報告:カンボジア事業担当 三喜 一史
国境なき子どもたちは2023年3よりカンボジアのバンテアイミエンチェイ州にて「ライフ・ロング・ラーニング・センター(LLLC)のアクセス拡大を通じた子ども・若者支援事業」を実施しています。この事業では、LLLCの建設の他、職業訓練コースと同等性教育コースを開講しています。
*過去の記事もご参照ください*
Kob ライフ・ロング・ラーニング・センター(LLLC)での職業訓練コースが修了しました
Kobライフ・ロング・ラーニングセンターでの同等性教育コースが修了
今年度はバンテアイミエンチェイ州のマライ郡とポイぺト市の2か所で活動を実施しています。同等性教育コースは今年の5月に開始し、職業訓練はLLLC建設の完了に合わせ11月より開講予定です。同等性教育コースでは義務教育課程の中途退学者に対して、学校外で教育を受けられる機会を提供するノンフォーマル教育プログラムですが、プログラムを修了すると公教育卒業と同等の資格が与えられるプログラムです。本事業では小学校の卒業資格取得のためのコースを開講しています。
既に始まっている同等性教育コースですが、2か所のLLLC合わせて34人がクラスに参加しています。下は6歳から上は17歳までがクラスに参加しており、平均年齢は12歳です。小学校の早い段階で学校を辞めてしまった、もしくは学校に通ったことが無いなどの状況下にあった子ども・若者がクラスに参加しています。習熟度がバラバラなのでクラスの進め方には工夫を凝らす必要もありますが、参加している子どもたちからは真剣な眼差しで学ぶ姿や、一方で笑顔が溢れ楽しそうに学習している姿を見ることもできます。
同等性教育コース実施に際してはクラス運営の仕方もありますが、参加者の出席率も課題としてあります。参加希望の意志があるもののなかなか足が向かない、仕事がある、家事を手伝わなければならないなど家庭の事情で行けなくなる、など理由は様々です。昨年度より続けている同等性教育コースですが、参加者の出席を促すためのクラス実施の仕方の工夫と、欠席となる要因を突き止めどのようにすればクラス参加が可能となるのかを一緒に考える活動に注力しています。
クラス参加への動機づけについては、基本的に参加の意思のある子ども・若者は「勉強したい!」という気持ちがあります。ただ、多くの人がそうでしょうが、ストイックに学習だけに集中するのは時に難しかったりするものだと思います。やはり楽しいなどポジティブなことがあると動機づけになると考え、休み時間のスポーツやゲームの時間を設け、楽しい時間を設ける、またその時間を通して周りと仲良くなることでクラス実施中も楽しい気分になることでクラスに行きたいと思ってくれるのかなと考えています。
もうひとつの課題、欠席が続いてしまう状態への対応ですが、本人をクラス出席から遠のかせてしまう要因をどう解消するか、そこへのアプローチが重要だと考えています。写真中央の児童(11歳)ですが、5、6月の出席率は7割を超えていましたが、7月に入ると3割台になり8月も欠席が続いている状況です。心配したスタッフ(写真右)が家に様子を見に行くと、少し離れたところで魚釣りをしていました。話しを聞くと祖母、母親、姉と4人暮らしだそうですが、祖母と母親は家で何もせず、彼女が毎回食事を準備するためクラスに行く時間が取れないとのことです。ここ数日間は家庭訪問を続けており、本人や保護者とどのように折り合いがつけられるか模索中です。本人が言うように食事の用意だけが問題であれば保護者が食事の用意をすれば問題解決では、と考えるのは簡単ですが、保護者がなぜ食事を準備できないのか、または本当に食事の準備だけが理由なのか、など表面上には見えにくい状況も踏まえて考えなければ、クラス参加にはつながらないですし、反対に更にクラス参加から離してしまう可能性も出てきてしまいます。慎重に丁寧な対話を通して、クラス参加につなげられる方法を模索するのもまたこの事業の役割なのかなと思っています。そしてこの方法論を確立して広く共有することができれば多くの子ども・若者たちに教育や訓練機会の提供できる仕組み作りに寄与できると考えています。
※この活動は、外務省「日本NGO連携無償資金協力」の活用ならびに日本の皆さまからのご支援で成り立っています。
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5,000円で、5人の青少年が1ヵ月間、学校に通えます。
KnKへのご寄付は寄付金控除の対象となり、税制上の優遇措置を受けられます。
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