活動ニュース

子どもたちの成長を願い、動くスラムの保護者たち

前回のニュース記事で、コロナ禍緊急支援として、KnK活動地であるマニラのスラム2地域で、食料と衛生用品の配布を実施したことをご報告しましたが、今回は、フィリピン人スタッフから聞き取りした活動地の様子をお伝えします。まず、フィリピンにおけるコロナ禍の状況は現在、日本と同じ傾向にあり、7月にデルタ株の感染流行が始まって以来、1日の新規感染者数は15,000人以上と、新型コロナウイルス感染症の感染拡大以来のピークに達し、亡くなられた方も1日250人以上と報告されています。このため現地では8月6日から、移動が最も厳しく制限される「強化されたコミュニティ隔離措置」が再び始まりました。

フィリピンでは断続的なロックダウンがずっと続いていますが、17歳以下の子どもたちはと言うと、パンデミック以来、外出禁止令が継続されており、子どもたちは、自宅かその周辺で過ごすことしかできていません。

子どもたちの行動範囲は、とても狭い状況

外で思いきり身体を動かして遊べず、窮屈な家の中で過ごすしかない、また、保護者が仕事を失ってお金がないため、一日一食とれるかどうかも分からない…、そんな退屈と、空腹と、失望といった負の感情で子どもたちはストレスが溜まり、心身への影響が大変心配されます。中には、家族の日々の食事代を稼ぐために、ゴミ拾いに出かけたり、夜に路上で野菜を売ったりする子どもも、最近ますます増えてきています。

そういった子どもたちの心配な様子を見て、保護者である大人たちも、なんとか収入を得ようと、特に女性たちは、ベビーシッターや洗濯、野菜売りなどでお金を得たり、家族をおいて出稼ぎにでるなど、必死に努力を続けています。

また、コロナ禍以前にマーケットで実施していた読み書き教室は、「モバイルライブラリー(移動図書館)」という形に変わって、子どもたちが自宅でも楽しく学ぶ機会を提供していますが、この取り組みは、家で退屈する子どもを見かねた保護者の方々によって始まり、今ではこの活動に関わる保護者ボランティアも、立ちあげ当時の15人から現在は40人に増えて、熱心に続けられています。

モバイルライブラリーの活動で、貸し出す本などを準備する保護者ボランティア

モバイルライブラリーでは、ボランティアやKnKスタッフが家々をまわって本を貸し出します。保護者は3~5冊ほどを借りて自宅で子どもたちに読み聞かせをし、読み終わったら返却して新たに本を借りるサイクルで、本の返却の際は、その本を通して子どもたちとどんな会話のやり取りがあり、学びがあったか、ということを報告してもらっています。

次に読む絵本を選んだ親子。自宅の入り口で。

昨年以来、緊急支援を受けてきた保護者の方々は、KnKの支援が心から嬉しかったということで、「何かKnKのために力になりたい」「子どもたちのためにできることをしたい」と、先のモバイルライブラリーのほか、家庭教師や、コロナやワクチンに関する地域の啓発活動に協力してくれています。「The food distribution created voluntarism and helping one another(食料支援がボランタリズムや助け合いの気持ちを醸成しています)」と、現地スタッフが伝えてくれました。

保護者の集まりで、ワクチン接種について情報を伝える現地スタッフ。

このように、生活は苦しく、不安がいつまでも拭えませんが、コロナ禍という困難の中で、子どもたちのために地域で芽生えた熱意や創意工夫、また助け合いの気持ちは、明るく前向きです。最善の結果となることを願い、KnKも現地と一丸となり、フィリピンだけでなく、活動地の子どもたち皆が、夢を持ち続けられるよう支援を続けて参ります。これからも一緒に応援いただきたく、よろしくお願いいたします。

2021年夏のご寄付のお願い 例えば5000円あれば、フィリピンのスラム地域の若者30名が約2週間、高校卒業認定の資格を目指す授業を受けられます。

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【フィリピン活動概要】

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