:世界子供白書2023】

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