現在パキスタンでは昨年に引き続き、バロチスタン州のウスタモハマッド郡にて、洪水や老朽化で安全な学習環境が失われた4校の女子の通う初等・中等学校を対象に事業を開始しています。地域の人々の生活は、貧困に加え、酷暑や干ばつ、豪雨や洪水など様々な気候変動の影響を受ける中で、女の子たちはさらに社会習慣的な性別による障壁(GBV:Gender-Based Violence)などを理由に学校へ通う機会を制限されています。
今年も気温上昇により酷暑のため、学校は予定より早く夏休みに入りました。
このような状況下の中、子どもたちはどんな夏休みをして過ごしているのでしょうか。今回は、現在事業対象校に通う10学年(14歳から15歳)の3人の女の子たちのインタビューを紹介します。(※文字数の都合によりインタビューを一部省略しています。)
夏休みは何をして過ごしますか?
Makhdomaさん(10学年)
厳しい暑さの続く夏休みは、料理や掃除といった母の家事の手伝いや、弟や妹の世話をしたり、父親の農業の手伝いをしたりします。こうした日常の役割は大変ですが、周りにいる多くの女の子たちは、私のように家族の一員としての責任感と自分たちの目標の間でバランスを保てるように努力しています。自由な時間があるときは、友だちや近所の女性たちと集まって学校で学んだことを話すことがとても楽しみです。

(左)Makhdomaさん
Sundasさん(10学年)
夏休み中は家にいて、母の家事を積極的にサポートしています。家事は家庭生活の重要な一部だと考えています。同時に、勉強にも力を入れています。夏休みの宿題をしたり、時間があれば自宅で自主的に学習も続けています。この地域にはインターネットのアクセスは限られていますが、学校が休みの日はインターネットで調べたりして勉強しています。私たち女の子にとって学習の場は限られている環境ですが、毎日少しずつでも努力することで、明るい未来へのステップになると信じています。

(右)Sundasさん
Rimzaさん(10学年)
夏休み中は、料理、掃除、家事など、母の家事の手伝いにほとんどの時間を費やしています。母の手伝いの中で、もっとも好きなことはお料理です。料理は、家族の絆が深まる重要な役割を果たします。こうした日々の仕事は単なる家事ではなく、大切なライフスキルを身につけ、自分が家庭で果たしている役割を誇りに思う気持ちを強めてくれます。家事と学業の両立はとても大変ですが、私はそれが有意義でやりがいのある経験だと思っています。新しいレシピをマスターしたり、授業で新しいことを学んだりと、毎日達成感を感じることができるからです。私にとって夏休みは、単なる学校の休みではなく、成長し、学び、人生のあらゆる面で役立つことを学べる貴重な時間です。

(右)Rimzaさん
そのほか、学校で一番好きなことをたずねてみると、授業中のディスカッションで自分の考えを伝えたり、模型づくりのような創造的な活動で自由に表現したりすることだと教えてくれました。また授業の合間の休み時間に友だちとおしゃべりをしたりして自分らしくいられる時間、そんな時間が友だちとの絆を深めてくれると話していました。そして3人とも、さまざまな教科に興味を持ち、熱心に学んでいる様子がとても印象的で、「もっともっと学びたい!」という前向きな気持ちが、たくさん伝わってきました。現在の学校は、壁にひびが入った教室や、豪雨の日には今にも崩れそうで不安を感じさせるような校舎ではありますが、それでも学校という場所が、女の子たちにとって勉強の場であると同時に、友情を育み、心を豊かにしてくれる大切な居場所になっていることに、どこか心の中で安らぎを覚えました。そして何よりも、彼女たちの前向きな姿からは、たくましさや強さが感じられ、校舎の再建を心から待ち望んでいることが伝わってきました。
インタビューを行う前は、子どもたちの夏休みは、学業に打ち込んだり、友だちと楽しく過ごすことを何より望んでいるのだろうと思い込んでいました。しかし、実際に話を聞いてみると、酷暑の中家事や農業など、女の子たちは家族のために日々の暮らしを支え、その大変さはやがて「誇り」へと変わり、自信となって彼女たちを支えていたのです。また、そうした中でも、勉強と家庭の手伝いとのバランスを取りながら、夏休みを過ごしている様子がとても印象的でした。一方で、現在学校に通えない多くの子どもたちの中には、このバランスが崩れてしまい、学びよりも家庭の手伝いを優先せざるを得ない状況にあることが想像できます。現行事業でも引き続き、学校に通っていない女の子たちや、保護者・地域へ向けて女子の就学促進を目指し活動を実施しています。貧困が大きな壁となる地域ではありますが、教育がその連鎖を断ち切る一助となればと心から願っています。







