報告:カンボジア事業担当 三喜 一史
国境なき子どもたちでは、2000年よりカンボジアのバッタンバン州で支援が行き届きにくい15歳以上の未成年を主な対象とし、自立支援施設「若者の家」を運営しています。本稿は2024年12月に紹介した大学に進学したレアッケナの近況を報告させていただきます。
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国立バッタンバン大学
去年の12月に国立バッタンバン大学に入学したレアッケナですが、変わらず勉学に励んでいます。大学では会計を専攻している他、今年は数学、哲学、英語、経営管理の授業を受けています。一番好きな授業は哲学で、その中でのディスカッションが楽しいとのことでした。
大学に入学してから変化もありました。昨年の記事の中で高校卒業試験の成績が良かったために学費免除の奨学金を得られたとお伝えしましたが、授業スケジュールが厳しく、アルバイトなど仕事をする時間が持てないという問題に直面しました。現地の求人状況を見てもアルバイトなどのパートタイムでの仕事そのものの数が少なく、多くは平日の朝から夕方までのフルタイムでの求人ばかりです。彼女自身、とても悩みましたが、大学に通うためのアパート賃料や食費といった生活費全てを家族に頼るわけにもいきませんでした。そもそも家庭の経済的な事情もあり「若者の家」につながった経緯もあるので、これらの出費は大きな負担となりました。
そんな中、生活費を自身で賄えるだけの収入の得られる仕事を見つけることができました。この仕事は今大学で専攻している会計関連の業務経験を積めることができるため、「若者の家」のスタッフとも相談し、悩み、この仕事を取ることにしました。大学での勉強はもちろん継続していきますが、授業を週末にまとめて取ることにしました。しかし、奨学金の条件が「平日のスケジュールで履修すること」とあったため奨学金を諦めることになりました。
ひとえに奨学金と言っても、学生にとって完璧なものでは無いようで、状況によっては色々なことを天秤にかけなければなりません。レアッケナの判断が「ベスト」だったかはわからないですが、状況を考慮すると「ベター」だったと信じています。
この半年で一人暮らしを始め、時間割も変わり、新しい仕事も始め、と多くの変化がありました。「この半年で何が一番大変だった?」と聞いてみました。そしたら「色々と慣れたからわからない」と返答しました。たぶん、色々とあったと思いますが、答えた時の表情からは、これからを前向きに考えたい、との意思表示でもあったのかなと感じました。

学業と仕事の両立に挑戦しているレアッケナ
大学卒業はもちろん大きな目標ですが、当面は今の仕事に慣れ、試用期間を乗り越えること、と目標を語ってくれました。
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