活動ニュース

パレスチナ:若者向け研修実施のご報告

前回報告(パレスチナのヨルダン渓谷で若者を中心にした新しい事業を開始)の通り、パレスチナで新規事業を2023年2月から開始しました。

若者にとっては、今は彼らの集まれる場所がなく、毎日同じような生活が続き、人生において達成できているものが何ひとつないと感じるような環境の中にあります。また子どもたちにとっては、安全に遊べる場所がありません。
若者たちが自分たちの能力やアイディアを活かし、地域のために貢献できる場や機会を作り、青少年、子どもへの支援そのものの拡充を目指すことが必要です。

新規事業の実施

長期的には彼らの心理・社会的充足感の向上を目指すことが必要です。そのため下記のような事業を実施しています。

1. 拠点の整備:若者が集まれる活動拠点を整備する。


2. 能力育成

2.1.若者の能力育成研修:ヨルダン渓谷4村の若者を対象に、自己理解、他者受容などのライフスキル研修を実施する。
2.2.若者へのTraining of Trainers:2.1の研修を受けた若者の中から、各地域6名が参加。研修後に地域活動、青少年向け研修、子ども向け活動を自律的に実施できることを目指す。


3. 社会参画と実践

3.1.若者による地域活動(若者グループ):2.2.の研修を受けた若者主導で地域の若者・青少年・子どもに関する活動を実践したり課題を解決していく活動を担う。
3.2.青少年向け研修:次世代の若者の社会参画への準備として、2.2.の研修を受けた若者が講師となり地域の青少年を対象にライフスキル研修を行う。
3.3.子ども向け活動:外部団体の協力を得ながら、2.2.の研修を受けた若者が地域の子ども向け活動を実施する。

研修内容の報告

今回は、3月から実施した「2.1.若者の能力育成研修」を5月に終了したため、その報告をします。

ヨルダン渓谷4村の若者50名を対象に、3月から12回にわたるライフスキル研修を実施しました。
異なる村の参加者と一緒に研修を受ける若者たちに、まずは研修の場が安全であること、自分の意見や考えを共有してよいことなどを感じてもらえるように、椅子取りゲームなどの体を動かすアイスブレークのような活動や、体の動きや声のトーンで色々なものを表現するような活動を行いました。
また、自分自身を絵や文章で表現したり、自分の怒りを表現するといった、自分の内面を表現するような活動なども行いました。
それらの活動の中では、自分の好きなものを書き出し、それをきっかけに会話を引き出したり、自分の悩みを打ち明けるような場面も見られ、若者たちが楽しみながら、自分自身と向き合っている様子を垣間見ることもできました。


研修後の若者たちの変化

12回の研修を通し、私たちの目から見ても若者たちに色々な変化が見られました。

〇 研修の最初のころは集中できず、研修中に携帯電話を使っている若者もいたが、研修中に携帯電話を使用する若者はいなくなった。
〇 研修の最初の数回は、遅刻する若者が多かったが、回を重ねるごとに遅刻者が減り、時間を守るようになった。
〇 最初のころは話すときに人と目を合わせなかった若者が、しっかり人の目を見て話すようになった。
〇 他の村との交流が日頃あまりなかった村の若者たちは、当初他の村の若者と一緒に研修を行うことに懸念を示し、休憩中も村同士でかたまっているようだった。しかし途中からは、「他の村の若者と一緒でも緊張しなくなった」との声が聞かれ、4村一緒の研修を行ったり、最終日の修了書授与式も一緒に行いたいと若者たちの方から声が挙がった。

アンケート結果

研修に参加した若者たちに実施したアンケートから回答の一部を紹介します。

〇 研修を通して、精神的に強くなり、自分の意見を表現できるようになった。
〇 研修を通し、研修のことや自分たち自身のことなどについて表現する機会を持てた。
〇 以前はシャイで、大勢の人の前で話すことができなかったけど、研修を通して、人前で話すことができるようになったし、色々なライフスキルを学べた。そして、自分自身のストレスリリースができたことが一番よかった。
〇 若者や女性たちが彼ら自身のことを理解することに貢献するような研修をぜひ続けてください。そして彼らにリーダーになる機会を提供してください。

第一回目研修と、最後の研修後の自分自身の変化

また、第一回目研修と、最後の研修で自分自身がどのように変化したか、いくつかの項目について若者に振り返ってもらいました。自己表現や他者受容など、自己コントロールなど、多くの項目で若者自身が自分たちの変化を感じていることがわかりました。

<研修中、自分の意見を表現することに抵抗がなかった>

<他の人を受け入れられる>

<他者から受け入れられ、理解されていると感じる>

これまでは、同世代で集まって意見交換をしたりすることがなかなかできない、毎日が同じ生活で、人生で達成できているものが何ひとつないといった声がニーズアセスメントでは聞かれていましたが、研修中は若者たちは本当に生き生き、のびのびと研修を楽しんでいました。
今後は、さらにグループ内での意思決定やファシリテーションなどの研修を実施することにより、自分たちのアイディアを実現したり、地域の課題を解決したりすることができるような若者社会参画を進めていきたいと思っています。

終了式の様子

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