報告:カンボジア事業担当 三喜 一史
国境なき子どもたちでは、2000年よりカンボジアのバッタンバン州において、支援が行き届きにくい15歳以上の未成年を主な対象とし、自立支援施設「若者の家」を運営しています。
「若者の家」に来た子は学校に戻り教育を継続するか、職業訓練を選択します。学校に戻ることを決めた子に対しては高校卒業までを「若者の家」で支援し、卒業後に大学進学した子は「若者の家」を出て一人暮らしをしますが、引き続き奨学金という形で学費や生活費のサポートを行っています。
今年も一人、無事高校を卒業し、大学進学を果たした子がでました。
今年12年生(高校3年生に相当)だったのはレアッケナ一人でしたが、National University of Battambang(国立バッタンバン大学)に入学することができました。しかも高校卒業試験の点数が良かったため、4年間の学費免除まで得ることができました!
レアッケナは2023年1月に「若者の家」にやって来て、G11(高校2年生)に編入しました。そこから学校の授業や補講の他、夜は自分の部屋で宿題や授業の復習を頑張ったとのことです。自分で調べながらわからないことをクリアにしていき、コツコツと勉強したと照れくさそうに話してくれました。
将来は会計関連の仕事に就きたいと言い、数学は教科の中で特に難しいけど好きで、色々な仕事を調べて会計関連の仕事に興味を持ったそうです。これから「若者の家」を出て一人暮らしを始めますが、大学生活の他、スーパーなどでアルバイトをして会計関連の仕事を経験してみたいとのことです。加えて、後輩など子どもたちに対して勉強のサポートもしてみたい、と話してくれました。
彼女に対し、KnKは何が出来たのだろうか
「若者の家」では、貧困を背景に学校に通い続けることが困難である子や、様々な理由で親元に暮らすことができなくなった若者を受け入れています。「若者の家」から学校への通学や職業訓練に参加しますが、そこに集中できるように衣食住の提供を行っています。
レアッケナと話していて思いました。
「機会」なんだと。我々が提供したのは、ただ学校に行く機会、勉強に集中できる環境ぐらいだと思っています。しかし、カンボジアの多くの若者がこの「機会」を得られず不安定な雇用形態や過酷な労働環境に身を置きながら働いています。レアッケナに限らず、今我々が支援している若者の状況を考えると、この「機会」が無ければ学校を早々に中退して働きに出るだろうと思える子がほとんどです。逆に、レアッケナのように大学進学して、今は会計関連の仕事に就きたいと言っていますが、これを含めて多くの選択肢を持つことができたと思います。
これをお読みになられている方の多くは、そして自分自身もですが、この当たり前の機会を与えられてきたと思います。より多くの若者が多くの選択肢を持てるようにこれからも機会を作っていければと考えています。同じ想いを持たれる方が一人でも多くいれば心強いです。
引き続きの応援、よろしくお願いいたします。
子どもたちを支えるために、あなたのサポートを必要としています
3,000円で、カンボジアの青少年1人に「若者の家」での生活と街の高校で学べる教育費10日分を提供できます。
KnKへのご寄付は寄付金控除の対象となり、税制上の優遇措置を受けられます。
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