KnKが大切にする「子どもの安心・安全」セーフガーディングについて

KnKが大切にする「子どもの安心・安全」セーフガーディングについて

2023.11.17
11月20日は「世界こどもの日」です。1954年に国連によって制定されたこの記念日は、世界の子どもたちの相互理解と福祉の向上を目的とするものです。
毎年、子どもの権利の認識向上と福祉の向上を目指し、世界中で子どもたちが主体となって参加する催しが行われています。

「世界こどもの日」、子どもの権利、子どもの安全

国境なき子どもたち(KnK)は、1997年の設立当初より「憲章」において、「児童の権利に関する宣言」(1959年11月国連採択)に賛同しています。 現在は、「国境を越えてすべての子どもに教育と友情を」というビジョンを掲げて7の国と地域で活動しています。

KnKの活動を行う上で、スタッフ一人一人が「子どもの権利」について感度を高く学び続けることはもちろん、子どもたち自身にも、そして私たちを応援してくださる皆さまにも理解を深めていただこうと、国内外でさまざまな取り組みを行ってきました。

パレスチナ:子ども支援センターで子どもたちと遊ぶ福神派遣員(2019)

最近は国内においても、教育現場、芸能界などでの子どもの権利や人権が守られていない状況が明るみになり、子どもを守るために「日本版DBS*」の法案化を望む声が高まるなど、子どもの人権、安心や安全について、子どもを保護する団体としても改めて考えさせられ、向き合う日々が続いています。はからずも時を同じくして、一昨年より私たちは、子どもたちの安心・安全、「セーフガーディング」についてスタッフ同士で学びあい、個々の意識を向上させ、活動自体にも定着させる取り組みに注力してきました。

今回、「世界こどもの日」に合わせて、私たちKnKが大切にしている「子どもの安心・安全」セーフガーディングについて、ご紹介します。

*日本版DBS(Disclosure and Barring Service)・・・子どもと接する職場で働く人に性犯罪歴がないことを確認する新制度。今年10月の臨時国会では法案提出が見送られた。

なぜ「セーフガーディング」が必要なのか

子どもたちと関わる現場では、支援する側によって子どもの権利が脅かされたり、子どもたちを裏切る行為はあってはならず、決して許されるものではありません。

KnKは、2003年に子どもと若者の保護に関する行動規範を策定し、守ってきました。しかし、残念なことに国際協力の現場を広く見渡すと、他団体の事例等で支援関係者による子どもや若者への暴力や搾取が時折報告されています。

KnKではこの現実を重く受け止め、子どもの保護だけにとどまらず、職員、関係者、事業活動などあらゆる場面で子どもにいかなる危害も及ぼさないよう努め、組織としての責任を果たすべく、昨年秋にセーフガーディング指針を策定しました。この指針では、万が一私たちが関わる子どもが被害を受けた時に、子ども自身、もしくはその現場を目撃した人が臆することなく相談・通報できる環境を整え、迅速な対応、調査、報告を行うよう定めています。

セーフガーディングでは、「子ども」は18歳未満の全ての人を指しています。私たちの支援対象は18歳以上の若者も含まれるため、「子どもと若者のセーフガーディング」としました。

KnKから子どもたちへの約束

KnKが関わる子どもは、各国の子どもたちの他に、日本で開催するイベントや講座に参加してくれる子どもたち、現地のことを学びながら「友情の5円玉キャンペーン」に学校単位で参加してくれる皆さんや、「友情のレポーター」として現地に派遣される子どもも含まれます。

今年は4年振りに「友情のレポーター」を実施できることになり、8月に2人のレポーターがバングラデシュを取材しました。海外で取材を行い、日本と取材先の子どもたちの現状を伝えるのが「友情のレポ ーター」です。帰国後は自分たちが見たこと、知ったことを日本の人々に広く伝え、日本で暮らす私たちにはどのようなことができるのかを考えていくのがその役割です。

バングラデシュ:現地の子どもと交流し取材する友情のレポーター(2023)

現地で支援を受ける子ども(裨益者)に対するインタビューでは、聞き方ひとつで相手を傷つけ、また自分自身が傷つく可能性も少なくありません。「友情のレポーター」に選ばれた日本の子どもたちも安心して取材にあたれるよう、今年から渡航する前の勉強会でセーフガーディングに関する時間も設けました。

友情のレポーターに向けた「セーフガーディング」資料

こんなときは、自分が相談しやすいスタッフに声をかけてください。

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  • いつもより体調がよくない。
  • ケガをした。
  • 持ち物がなくなった。
  • 活動を続けるのがつらくなってきた。
  • 人からイヤなことをされた(言われた)。
  • 人を傷つけてしまったかもしれない。
  • 現地の子どもから助けを求められた。
  • 現地の子どもが何か悪いことしたのを見てしまった。
  • スタッフが約束を守らなかった。など

スタッフは、時にほかの信頼できるスタッフと相談しながらあなたを守ります。

子どもたちを応援してくださる皆さまへ

「最優先とされるべきは、子どもの最善の利益である」

この言葉は、セーフガーディングを説明する上では欠かせないメッセージです。

すべての大人には、子どもの守られる権利を保障する責任があります。
私たちのような団体には、その活動に関わる子どもと若者を危害から守る注意義務があります。それだけでなく、近年は活動を紹介する際の表現、写真の使い方、キーフレーズなどをとっても、子どもたちの尊厳を傷つけてはいないか、利益を損ねる危険はないだろうか、ということに細心の注意を払っています。

私たちは活動中に限らず、日常生活においてもセーフガーディングを遵守するよう心がけています。

また、私たちのパートナー団体やご支援企業の皆さま、そして応援してくださる一般個人の皆さまにも、「最優先とされるべきは、子どもの最善の利益である」という大原則、そしてセーフガーディングに対する理解を深めていただけると、大変ありがたく、心強く思います。

より良い世界、子どもたちが健やかに育てる社会の実現を目指して、これからも共に歩んでいただけますよう、お願い申し上げます。

バングラデシュ:ドロップインセンターの子どもたち。健やかな成長を!(2023)

 

子どもの権利に関する、最近の取組み

【国境を越えて】広げよう!子どもの権利条約キャンペーン

「子どもの権利条約」が国連で採択されて30年、そして日本政府が批准して25年という節目の2019年に、ウェブサイトで特集企画を組み、団体内外の複数の方のコラムなどを通じて18歳未満の子どもの権利について考えました。 詳細はこちら

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「子どもの権利を大切にするために、私たちにできること ~国を越えて共に学ぶ~」

2022年11月20日に、日本国内で子どもの孤立を防ぐために、市民性を醸成する活動に取り組む「認定NPO法人PIECES」と海外の事業地で教育分野の活動をする「認定NPO法人国境なき子どもたち(KnK)」が、それぞれの活動を子どもの権利の視点で見つめ、学びや課題を共有し、私たちに何ができるのか考えるイベントを行いました。 詳細はこちら

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活動現地において「子どもの権利」に関する啓発活動

特にフィリピンチームは、日常的に「子どもの権利」について子どもたちと共に学ぶ機会をつくることを大切にしています。 詳細はこちら

フィリピン:青少年による子どもの権利に関する啓発活動(2022)

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