各地での活動
パキスタン
パキスタン政府は2005年10月に発生した北部大地震による死者数は7万人以上、被災者が17万人以上であると発表しています。同地震による人的・物的被害は甚大で、社会インフラは大きな影響を受けました。地震発生から12年以上が経ちましたが、政府見舞金の遅配や国際援助機関等の復興支援の撤退等により、社会基盤や地域住民の生活の復興は遅々として進んでいません。特に教育インフラへの影響は甚大です。また、2010年にはハイバル・パプフトゥーンハー州を洪水が襲い、状況はさらに深刻化しています。
こうした状況の中、依然として多くの人々が困窮した生活を続けています。事業地のハイバル・パフトゥーンハー(KP)州では、就学年齢の子ども150万人がいまだ学校に通えておらず、そのうち100万人超を女子が占めるなど教育アクセスのジェンダー格差が深刻です。教育の重要性に対する地域住民の理解不足により、子どもたちの基礎教育を受ける機会は十分に保障されているとはいえません。
最新ニュース
- 2020.11.30「女子の中等教育へのアクセス拡大と質の向上事業」が始まりました
- 2020.10.07【コロナ緊急】パキスタンで学校が再開しました!
- 2020.05.27【コロナ緊急】パキスタンで医療物資の配布支援を行っています
活動概要
支援期間 | 2005年10月~継続中 |
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活動地 | ハイバル・パフトゥーンハー州マンセラ郡 |
支援内容 | ・マンセラ郡の5村で、女子教育普及を目指した公立学校7校を建設しています。教師や生徒会、保護者に対する研修、および地域における啓発活動もあわせて実施しています。 |
支援対象 | マンセラ郡に住む子ども、教員、 |
支援の紹介
女子教育普及を目指した共学校舎の建設
再建した学校では生徒会を立ち上げ、代表の生徒らに研修を行っています。ある学校では、研修後に生徒会メンバーが中心となり学校の美化運動に励んだり、学校に通っていない村の子どもを学校に誘うなど、子どもたち自身が新しい校舎と共に新たな活動に取り組んでいる様子が確認できています。
現在は、KP州マンセラ郡において、ハード・ソフトの両面で学校環境を整備し、女子教育の向上に注力しています。
水害被災者支援事業

2010年の洪水直後より被災民への支援事業を実施しており、現在は倒壊校舎後に半永久使用のできる仮校舎の再建と地域住民・教師への研修を実施しています。
コヒスタン郡とシャングラ郡ではすでに20校の校舎が完成しており、今新たに10校の校舎を建設中です。真っ赤な屋根に深い青色の壁の校舎は遠くからでもとても目立ち、山間の遠くから通ってくる生徒たちに毎日目指す所ができました。学校通学を促すために開かれた発表会では、恥ずかしそうにしながらも大きな声で現地語の唄を披露してくれました。新校舎は勉強だけでなく友だちと再会して交流できる場所としても子どもたちを包み込んでくれています。(2011年7月終了)
国情報
パキスタンという国
北部のヒマラヤ山系からの水脈が、インダス河となって中央部の平野を流れ、南のアラビア海へそそぎます。インダス文明はここで開花しました。また古くから灌漑が発展しており米や小麦、綿などが生産されてきました。 インドの一部でありイギリスの植民地でしたが、1947年にヒンドゥー教徒の多いインドと、イスラム教徒の国、パキスタンに分かれて独立しました。このときは地理的にインドをはさんで東と西に離れたパキスタンになりましたが、1971年に東のパキスタンはバングラデシュとして独立し、西パキスタンが現在のパキスタンになりました。カシミール地方をめぐってインドとの間で何度も印パ紛争がありました。2004年にはインドとの関係改善が図られましたが、2008年11月のムンバイ同時テロがあり、この対話はストップしました。その後、2011年3月以降には再び対話が始められました。
公用語はウルドゥー語で英語も広く通用します。農業や繊維工業が主ですが近年は化学、セメント工業なども発展してきました。また中東への出稼ぎ労働者が急増しています。人口は1億8千万人で、近年急増した原因の一つはアフガニスタンなどの隣国からの移民のためとみられています。
正式名称 | パキスタン・イスラム共和国 / Islamic Republic of Pakistan |
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国旗 | ![]() |
面積 | 79.6万平方キロメートル(日本の約2倍) |
人口 | 2億777万人(年人口増加率2.40%)【2017年、パキスタン統計省国勢調査】 |
首都 | イスラマバード |
民族 | パンジャブ人、シンド人、パシュトゥーン人、バローチ人 |
言語 | ウルドゥー語(国語)、英語(公用語) |
時差 | 日本との時差はマイナス4時間、日本時間の12時がパキスタンでは朝の8時。 【地球の歩き方】 |
政体 | 連邦共和制 |
元首 | アムヌーン・フセイン大統領 |
宗教 | イスラム教(国教) |
気候 | 10~2月の寒冷期、3~6月の酷暑期、7~9月の湿潤期(雨季)の3つの季節があるといわれているが地域差が大きい。 |
主な産業 | 農業、繊維産業 |
実質GDP | 約3,050億米ドル【2017年、出典:世界銀行】 |
一人当たりGDP | 約1,640米ドル【2017/2018年度、パキスタン経済白書】 |
通貨と為替レート | パキスタン・ルピー 1米ドル=139.49ルピー【2019年3月、パキスタン中央銀行】 |
「こんにちは」 | アッサラーム アレイクム |
「さようなら」 | ホダー ハーフィズ |
「ありがとう」 | シュクリア |
国と子どもに関するデータ
出生数 | 5,999千人 | 2018年 |
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5歳未満児年間死亡人数(1000人当たり) | 69人 | 2018年 |
若者(15-24歳)の識字率(男子) | 80% | 2010-2018年* |
若者(15-24歳)の識字率(女子) | 66% | 2010-2018年* |
初等教育修了率(男子) | 64% | 2012-2018年* |
初等教育修了率(女子) | 55% | 2012-2018年* |
中等教育修了率(男子) | 55% | 2012-2018年* |
中等教育修了率(女子) | 45% | 2012-2018年* |
高等教育修了率(男子) | 43% | 2012-2018年* |
高等教育修了率(女子) | 38% | 2012-2018年* |
児童労働(5-17歳)の比率(男子) | ー | 2010-2018年* |
児童労働(5-17歳)の比率(女子) | ー | 2010-2018年* |
*: データが、列の見出しで指定されている期間内に入手できた直近の年次のものであることを示す。
x: データが列の見出しで指定されている年次もしくは期間以外のもの、標準的な定義によらないもの、または国内の一部地域のみに関するものであり、地域平均や世界平均の算出には含まれていないことを示す。
y: データが標準的な定義によらないもの、または国内の一部地域のみに関するものではあるが、地域平均や世界平均の 算出に含まれていることを示す。
−: データなし。
【出典:世界子供白書2019】