報告:バングラデシュ事業担当 三喜 一史
バングラデシュで実施しているストリートチルドレンのためのドロップインセンター(DIC)では、センター内での子どもたちへの支援に加え、地域住民に対して路上で生活する子どもたちへの理解を深めていただこうと考えて、DIC開設時より活動を行ってきました。
開設時は主に子どもたちが、特に多くの時間接する機会の多い雇用主を対象に、子どもの権利などについての理解を深めていただこうと取り組み、DICへの誘導や、就労時間、暴力行為の禁止などを訴えてきました。その効果もあり、近年では子どもたちから雇用主から暴力を受けたとの報告が無くなりました。
しかし、いまだに多くの子どもが路上で生活することを選び、依然として過酷な環境下に身を置いている状況を受け、雇用主へのアプローチだけでは不十分だと考え、他の地域住民とも子どもたちについて考え、より広く、より多くの目で子どもたちのことを見守ることが必要だと考えました。その中で保護者の方々へのアプローチを考えました。
以前もお伝えした通り、「ストリートチルドレン」と聞いて路上で寝泊まりする家の無い子どもたちを想像されるかと思いますが、必ずしもホームレスであるとは限らず、家はあるものの学校に行かず、日中のほとんどを路上で過ごしまた働きに出る子なども対象と考えられています。
DICに来る子どもたちも多くは路上で寝泊まりをしていますが、中には家がある子どももいます。ちなみに家と言っても「環境の整った」家ではありません。
保護者へのアプローチを通して子どもたちの状況が少しでも改善できるようにと取り組みを始めました。
昨年6月に1回目のワークショップを開催し、保護者に対してどのように子どもと関わっていけば良いか、子どもが健全に成長するためにはどうすれば良いか、体罰への悪影響、子どもの行動変容や成長を急がない、夫婦含め良い家庭環境が子どもに与える良い影響、などについて一緒に考えました。そして色々な事情があるものの学校に戻す、通わせるなど教育の重要性についてのテーマも扱いました。
そして今年2月には子どもの働く先の環境についても一緒に考えました。
教育の重要性、からは矛盾もありますが、やはり様々な事情もあり、子どもにも働きに出てもらわざるを得ないこともあります。その中でも労働環境が劣悪過ぎる所に働きに行かせると重大な事故に遭ったり、健康や発育に悪影響を及ぼす可能性が高くなります。労働時間、安全管理などダッカにおいてどのようなリスクが潜んでいるかの情報を共有し、保護者からも子どもたちないし雇用主と話しができるように取り組んでみました。
過去に別の事業で労働環境改善に取り組んできた経験もあり、それを共有することで子どもたちが安全に安心して仕事ができればと思っています。
(こちらもご参照ください:「作業場が明るくなりました/バングラデシュでの取組み」https://knk.or.jp/bgd171221/)
繰り返しになりますが、もちろん働きに出ることなく学校に通えたり教育を受けることができれば「ベスト」なのかもしれませんが、それぞれの子どもたち、各家庭の事情を加味して、色々な面を見ながら子どもたちにとっての「ベター」が何か、色々な人と考え引き続き子どもたちを支援していきたいと考えています。
抜本的な解決策では無いかもしれませんが一つ一つ丁寧に進めて参りたいと思います。
子どもたちを支えるために、あなたのサポートを必要としています