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フィリピン:「若者の家」で生活するチャンチャン(仮名)からの手紙

KnKはフィリピンの首都マニラで居住型施設「若者の家」を運営しています。
ここでは、育児放棄や虐待された子ども、ストリートチルドレン、法に抵触した青少年など特別な保護を必要とする子どもたちが、家庭のような環境で生活し、教育と愛情を受け、健全な社会生活ができるよう後押ししています。

「若者の家」で暮らすチャンチャン(仮名)から届いた手紙をご紹介します。
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「蝶と同じように、逆境は人々の人格を構築するために必要です」

“As with the butterfly, adversity is necessary to build character in people.”
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僕の人生の第一章は、課題と言葉にならないものであふれていた。
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僕はマニラ首都圏の北部で生まれ、双子の妹を含めて3人兄弟で育った。僕は兄弟の中では2番目だ。
僕の両親はモノを売る仕事をしていて、僕はいい子どもであり、いい生徒でもあった。
5年生になるころにはだんだん行儀が悪くなってきて、勉強にも影響が出始めた。授業をさぼったり、ケンカをして先生にも捕まえられるようになり、父さんも学校に何度も呼び出されるようになった。5年生を終えるためにいろいろな小学校に通ったけれど、5年生から進級できることができなかった。4回目の5年生をしていたとき、ほとんどの友だちが進級していることに気づいた。僕は、遅れていたんだ。僕はそのことを真剣に考えるようになった。真面目に学校に通うようになり、トラブルにも巻き込まれないようにした。
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そんなある日、おばあちゃんが学校に来て言った。
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「お母さんが亡くなった」
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僕の希望も、努力も、夢も、すべて砕け散った。
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最悪だったのは、お母さんが埋葬されたとき、誰も僕に教えてくれなかったこと。
僕は、喪失感を感じ、見捨てられたと思った。
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前の僕が戻ってきた。
学校に行くのをやめた。
僕は悪いことをして捕まって、青少年収容所にいれられた。
それは、僕の人生でも最も暗く、つらい日々だった。
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「あおむしが世界が終わると思ったちょうどその時、彼は蝶に変わりました」

“Just when the caterpillar thought the world was over, it became a butterfly.”
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僕が希望を失いそうになっていたそのとき、KnKの人が来た。青少年収容所から僕を出してくれ、「若者の家」に連れてきてくれた。彼らが僕にシャワーを浴びさせてくれ、ヘルスセンターに連れて行ってくれたとき、僕は驚いた。「若者の家」にいることは僕の人生と僕の将来を変えた。ここは、僕にとってただのシェルターではない。ここでは僕は普通の子どもなんだ。学校にも通い、ご飯もきちんと食べられ、そして安全だと感じられる。幸せが僕の人生を満たしている。
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僕を受け入れてくれる友だち、僕を指南してくれるハウスペアレント、学校の活動で難しいことがあっても教えてくれる先生に出会った。僕は、ここで家族を見つけた。みんなが僕のモチベーションをあげてくれ、大志を抱かせてくれる。日が経つにつれ、教育の価値が増していく。たくさんの活動を通して、僕の中に自信が芽生えてきた。
僕の生活は、新型コロナウイルスに襲われた今もなお、ちっとも退屈ではない。勉強は避けられないし、一番困難だけれども、僕のこの先の人生には明るい未来があることを知っているから、努力をしている。
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僕がKnKの「若者の家」に感謝していることはたくさんある。

まず、僕の心に希望を植え付けてくれた。人生はバラのベッドのようではないかもしれないけれど、生きている限り、希望と未来がある。
次に、僕の年齢は本来の学年よりも大きいけれど、そんなことは気にすることではなく、僕に自信をつけてくれることで、モチベーションをあげてくれた。一番大事なことは、勉強をやり遂げたいという意志だ。僕は学年の中間を合格することができた。今、僕は7年生になり、勉強もきちんとやっている。
そして最後に、僕に自由に息をさせてくれていること、自分のすべての権利を享受できる普通の子どものように生活させてくれていることに感謝をしている。

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僕が経験したすべてのことを通し、アルバート・カミュの次の言葉を引用したい。

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「真冬が訪れたとき、私はようやく気付いた。私の中に不屈の夏があることを」

“In the depth of winter, I finally learned that within me there lay an invincible summer”
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5,000円で、5人の青少年が1ヵ月間、学校に通えます。
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