スタッフ日記 認定NPO法人国境なき子どもたちブログ

I love discussion!

こんにちは、フィリピン事業担当の久野です。

私がKnKで働き始めたのは2010年の5月、最初の約1年間はフィリピンに駐在していました。
初めてのフィリピン、初めてのNGOでの勤務、日本人駐在は一人、と、わからないことも多く、最初の数ヶ月は自分から何か意見をいうというよりは、子どもたちや地域状況、スタッフや文化のことを学ぶ時間だったように思います。

東日本大震災後、岩手県で約1年駐在後、東京事務局勤務となり、2012年以降、フィリピンには年に1~3回程度出張に行くという関わりになりました。
今も現地チームや子どもたちから学ぶこと、感嘆することが多いことに違いはありませんが、2010年と比較すると、スタッフと意見交換することが増えてきたように思います。

「今までやってきた●●について、私としては違和感があるけど、どう思いますか?」
「先日実施した◆◆について、どういう風に感じましたか?」
など、自分の意見を共有したり、チームスタッフに感じたことや考えを共有してもらったり。
「私とは違う意見だろうな」と思うことが同じ意見で驚くこともありますし、逆に同じ意見になることばかりでもありません。
ただ、そういうやりとりを通して、自分にはなかった新たな視点を得られたり、価値観や問題意識を共有したり、お互いを理解し合い、信頼関係を築いていっているように思います。

出張中のミーティング

10月にも3週間ほど出張に行っていたのですが、自分の中で悩んでいることがあり、2001年のKnKフィリピン立ち上げから今も団体を率いている代表のアグネスさんに「ご意見をききたいことがあるんですけど」と声をかけたら、「おいで、おいで」と部屋に入り、時間をとってくださいました。
「このことについてどう思いますか?」という私の問いに対し、ご自身の意見を話してくださり、私の考えや、関係者の考えも聞いてくださいました。
また、私が声をかけたその時だけではなく、その後も「あのことについて考えたんだけど」と、何を判断の拠り所とするのか、考えられる方針、意思決定によるインパクトなどについて複数回声をかけてくださり、帰国後もメールで参考になりそうな資料を送ってくださいました。

どんな意見でも聞いてくださり、一緒に考えてくださる姿勢に私はとても救われ、「私の話を聞いてくださり、一緒に考えてくださりありがとうございます」とお伝えしたところ、返ってきたのは「I love discussion!」という言葉でした。20年以上団体を率い、経験も団体の中で最長のアグネスさんですが、日ごろからスタッフと意見交換し、自分の判断が主観的ではないか、色々な側面から検討できているか見直している、とのことでした。
確かに2010年にもアグネスさんのご意見を伺ったときにも、「これはスタッフと話した方がいい、私よりもスタッフの方がよくわかっている」と、自分がすべてについて知っているわけではない、ある側面において自分よりも経験があったり、知識があるスタッフがいると考え、他スタッフと意見交換していらしたのを覚えています。

子どもの読書をサポートするアグネスさん

日本社会、世界を見ていても、公正と思えない判断でも、誰かの権利を侵害していても、決定できてしまう立場の人がいること、その責任の重さについて考えています。決定権にある立場の人も、そうでない人も、むしろ自分と反対意見の人とも積極的に意見交換し、自分の意見が客観的か、あらゆる側面から検討できているか、誰かの権利、子どもの権利を侵害していないか、届きにくい声をつぶしていないか、自分を見直すことが大事なことなんだろうと思います。
私自身、考えや意見が独断的になってしまわないよう、アグネスさんの「I love discussion!」という言葉を大事に自覚的でありたいと思います。

 

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