活動ニュース

女子教育向上のための新しい試み ~ガールズユースアンバサダー(GYA)~

報告:KnK スタッフ・パキスタン事業担当 大竹 綾子

パキスタンでは、2022年に発生した水害被害の大きかった南部のシンド州とバロチスタン州での緊急支援を実施しながら、北西部ハイバル・パフトゥンハー(KP)州での女子教育向上の活動も継続して行っています。

「東京の女性区長倍増」という見出しが新聞の一面を飾るほど、昨今日本でもジェンダー問題が注視されていますが、パキスタンのジェンダー格差は南アジアの中でも特に顕著です。ジェンダーギャップ指数のパキスタンの総合順位は、世界146ヵ国の中で145位、中等教育就学率では124位に位置しています(Global Gender Gap Report 2022, World Economic Forum)。中でもKP州は、青少年(15~24歳)の識字率が男子85%に対し女子が49%(Pakistan Social & Living Standard Measurement Survey, PSLM) 2019-2020)と教育のジェンダー格差が大きく、その改善が喫緊の課題となっています。特に農村部の女子がアクセスできる中学、高等学校が圧倒的に不足しており、施設の不足に加えて、早期結婚、不平等な社会規範も教育機会の男女格差を加速しています。

KnKは、そうした状況の続くKP州で女子の中等教育へのアクセス向上に取り組み、女子が日々の生活においても意思決定や主体性を持って地域で活躍していくことができるよう支援しています。特に2022年からは、女子大学生など多様なアクターを巻き込んで積極的なアドボカシー活動を展開しています。

GYAとのセッションの後は、学生たちの勉強のモチベーションもあがる

女子中学校をGYAが訪問。多くの中学生が集まってくれた

女子教育向上を訴求するための新しい試みとして、Hazara大学の女子学生計31名がガールズユースアンバサダー(GYA)として任命され、活動を開始しています。GYAは、中高生の女子のロールモデルとなって、学校を訪問し女子生徒への動機づけや力づけを行うと同時に、自身の経験から女の子たちの生の声をとりまとめ、州レベルの政策提言セミナーにも出席しています。草の根の女子の声が政策に届き、「空席の女性教員を確実に配置してほしい」「児童婚に関わる法律の施行を望む」など女子教育推進のための具体的な策が主にGYAによって提言されたことは、女子学生やGYAなど当事者自身にとっても教育や行政の関係者にとっても大きな一歩になったのではないかと考えています。

TV番組のトークショーにGYAも出演

女子中学生の悩み相談を受けるGYA

GYAは現場から政策レベルへの橋渡しをする重要で有効なアドボカシー人材であるといえます。GYAは、外部からでなく内部から、上から目線でなく下からの意見のくみ上げも行い、当事者として人々の意識や行動の変化をより効果的にそしてソフトに促すことができるとも考えています。また、活動に関わることで彼女たち自身も変化、成長し続けることが可能になるという両得のメリットもあるのではないでしょうか。ですが、女の子たちがたとえ力をつけても、それを受け入れるキャパや意識、構造が大人たちや社会の側になければ、その価値も発揮されません。そこにどうコミットしていくのか、NGOとしての役割が問われているように思います。

政策提言セミナーには多くのGYAが参加した

 

※ パキスタンにおけるKnKの活動は、外務省「日本NGO連携無償資金協力」の活用、ならびに日本の皆さまからのご寄付で成り立っています。

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50en imakihu
5,000円で、5人の青少年が1ヵ月間、学校に通えます。
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【パキスタン活動概要】

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