活動ニュース

パキスタンのサイクロン被害 ~支援により生活基盤が整い始めています~

報告:パキスタン事業担当 大竹 綾子

昨年、壊滅的な洪水の被害を被ったパキスタンは今年も大雨やサイクロンに見舞われています。

KnKは、昨年の水害で被災した世帯に対し、シェルターや家屋修復の資材、共用トイレを提供して生活の場を整え、水のろ過装置をコミュニティに設置することで人々が安全な飲み水を確保できるよう支援してきました。
しかし、今年4月以降、被災した人々に追い打ちをかけるように、KnKの活動する南西部、特にバロチスタン州では、大雨による河川の氾濫や鉄砲水により避難所や橋などのインフラが破壊されています。
そして今年5月には強風と雷雨がシンド州とバロチスタン州を襲い、KnKの活動で支援したシェルターやテント、水のろ過装置も一部被害を受けてしまいました。
シェルターの屋根を結束ワイヤーで結んだり、竹枠を追加して屋根を修繕、また損傷したろ過装置を修理するなど、現地チームはコミュニティと協力して迅速に対策を行いながら支援を続けています。

屋根が破損した建設中のシェルターを修繕する様子。

不具合が起きた水のろ過装置を修理する様子。

サイクロンの後も手を加えれば元通り暮らせます。

シェルター建設では女性たちも積極的に参加しました。

ろ過装置で汲んだ水をシェルターへ運ぶ少女。

家畜は人々の暮らしに欠かせません。

子どもや女性たちが安全に利用しやすい給水所。

水の管理委員会も結成されました。

一方、パキスタンの2023年2月のインフレ率の前年比は、過去49年間で最高値をマークしたそうです。この極端なインフレの影響は人々の生活をますます困難なものにしています。
洪水からほぼ1年が経過したにも関わらず、洪水の影響を受けた地域では1,050万人が深刻な食糧不安に直面しているといわれます。

特に子どもの栄養状態が悪化しており、5歳未満で亡くなった子どものほぼ半数が栄養不足によるという報告もあります。被災地で暮らす人々は昨年の洪水被害から回復する間もなく、今なお不安の尽きない毎日を送り、子どもたちの健康とウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好な状態)も脅かされたままです。

「国の南西部のこの辺りは、豪雨やサイクロン、そして地震も頻繁に発生する自然災害の多い地域です。加えて、この地域には、実はGBV(Gender-based violence: ジェンダーに基づく暴力)の問題も数多くあります」現地代表のジャベッド・イクバルが教えてくれました。
被災地ではとりわけ子どもや女性たちがより大きな影響を受けるといわれます。災害の波にのみこまれがちな女の子たちがさらに安全や尊厳を損なわれることのないように、KnKが今後どうコミットできるか考えていきたいと思います。

生活の基盤が日々整い始めています。

参考文献:UNOCHA, Pakistan: 2022 Monsoon Floods Situation Report No.17, 13th June 2023

※ パキスタンにおけるKnKの当活動は、認定NPO法人ジャパン・プラットフォームの助成ならびに日本の皆さまからのご寄付で成り立っています。

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50en imakihu
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