報告:KnK スタッフ・バングラデシュ事業担当 三喜 一史
バングラデシュにてストリートチルドレンのためのドロップインセンター(DIC)を開所してから12年が経ちました。この間、現地スタッフの継続的な活動実施による成果なども確認され、活動の成果と共に改善点、そしてアプローチしきれていない子どもたちがいないかを最近チームと話しております。またコロナ禍を経て地域の状況の変化もあり、それに伴い子どもたちの状況の変化も垣間見えました。
12年の活動で理解が広まった「子どもの権利」
過去12年間の活動において朝・昼の食事の提供、教育活動の実施、子どもたち・地域住民への啓発活動、そして何よりDICを居場所として感じられるよう睡眠場所の提供やレクリエーションの実施を行ってきました。子どもたちは様々な事情で家庭や地元を離れ、DICのあるダッカのショドルガットという地域にやってきます。河川の多いバングラデシュにおいて一般的に利用されている船が停泊するターミナルのある場所ですが、大小さまざまな船が港にやってきます。子どもたちはこの近辺で水売り、スクラップ集め、乗船客の荷物運びなどの仕事をして日銭を稼いでいます。仕事によっては早朝から活動する子どもや夕方以降から活動を開始する子がいるなど様々ですが、その合間にDICに立ち寄り、短い時間ですが、子どもとしての時間を過ごすことができます。中でも啓発活動において、子どもも大人も「子どもの権利」についての理解が広まり、子どもたちへの暴力や非行や自身を傷つけるような行動が減ったとの報告が上がっていました。
一方で、仕事や居場所を求めて町から町へと動くその移動性の高さもストリートチルドレンの特性と言えますが、その中でDICの活動地域においても新たに同地域にやってくる子どもたちも多くいます。大きく問題を分類することも可能ですが、子どもが違えばその背景や抱えている問題も変わってきます。特に、ここ数年コロナ禍という活動を制限せざるを得ない状況下で我々も今いる子どもたちの背景について再度調べる必要がある感じました。
今後の課題、重点的に取り組みたいこと
数年前に成果として挙がっていたものも継続して実施していく必要があり、また新たな課題も見られるようになりました。特にここ数年で現場から言われるようになったのは路上で生活する女子の数が増えたということです。まだ数字としては女子の来所がこれまでの一日平均2人から3~4人と1、2人の増加でありますが、DICにつながっていないであろう女子の数はもっと多いとのことです。
家庭や地元から離れ、生きるために仕事をすること選んだ子どもたちですが、そういった意味ではこれまで子どもたちの動きに合わせることができたのかなと考えています。もちろん大前提として路上で生活せざるを得ない状況下にあること自体が間違っていると個人的にも考えます。しかし、一方で色々な調査や論文を読むと、路上で生活しなければならない子どもたちを闇雲に路上から引き離すのもまた子どもたちの選択したことへ対しての理解が及んでいない、「大人」の勝手な判断であるがためにまた路上に戻ってしまうなど、一方通行の支援になってしまうリスクもあると言われています。路上で生活する子どもの人数を減らすにはその国・地域の経済的な事情も考慮しなければなりません。「子どもの権利」についての理解を広げ続け社会として子どもが路上で生活することが無いようにみんなの成長や仕組み作りも必要かもしれないです。大きな問題の中に子どもたちがいることになっているのかと思います。一つ一つ、一歩一歩進めていき、少しでも多くのことを子どもたちに届けられたらと思います。
今、現場スタッフは再度子どもたちの現状把握に努めており、活動内容の再考からより良いDICを目指して取り組んでおります。近々、皆さまに新たなDICについてご説明させていただきたいと考えております。
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