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パレスチナのヨルダン渓谷で若者を中心にした新しい事業を開始

KnKは、2023年2月より、パレスチナ自治区ジェリコ県ヨルダン渓谷において、若者への研修と社会参画の後押し、および子ども向けの活動を開始しました。
私たちは2017年から2021年まで、ジェリコ県ジェリコ市において、教員への研修や保護者向けワークショップ、子ども支援センターでの活動を通して、子ども支援の拡充を目指す事業を行いましたが、今回の事業では、対象地をヨルダン渓谷の村とし、18~26歳の若者を中心に事業を行います。

ヨルダン渓谷は、ヨルダン川を中心に、東はヨルダン、西はパレスチナとなっており、美しい溪谷である一方、パレスチナのヨルダン渓谷は、その多くがイスラエルが治安、行政を管理するエリアCと、イスラエルが治安を、パレスチナが行政を管理するエリアB*となっており、ユダヤ人入植地と、ユダヤ人の大規模農園がパレスチナ人の村の間に入り組むように広がっている地域です。他地域への公共交通機関も限られており、子どもや若者が遊んだり集まれるセンターや公園も少なく、2020年には、ネタニヤフ首相がイスラエルへの併合の意向を示すなど、政治的にも不安定な地域です。

ヨルダン渓谷の東側。ユダヤ人の大規模農園が広がる。

前事業を行う中で、ヨルダン渓谷の若者や子どもたち、保護者の方々に聞き取り調査をしたところ、子どもからは「遊べる場所がない」保護者からは「子どもが安全に遊べる場所や機会がなく、山に入って蛇に噛まれたり、イスラエル軍が訓練で使った武器の残骸でケガをした」と言った声が、若者からは「毎日が同じ生活で、人生で何も達成できていないと感じる」「地域のために何かしたいが、その機会がない」「新しいことを学びたいが、村以外の場所に行くのが難しい」と言った声が聞かれました。

パレスチナの心理ケア団体がヨルダン渓谷において行った調査では、退屈感を感じたり、自分を無価値と感じる、人生に絶望している、という若者や大人が多いという報告もあります。

パレスチナの若者は、イスラエル政府による占領政策の中、移動制限や日々の暴力を目の当たりにし、自分の希望が叶えられないことから虚無感を抱き、占領に対する対抗の手段として、時に武装化し、イスラエル兵や入植者に対して攻撃的になるケースもあります。国や地域のために何かしたい気持ちを受け入れてくれる場所として、占領に対抗する武装勢力を選ぶ若者もいます。子どもも、政治的なことをきちんと理解しないまま、イスラエル軍に投石し、その結果、拘留、尋問されるケースも実際にヨルダン渓谷の村で報告されています。

こうした状況の中、本事業では、若者や子どもたちが安全に集い、遊べる活動の拠点を地域に整備するとともに、若者が、地域において活動し、青少年向けの研修や子ども向け活動を行えるよう、ライフスキルやイニシアティブの研修を行います。

私たちが調査をする中で、「自分の人生は、お茶を飲むだけの人生だ」と言った女性がいました。こういった若者たちに、新しいスキルを学ぶ楽しさや、地域において自分が必要な存在で、何かをやり遂げる力があることを、彼らと一緒に考え、作っていきたいと思います。

青丸が事業地。画像はアルジャジーラから。

*エリアごとの管轄-エリアA:行政・治安共にパレスチナ、エリアB:行政パレスチナ・治安イスラエル、エリアC:行政・治安共にイスラエル

 

 

※パレスチナにおけるKnKの活動は、外務省「日本NGO連携無償資金協力」の助成、ならびに日本の皆さまからのご寄付で成り立っています。

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