来年、2016年にフィリピンの自立支援施設「若者の家」は、設立15周年を迎えます。
この間、ストリートチルドレンや育児放棄・虐待の被害にあった子どものべ2,500人以上に温かな居場所と学ぶ喜びを提供してきました。
近年は地域との連携強化で、子どもの環境改善に取り組むサイクルが生まれています。
なぜ、このような支援が必要なのでしょう?
人口9,400万人のフィリピンには現在、25万人ものストリートチルドレンが存在し、その多くがマニラ首都圏に住んでいます。
なぜ、子どもが危険な路上で暮らすのでしょう。
フィリピンでは70年代後半から80年代半ばにかけて起きた経済危機の影響で、貧しい農村から大勢の人々が都市へ移住しました。都市部のスラムが急速に広がり、一部の大富豪と貧しい人々の格差も広がりました。慢性的な仕事不足や劣悪な環境にさらされる大人のストレスが、暴力や虐待、ネグレクト(育児放棄)となって子どもたちに向けられ、多くの青少年が路上生活へと押しやられ、成長した彼らが新たなストリートチルドレンを生み出す「貧困の連鎖」が続いています。
「若者の家」という解決策、そして希望
自立支援施設「若者の家」では、ストリートチルドレンや虐待・育児放棄といった困難に直面した子どもたちを受け入れ、彼らが大人からの愛情やケア、そして教育を受けられる環境をつくっています。
保護が必要であるにも関わらず、さまざまな事情で「子ども」としての時間を奪われていた彼らに、その時間や権利を取り戻してもらい、将来、社会の一員として自立できるよう、準備期間を設けています。
「若者の家」で暮らしている子どもたち
ケヴィン(13歳)
スラム地区の出身で、家族と路上で生活していました。彼自身は学校に通い勉強していましたが、周りの友だちは全員ストリートチルドレンで学校にはいかずシンナーを吸っていました。ケヴィンはKnKスタッフと母親の薦めで「若者の家」で暮らす選択をし、学業に専念できるようになりました。
ネイル(9歳)
父親から育児放棄され、ソーシャルワーカーを通じて「若者の家」にやってきました。彼は悪い大人たちに物乞いをさせられていました。もちろん集めたお金は奪われます。ネイルのように組織に利用されるストリートチルドレンは少なくありませんが、警察が全てを把握し取り締まることは不可能です。ネイルは学校に通ったことがなかったため、「若者の家」に来てからは文字の読み書きから教わっています。
エドワルド(12歳)
スラム地区バゴンシーランの出身です。父親はすでに他界し、1人で4人の子どもたちを育てていた母親はホームヘルパーの仕事で忙しく、留守がちでした。2009年に発生した大型台風で彼らの家は飛ばされてしまいました。緊急避難の時に病気にかかってしまったエドワルドを、KnKが他の兄弟と共に受け入れました。
ルフィー(11歳/仮名)
近所の人のお金を盗んだ容疑で捕まり、鑑別所に収監されていました。彼はとても劣悪な環境に置かれていたため、KnKが法的措置をとって保証人として彼を「若者の家」に受け入れました。「若者の家」で個別指導を受けた後、初めて小学校に通うことができました。学校では算数が得意です。
「若者の家」には、このような背景を持つ子どもたちが何人も暮らしています。
子どもたちの未来へ、寄付を贈ろう。
この冬、KnKは来年15年目を迎える「若者の家」を支えるためのクラウドファンディングに挑戦します。目標は100万円=「若者の家」の運営費2ヵ月分です。
子どもの環境改善サイクルの良い流れを継続するためにも、ぜひ私たちと共にフィリピンの子どもたちの未来を支えてください!
クラウドファンディング(期間:2015年12月1日~2016年1月15日)
~拝啓 十五の君へ~ フィリピンの自立支援施設で暮らす子どもたちの未来を支えたい!
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