活動ニュース

各地での活動

パキスタン

2億人を超える人口大国パキスタンは、市場規模も大きく、中東とアジアを結ぶ地政学的な位置から経済発展への大きな潜在力を持っています。しかし、山間部や農村部は、依然として経済基盤が脆弱で多くの人々が貧困状態にあり、所得や地域の格差が問題視されています。治安や政治状況の不安定さも否めず、加えて、地震や洪水など大規模な自然災害も多く発生しています。事業地のハイバル・パフトゥーンハー(KP)州では、5~16歳の子ども約210万人がいまだ学校に通えておらず、その内約40%を10~16歳の女子が占めるなど教育アクセスのジェンダー格差が深刻です。特に遠隔地では、貧困と伝統的社会規範に基づく女子教育への不十分な理解のため、子どもたちの基礎教育を受ける機会が十分に保障されているとはいえません。女子教育の障壁としては、通学可能な範囲に学校が無いことやトイレや外壁など適切な施設環境の不足に加え、学校教育内容の質の問題も挙げられています。

また、パキスタンは、2022年6月から約2ヵ月間降り続いた大雨で大洪水に見舞われ、国土の3分の1が浸水、被災者は3,300万人にも上り、人口の7人に1人が被災しました。KnKは、2022年9月末より、人命や家屋損壊、また水衛生施設などインフラの面で深刻な被害を受けた南部のシンド州とバロチスタン州で緊急支援を開始し、シェルターの提供や飲料水の水質改善など2023年も活動を継続しています。

支援期間 2005年10月~継続中
活動地 ハイバル・パフトゥーンハー州マンセラ郡、トルガー郡、アボダバード郡、バタグラム郡
支援内容 ・ハイバル・パフトゥーンハー州で、女子の中等教育へのアクセス向上を目指した公立の中学校や高等学校3校を建設しています。教師、保護者に対する研修、女子生徒へのライフスキル教育、および地域や州政府における啓発活動もあわせて実施しています。
支援対象 子ども、教員、行政職員、住民など【直接裨益者数約2,100名(2023年4月現在)】
※ パキスタンにおけるKnKの活動は、外務省「日本NGO連携無償資金協力」の活用、認定NPO法人ジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成の他、日本の皆さまからのご寄付で成り立っています。

支援の紹介

女子教育向上を目指した学校施設の建設や増設

 2010年1月より、大地震で被災した公立学校の再建に着手し、20172月までに、ハイバル・パフトゥーンハー州とアーザード・ジャンムー・カシミール(AJK)地域で計60校が完成しました。 また、再建した学区でより良い教育がおこなわれるように、地域住民や生徒への啓発活動や教師への研修を併せて実施しました。2017年7月から2020年5月には、小学校を中心とする計19校の学校環境整備を含む女子教育普及事業を実施しました。就学への障壁となっていた衛生設備や外周壁などを整備することで女子が安心して学習できる環境が整い、主体的な通学の継続を促すことができました。ある学校では、研修後に生徒会メンバーが中心となって就学していない村の友だちに学校へ登録するよう呼び掛けたり、子どもたち自身がスピーチコンテストやスポーツイベントを企画するなど新たな活動に取り組んでいる様子が確認できています。
2020年11月からは、KP州マンセラ郡、トルガー郡、アボダバード郡、バタグラム郡において、ハード・ソフトの両面で学校環境を整備し、女子の中等教育へのアクセス向上に注力しています。

国情報

パキスタンという国

北部のヒマラヤ山系からの水脈が、インダス河となって中央部の平野を流れ、南のアラビア海へそそぎます。インダス文明はここで開花しました。また古くから灌漑が発展しており米や小麦、綿などが生産されてきました。 インドの一部でありイギリスの植民地でしたが、1947年にヒンドゥー教徒の多いインドと、イスラム教徒の国、パキスタンに分かれて独立しました。このときは地理的にインドをはさんで東と西に離れたパキスタンになりましたが、1971年に東のパキスタンはバングラデシュとして独立し、西パキスタンが現在のパキスタンになりました。カシミール地方をめぐってインドとの間で何度も印パ紛争がありました。その後、関係改善に向けた取り組みもありましたが、カシミール問題を巡るインドとの緊張は今もなお継続しています。
公用語はウルドゥー語で英語も広く通用します。農業や繊維工業が主ですが近年は化学、セメント工業なども発展してきました。また中東への出稼ぎ労働者が急増しています。

記事一覧

正式名称 パキスタン・イスラム共和国 / Islamic Republic of Pakistan
国旗 パキスタン
面積 79.6万平方キロメートル(日本の約2倍)
人口 2億2,090万人(UNFPA世界人口白書2020)
首都 イスラマバード
民族 パンジャーブ人、パシュトゥーン人、シンド人、バローチ人等
言語 ウルドゥー語(国語)、英語(公用語)
時差 日本との時差はマイナス4時間、日本時間の12時がパキスタンでは朝の8時。  【地球の歩き方】
政体 連邦共和制
元首 アリフ・アルビ大統領
宗教 イスラム教(国教)
気候 10~2月の寒冷期、3~6月の酷暑期、7~9月の湿潤期(雨季)の3つの季節があるといわれているが地域差が大きい。
主な産業 農業、繊維産業
実質GDP 約3,463.4億ドル(2021年、世界銀行)
一人当たりGDP 約1,537.9米ドル(2021年、世界銀行)
通貨と為替レート パキスタン・ルピー
1米ドル=200~210ルピー(2022年7月時点、パキスタン中央銀行)
「こんにちは」 アッサラーム アレイクム
「さようなら」 ホダー ハーフィズ
「ありがとう」 シュクリア
【出典:外務省/2022年7月21日】

国と子どもに関するデータ

出生数 6,046千人 2020年
5歳未満児年間死亡人数(1000人当たり) 67人 2019年
若者(15-24歳)の識字率(男子) 80% 2010-2018年*
若者(15-24歳)の識字率(女子) 66% 2010-2018年*
初等教育修了率(男子) 64% 2010-2019年*
初等教育修了率(女子) 55% 2010-2019年*
中等教育修了率(男子) 55% 2010-2019年*
中等教育修了率(女子) 45% 2010-2019年*
高等教育修了率(男子) 24% 2010-2019年*
高等教育修了率(女子) 23% 2010-2019年*
児童労働(5-17歳)の比率(男子) 13% 2012-2019年*
児童労働(5-17歳)の比率(女子) 10% 2012-2019年*

*: データが、列の見出しで指定されている期間内に入手できた直近の年次のものであることを示す。
x: データが列の見出しで指定されている年次もしくは期間以外のもの、標準的な定義によらないもの、または国内の一部地域のみに関するものであり、地域平均や世界平均の算出には含まれていないことを示す。
y: データが標準的な定義によらないもの、または国内の一部地域のみに関するものではあるが、地域平均や世界平均の 算出に含まれていることを示す。
: データなし。

【出典:世界子供白書2021】

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