報告:カンボジア プロジェクト・コーディネーター 武田 望
KnKの事業地である、カンボジア・バンテアイミエンチェイ州は、タイとの国境に接しています。
2025年7月24日以降激化したタイとカンボジア間の国境紛争の影響を受け、バンテアイミエンチェイ州内でも、家族や子どもたちの安全のため避難をする家庭が多く、州内だけで3万5千人以上の避難民がおり(7月30日政府発表)、多くの人の日常生活に支障が出る事態となりました。私たちの実施している事業の1つである同等性教育クラスや職業訓練も、紛争の影響で一時中断を余儀なくされました(現在は再開しています)。
このような事態を受け、KnKは事業地の1つであるトゥマポーク郡の行政と連携し、カンボジアとタイの国境に近いトゥマポーク郡コック・ロメアットコミューンに住む国境紛争で影響を受けた子どものいる家庭へ、生活必需品である食料の配布を2025年8月20日(水)に行いました。

対象として、国境紛争によって影響を受けた子どものいる家庭のうち、特に支援を必要とする家庭(生活保護受給家庭、ひとり親家庭、子どもの面倒を高齢者が見ている家庭、障がいのある家族のいる家庭など)をトゥマポーク郡行政が選び、計70世帯に対し、各世帯に米10㎏、醬油・魚醬各6本、インスタント麺50食分を配布しました。

物資配布の様子

物資配布の様子

物資配布の様子
現在の生活や課題について~配布を受けた家庭への聞き取り調査

物資配布を受けた家族に話を聞く現地スタッフのパラ
カンボジアとタイの国境周辺に暮らす住民は、多くが農業や出稼ぎ労働に依存しています。国境紛争の影響で、タイへの出稼ぎ労働者は賃金未払いや雇い止めを被り、残された高齢者や母親、子どもたちも、教育・生活・安全面で深刻な不安を抱えています。以下に2つの家庭の事例を紹介します。

2歳と1歳半の子どもを抱える母親。夫は農業と臨時労働で収入を得ているが十分ではなく、子どもはまだ就学していません。
母親は「今、私も夫も紛争の影響でこの辺りでは仕事を見つけられず、日々の収入を失いました。KnKがこの支援をしてくださったことをとてもうれしく思います。」と語っていました。

64歳の祖母が孫4人を養育。子ども5人は全員タイで建設労働をしており、仕送りが唯一の収入源。孫のうち就学しているのは10歳の1人だけ。
祖母は「私はもう年を取りすぎていて、子どもたちの世話を続けるのが大変です。娘や息子たちは国境紛争でカンボジアへの帰国を希望していますが、費用がなく、戻ってこられません。タイで危険な環境にいるのがとても心配です。私と孫はこの支援に本当に感謝しています。この食料を日々の暮らしの足しにすることができます。特に今は孫のための食べ物が十分ではなかったので、とてもうれしいです。」と話していました。
緊急支援ということで、時間のない中で迅速な決断を迫られることもあり、難しさも感じましたが、現地チームのスタッフの行政や関係各所との柔軟な調整や、スタッフが一丸となって物資準備などを行ったことで、物資配布を実現させることができました。

物資購入・搬入の様子

物資購入・搬入の様子
地域行政と協力し、紛争の影響を受けた子どもたち・家庭のための支援が行えたことは、KnKのミッションの1つである「貧困や紛争、災害で困難な状況にある子どもたちに寄り添い、その成長過程にふさわしい生活を送れるよう手助けする」ことを、現地パートナーと共に実現する機会になったのではないかと思います。また、皆さまからのご支援が紛争の影響を受けた子どもたちや家庭に与える影響の大きさを改めて実感しました。
ただ、タイとの国境封鎖の影響で、バンテアイミエンチェイ州を含む国境沿いに暮らす子どもたちや家庭の多くは、物価上昇やタイへの出稼ぎが行えなくなったことによる失業など、停戦後も引き続き影響を受けています。KnKはこれからも、現地パートナーと共に、子どもたちが健やかに学び生活するための支援を続けていきます。引き続き、ご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
子どもたちを支えるために、あなたのサポートを必要としています

3,000円で、カンボジアの青少年1人に「若者の家」での生活と街の高校で学べる教育費10日分を提供できます。
KnKへのご寄付は寄付金控除の対象となり、税制上の優遇措置を受けられます。
関連記事:カンボジア:自分の「好き」で自立の夢を自ら叶えたチェンダさん
関連記事:カンボジア:悩みながら自分で道を選ぶ、「若者の家」卒業生の今
関連記事:後方支援チームのありがたさ
関連記事:2024年同等性教育クラスの実施報告:ポイペト市およびマライ郡の成果と支援活動
関連記事:今年もカンボジアの「若者の家」から大学進学者が出ました
関連記事:バンテアイミエンチェイ州で、若者向けの職業訓練が始まります!
関連記事:LLLCへのアクセス拡大への取り組み:同等性教育編






