活動ニュース

「女子の中等教育へのアクセス拡大と質の向上事業」が始まりました

学校不足が生むジェンダー格差

パキスタンでは、全国の識字率(10歳以上)が、男性71%に対し女性41%、都市部74%に対し農村部51%*と、ジェンダー間、都市・農村間の格差が歴然としています。特に教育におけるジェンダー格差は顕著で、女子教育の解決はパキスタンの開発に不可欠です。
中でもKnKが2005年から活動しているハイバル・パフトゥンハー(KP)州では、農村部の女子がアクセスできる学校が不十分で、11~16歳の女子の約1/4が学校に通えていません。女子の学校中退や児童労働、さらに児童婚などの問題はとても深刻です。現地では特に中等教育以上の学校が圧倒的に不足しています。
KP州では、たとえば、一つの学区内に小学校が12校ある場合でも女子の通える中学校はたったの1校しかありません。小学校を卒業し、勉強をもっと続けたいと思っても、進学できる中学校や高校が地域に存在しないのです。
*Pakistan Social & Living Standards Measurement Survey (PSLM) 2018-19

教室が足りないため、小学校校舎の廊下で授業を受ける女子中学生

校舎が建つのを心待ちにしながら、青空教室で学ぶ

女子教育の大切さ

KnKは、2017年7月から2020年5月にかけて、KP州マンセラ郡で計19校の学校環境を整備。現地の女子教育の向上に注力してきました。これまでの事業で女子が安心して学習できる環境が整うと、生徒からは「家よりも学校にいるほうが居心地がよい」といった声も多く聞こえてきました。校庭でバレーボールをしたり、スピーチコンテストや舞台パフォーマンスを自分たちで催したりして学校生活を楽しみ、好奇心をもって新しいことにチャレンジする女の子たちの姿が印象に残ります。

ある学校の女子生徒は「校舎の設計、教室のサイズ、家具や照明、換気から衛生施設に至るまですべてが変わりました。何より重要な変化は先生方の態度です。新しい環境が私たちの学びを支えてくれるようになりました。」と話してくれました。
また、保護者からは次のような感想がありました。「長い間校舎もなく学校が安全でなかったために、上の娘2人は小学校卒業後、新しい学校ができるのを待ちながら自分たちで勉強し続けました。でも高校が整備されて一番下の娘は高校まで行くことができました。女の子にとってこうした学習環境は将来の安心を買うことと同じです。今は私も下の娘から識字や算数を習い始めたので、いつか読み書きができるようになるはずです。」
KnK研修を受けたPTAの男性メンバーからは「男子に対する教育は個人のものだが、女子への教育は全ての人が恩恵を受け得る」という言葉も聞かれました。

女子が自由に学べる環境が必要です

女子教育へのこれからの取り組み(対象地域の拡大と質の向上)

事業では計13ヵ所のコミュニティでアドボカシーグループが形成されました。ドロップアウトしてしまった女子の親と話をしたり、教員の足りていない学校へ配置を要請するなど、地域の女子教育の問題について、現地の政府に対して声を上げるくらい活発になったグループもあります。
ですが、こうしたコミュニティレベルの取り組みや行政との連携の効果は地域内に留まりがちで、教育政策の立案や予算の決定などはやはり州レベルの政府の役目です。こうした状況から、KnKは女子教育をもっと広い範囲で推進していこうと、対象地域をKP州の計4郡に拡げ、女子の中等教育へのアクセス拡大と質の向上事業を開始します。州政府にも働きかけを行いながら、山間集落に住む女子が中等教育にアクセスすることで将来の選択肢を拡げていけるよう後押ししていきます。女子が教育を受け、格差や不平等を主体的に解決していくことが次の世代の一人ひとりの人生を変えていくものと思っています。

村や学校は河の向こう岸にあります。調査の際も河を渡って学校を訪問しました。

 

※ パキスタンにおけるKnKの活動は、外務省「日本NGO連携無償資金協力」の活用、ならびに日本の皆さまからのご寄付で成り立っています。

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5,000円で、5人の青少年が1ヵ月間、学校に通えます。
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