報告者:パレスチナ事業担当 大竹菜緒
パレスチナ・ヨルダン渓谷では、外務省「日本NGO連携無償資金協力」において「ヨルダン渓谷における若者の社会参画支援および青少年、子ども支援の拡充事業」の3年目の活動を、2025年11月から開始しました。
第二グループが研修を経て、これから自らの住む地域で子どもたちやコミュニティ向けの活動を実施し、事業終了後もそのような繋がりを継続できるような持続性の点にも引き続き目を向けて活動を続けていきます。
さて今回ご報告するのは、先日第二グループの若者を対象に実施したチームビルディングを目的とする研修です。私たち日本人スタッフもオブザーバーとして参加したので、どのような研修だったのか、お伝えしたいと思います。
研修の最初は、アイスブレイクから始まります。「氷(アイス)を壊す(ブレイク)」という言葉通り、緊張や心理的な壁を取り除くために簡単なアクティビティを取り入れるのですが、パレスチナ人スタッフたちは研修はもちろんのこと、このアイスブレイクの時間も受講するユースの特性や性格を考慮して、様々なアクティビティを取り入れています。
今回のアイスブレイクでは、2チームに分かれ、それぞれの陣地のスタートラインから一人ずつ、前に1歩ずつ進みます。誰が進むかは、話し合ったり会話したりしてはならず、素早くチーム内で目くばせや、相手の動きなどを察知して即座に決める必要があります。もし同時に2人のメンバーが進んでしまうと、両者ともアウトでスタートラインに下がらなければなりません。対岸から同じく進んでいる相手チームをタッチすることができたら成功、タッチされてしまった人はスタートラインに下がります。言葉を交わすことを制限される中どのように相手を観察し、動いていくかがポイントになりますが、スタートラインから抜け出せない人も続出して、悲鳴が上がっていました。

アイスブレイク中の様子。手前右の参加者が着ているのは、それぞれの村の若者たちがデザインしたロゴの入ったベストです。
アイスブレイクが終わり、研修の核となる時間に移っていきます。タイムマネジメントを実践から学ぶということで、「宝探しチャレンジ」なるアクティビティを実施しました。
これは3チームに分かれ、各チーム6名で30分間で15個の指定された「お宝」を研修会場の周辺から持ち集めるという内容でした。「お宝」の中には、「3ミリ以上の厚い小石」や、「子ども向け活動に使えそうな道具」、「チームワークを表現した写真」など、個性的なものが多く、一筋縄ではいかなそうです。お題を読み合わせた後、各チームでの宝探しの時間が始まりました。30分間でこれだけ多くの「お宝」を集めるには、作戦が必要です。あるチームは手分けをして集めることにしたチームもいれば、一つずつクリアしていこうとするチームもいました。

「お宝」のリストを確かめている様子

「お宝」を探しに、会場の外に出て探していきます。
そして、30分経過。会場に戻ってきたメンバーは集中していたのか、顔を赤らめている人もちらほら。それぞれのチームが集めてきたお宝を見える形で発表していきます。小石に関しては、本当に3ミリあるかどうかスタッフが計測して、残念ながらそれに満たないものもあり、落胆の声が上がります。最終的に一番多く集められたチームの「お宝」の数は13個でした。アクティビティの最後には、振り返りの時間を設け、どんな場面でチームとして動く必要性を感じたのか、時間の制約がある中でどうやってタイムマネジメントをしようとしたか、チームとしてよりよい結果を出すために何が役立ったかなど、このアクティビティからの学びを参加者との対話の中で深めていきました。

集めた「お宝」が条件を満たしているか、スタッフが確認します。
次に4チームに分かれ、「ストローで家を建てる」アクティビティを実施しました。これも20分間で、各チーム4~5人でひとつの家をストロー、テープ、はさみのみで完成させ、大きさ、見た目、強度の3つの観点から評価され、高得点のチームが勝利するというものです。
参加者の様子を時間の制約がある中、あるメンバーは焦って単独行動をしてしまったり、怒って声を荒げたり、他のメンバーに任せて半ば放棄する人などが出てきてしまいました。一方、積極的にリーダーシップを取ろうとする人、より得点の高い家を作るため、「ストローの色を揃えて壁を作ってみよう」、「庭をくっつけてみるのもいいのではないか」と意見を出し合う様子も見られました。

このチームは、ストローの色を合わせて壁を作っていきました。
こちらも振り返りの時間では、限られた時間で、複数人のメンバーが力を合わせてひとつのことに取り組む際の注意点を話しました。例えば、今日の「家を作る」ことがテーマであれば、どんな家を作るかの話し合いをして共通のゴールのイメージを持ったうえで、どんな作業が出てきそうか、そしてどの作業を誰がするかの役割分担も必要になってくるだろう、といった具合です。計3時間にわたる研修の最後ではありましたが、集中力を切らさずに真剣に話を聴いている人も多く、実践を通じた学びの深さを改めて実感した研修でした。

ストローで出来上がった家。玄関口用にストローを切ってくり抜いたチームもいました。
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