活動ニュース

パキスタン:未来を切り拓く変革のアンバサダーたち

報告:パキスタン事業担当 村松 さやか

今回はKnKパキスタンのプログラム・マネージャーのマリアムさんより、昨年同国バロチスタン州で実施されたプロジェクトの振り返りや現地の声をお届けします。下記の写真の一部メンバーをご紹介します。右はマリアムさん、中央は現地代表のジャベッドさん、そして左はプロジェクトチームのサイフラーさんです。私たちが現地へいくとみなさん優しく素敵な笑顔で迎えてくれ、時には冗談などを言って場を和ませてくれます。

未来を切り拓く変革のアンバサダーたち

事業対象地のバロチスタン州は、パキスタンの中でも最も気候変動の影響を受けやすい地域の一つで、酷暑、洪水、貧困、そして根深いジェンダー不平等が重なり合う地域です。今回のプロジェクトは、大洪水の被害を受けた女子校の再建、教育の質の向上、また児童婚や女の子だからという理由で学校に通えない子どもたちの学ぶ権利が尊重される社会を目指し実施しました。

障壁のない教育をすべての子どもたちに
私たちの願いは、すべての女の子たちに安心できる学びの場(地域社会)があることです。

そのための4つの目標
1:境界壁や衛生施設を設置し、災害に強い学校を再建すること。
2:ジェンダーに配慮した質の高い教育を提供すること。
3:地域の人々や保護者の女子教育への理解が深まること。
4:女の子たちが不平等な文化的習慣の障壁を乗り越え、教育を受けることで自らの未来を切り開いていけるようになること。

新しい校舎にて

今回のプロジェクトでは、女子生徒自らが学校に通えない女の子たちの家庭へ訪問したり地域へ呼びかけ女子教育促進の活動に取り組みました。校舎の再建だけではなく、こうした活動により就学率は81%、出席率は84%にまで増加し、現在1,300人以上の女子生徒が安全な設備の整った学校で学ぶことができるようになりました。このプロジェクトを通じて、周囲の大人たちはその懸命な女子生徒たちの姿に心を動かされました。

困難への挑戦

プロジェクトを実施していく中で、私たちは様々な困難に立ち向かいました。建設工事では50℃を超える酷暑との闘いや、過去の洪水や例年の大雨による影響を受けた劣悪な土壌により作業は難航しました。さらに、地域に深く根付いた女子教育や早期婚に対する抵抗にも立ち向かいました。
しかし、こうした困難はすべてチャンスに変わりました。
ひとつひとつの課題に対して、創意工夫、地域住民の参画、互いの思いやりが解決へと導きました。例えば、日中の作業を早朝や夜間に切り替えたり、すでにあった設計を再設計し校舎の安全をさらに強化することができました。また学生クラブの生徒たちは酷暑の中で働く作業員への飲料水を提供したり、地域の人々は作業に必要な水路確保など協力をしてくれました。さらに女の子が学校へ通うことに対し理解が少ない地域で、地域のリーダーとなる人々の協力により円滑にセミナーやワークショップが開催されました。このような環境の中でプロジェクトを実施し、女子の権利からGBVや児童婚を強いられた女子たちのサポートに至るまで、私たちは改めて継続した活動の必要性と使命を再認識しました。

私たちが大切にしていること

私たちパキスタンチームは、建築家、エンジニア、教育関係者、地域住民と肩を並べて活動するモビライザーを結集しています。
生徒中心の参加型学習法やGBVに配慮したクラス運営などを学ぶ教員研修、学校運営改善計画の策定、生徒主導のサイエンスフェアやスポーツ大会の開催、GBVや児童婚を強いられた女の子たちのサポート、地域へ向けた女子教育の促進活動など、すべての取り組みに対して、私たちは地域の人々と分かち合い、信頼性を築き、地域の主体性を大切にするという価値観を土台に活動を展開しています。また東京本部のプロジェクトチームによる現地訪問によって、地域の人々の活動はさらに拡充されました。そして女子生徒たちと学校関係者が協働となって実施した活動は地域住民の心を動かし、気候変動に適応した教育システムの緊急性も認識されるようになりました。

学生クラブの生徒たちとKnKスタッフ

熱心に作業に取り組む生徒たち

サイエンスフェアの様子

スポーツ大会より

変革の声
このプロジェクトの特徴は、女の子たち自身が声をあげ主体的に関わっていることです。
彼女たちの活動は多くの大人たちにも影響を与え、学生クラブの結成や就学促進キャンペーンの主導、衛生やジェンダーに基づく暴力に関する啓発活動を通じて、女の子たちはまさに「変革のアンバサダー」として活躍しました。この経験により芽生えた新たな社会観や価値観は、今、彼女たちの希望や志に満ちた新しい物語を作り上げています。
「私たちは単なる生徒ではありません。私たちはチェンジメーカーです(変革を起こす存在)」
―GGHSアーダムプール校の誇り高きクラブメンバーの言葉より

KnK支援者のみなさまへ
私たちはこの事業モデルをさらに広げ、より多くの女の子たちを支援するために、次のステップに向けて新たなプロジェクトを開始しました。みなさまの協力を得て、私たちはこの活動を継続することによって、地域や状況、性別に関わらず、すべての女の子たちが自分の可能性を最大限に発揮できると信じています。
支援者のみなさま、現地パートナーの方々、行政・地域・保護者のみなさま、そしてそのたくましさと夢で私たちを常に鼓舞し続けてくれる女の子たちに心から感謝を込めて。
これからも教室だけでなく、女の子たちの「未来」を共に築いていきましょう!

プロジェクト・マネジャー
マリアム・デュラニ

 

※ パキスタンにおけるKnKの活動は、外務省「日本NGO連携無償資金協力」の活用、ならびに日本の皆さまからのご寄付で成り立っています。

 

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