活動ニュース

【パレスチナ・ヨルダン渓谷】地域活動に向けて、研修を実施しました

報告:パレスチナ事業担当 久野 由里子

KnKが実施しているパレスチナ、ヨルダン渓谷での事業について、10月以降、移動制限や安全面を考慮し、主にオンラインでミーティングや研修を実施してきましたが、対面での研修を徐々に再開しました。

6月には、「2.1.若者の能力育成研修」のご報告をしましたが、「2.2.若者へのTraining of Trainers(ToT)」も開始しましたので、進捗をご報告します。

 

事業内容

若者たちが集まれる場所がなく、地域の中で何か実践したいと思っても場所や機会がない、子どもたちが安全に遊べる場所がない、という状況の中、KnKは若者たちが自分たちの能力やアイディアを活かし、地域のために貢献できる場や機会を作り、青少年、子ども支援を拡充することを目的に、下記の事業を実施しています。

1. 拠点の整備:若者が集まれる活動拠点を整備する。

2. 能力育成
2.1.若者の能力育成研修:ヨルダン渓谷4村の若者を対象に、自己理解、他者受容などのライフスキル研修を実施する。
2.2.若者へのTraining of Trainers:2.1の研修を受けた若者の中から、各地域6名が参加。研修後に地域活動、青少年向け研修、子ども向け活動を自律的に実施できることを目指す。

3. 社会参画と実践
3.1.若者による地域活動(若者グループ):2.2.の研修を受けた若者主導で地域の若者・青少年・子どもに関する活動を実践したり課題を解決していく活動を担う。
3.2.青少年向け研修:次世代の若者の社会参画への準備として、2.2.の研修を受けた若者が講師となり地域の青少年を対象にライフスキル研修を行う。
3.3.子ども向け活動:外部団体の協力を得ながら、2.2.の研修を受けた若者が地域の子ども向け活動を実施する。

若者へのTraining of Trainers(ToT)研修

ToT研修では、研修終了後に若者たちが、若者同士協力しながら、また地域の方たちとも話し合いながら、様々な地域活動や子ども向け活動を実践していけるよう、グループでの意思決定、問題解決や、子どもと関わるときの注意点、美術、音楽、演劇などについて学んでいます。

今日は、地域活動に関わる、グループでの意思決定や問題解決等といった内容の研修について一例を紹介します。
研修はAl-Reef Palestinian Cinemaという団体から講師を派遣していただき、実施しています。

参加者が5、6人のグループにわかれ、各グループに、ストーリーが書かれた用紙が配られます。内容は下記のようなものです。

「ボトルに飲み物を詰める工場で、事業の拡大に応じ、高性能と有名な新しい機械を導入した。ある日、飲み物が入っていないボトルが大量にあることに気づいたが、顧客の一人がもうすぐ工場に来る予定があり、すぐに対応しなければならない。どんな解決策がありえるか?」
この事例をもとに、グループ内で意見を出し合い、どのような解決策があり得るかアイディアを出し合います。
グループで一度話しあった後に、物語の続きが示されます。

「工場内で最年長労働者の一人、フアッドさんは最新の機械を取り扱うことが苦手だが、解決策があると申し出た。彼の提案は、空のボトルは重さがないのだから、大きな扇風機を持ってきて空のボトルを吹き飛ばすというものだった」
このグループワークの後、どんなことを学んだか、ということをみんなで振り返ります。
例えば解決案は一つだけではなく、複数の解決案がありうる、問題の本質を知ってから解決案を考えられる、複雑じゃなくてシンプルな解決案もありうる、といった声が共有されました。

同じように、これは意思決定のワークです、問題解決のワークです、と示されるわけではないのですが、事例を用い、それをグループで考えて発表するというワークを通し、グループごとの意思決定方法の違い、問題解決方法、グループ内での異なる意見の大切さ、意見に固執しないで説明したり、人の意見を聞く、そのプロセスを通して変化を起こせることなどを学んでいます。
また、パレスチナの社会の中に政府組織、企業、市民組織などさまざまな組織があり、各組織と若者たちの関係、若者たちがすべてのセクターに対して働きかけることができること、例えば政策提案や働きかけ、ボランティア、地域活動など、イニシアティブ(主導権)を持って色んなことができることについてもみんなで考えました。

研修を終えて

参加者からは

「ネガティブなことがあっても、そのことばかりに焦点をあてなくなった。ネガティブなことでも何か意味があるかもと思うようになった」

「他の人の意見を受け入れるなど、研修で学んだことを日常生活でも使おうとしている」

といった声がありました。

約3ヶ月ぶりの出張で若者たちの研修に参加しましたが、多くの若者たちが研修中に熱心にメモをとり、学んだことを活かして今後どのように自分たちの地域社会で、地域の方々や青少年と意見交換しながら活動を実践していけるか、真剣に考えている様子が伝わりました。

今後、さらに音楽、演劇等子どもへの活動提供に関する研修の他、若者による活動を事業終了後も継続していけるよう、色々なNGOや企業、政府機関等とのネットワーキング、予算申請などに関する研修を実施していきます。

※パレスチナにおけるKnKの活動は、外務省「日本NGO連携無償資金協力」の助成、ならびに日本の皆さまからのご寄付で成り立っています。

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50en imakihu
5,000円で、5人の青少年が1ヵ月間、学校に通えます。
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