活動ニュース

【バングラデシュ】アフターコロナを迎えた子どもたちの今

報告:KnK スタッフ・バングラデシュ事業担当 三喜 一史

国境なき子どもたち(KnK)では、2011年よりバングラデシュの首都ダッカのショドルガットにてストリートチルドレンのためのドロップインセンター(DIC)事業を実施してきました。DICは子どもたちが日中自由に立ち寄れる場所として開かれており、ここでは路上で生活をしている子どもたちへ食事の提供、教育や啓発活動、そして安心して休める場所の提供をしております。

ドロップインセンターの活動内容

開所時間:平日(日曜日~木曜日)の9時から17時

  • 食事の提供:栄養バランスが考えられた朝食と昼食の提供、
  • 基礎教育クラス:新聞からの情報収集や(騙されないよう)給与計算ができるようになるための読み書き計算の学習、
  • 啓発活動・ライフスキルセッション:自分の身を守るための知識として安全や前述のような彼らを取り巻く危険なことなどについて学ぶクラス、
  • 日中の睡眠場所の提供:夜通し働いている子や喧騒の中、熟睡できない子のためにマットレスや毛布を準備し、安心して睡眠が取れる場所の提供、
  • シャワー・洗濯場所の提供:不衛生な食事や環境の中で子どもたちは病気や皮膚病などに罹ることも多く、食事だけでなく、身なりを清潔に保つこともとても大事なことであるため、シャワーや洗濯ができる場所の提供を合わせて行っています。
  • 応急手当:風邪や熱などの病気、皮膚病を患った子どもたちに対する応急手当を行っています。滅多にありませんが、あまりに症状が酷い場合には近くのクリニックに同行することもあります。
  • その他に博物館や遊園地などへの遠足や運動会、クリケット大会などスポーツを行うなど屋外での活動もあります。

新型コロナウイルス感染症のため長く続いていた制限の多くが撤廃され、2022年はようやく以前の状況に戻りました。コロナ前、コロナ禍を経て2022年に再開できた活動について簡単にではありますが報告させていただきます。

バングラデシュでは2020年以降、感染拡大が大きくなる度に移動制限や完全なロックダウンが政府より発令されました。多くの子どもが集まる施設ということもあり、DICも2020年4月と5月、2021年に4月、6月、7月と計5回の休館を余儀なくされました。休館中にはランチボックスの提供やコミュニティの方々の協力を得ながら、子どもたちになんとか食事の提供を行ってきました(当時の記事はこちら:https://knk.or.jp/bgd211006/)。しかし、その他、教育クラス、遠足などの屋外活動は完全に自粛せざるを得なくなり、啓発活動について感染予防の知識を身に着けてもらうための保健・衛生についてのテーマ以外のものは実施を見送っていました。

DICへの来所人数は一日単位で見ると2020年は平均37人と少し減少しましたが、毎日DICを開ければ約40人弱の子どもたちが来てくれました。全体的な人数で見ますと2019年の年間来所延べ人数は9,300人弱であったのに対して、2020年は約7,300人、2021年は約6,800人と減少しました。2022年に約9,500人と以前の水準以上の来所者数となり、コロナ感染拡大前の状況に戻った印象を受けました。

ロックダウンを始め2020年から2021年にかけてはバングラデシュ全土で行動規制などが敷かれ、感染拡大を防ごうと現地行政も力を入れていました。また、幸いにもDICに通う子どもたちの中で体調不良を訴えた子どもはいませんでした。しかし、一方で人の移動が少なくなったことでショドルガットの港を行き交う人を相手に水の販売、荷物運びをして日銭を稼いでいた子どもたちの収入が減りました。

これまで朝、昼の食事の提供を長く続けておりましたが、夕食については子どもたちも「お仕事」の時間ということもあり自身の収入で簡単なものを買って食べていたという実情に合わせて提供を見送っておりました。ですが、2021年は子どもたちからの要望を受け、ランチボックス配膳の際に夕食分も加えて提供を行いました。開所時間を延ばすなど他の手立てが無かった中での苦肉の策でした・・・。

2021年の9月頃より感染者数も減り、その後広がる様子も見られなかったことから徐々にそれまで自粛してきて活動を再開してきました。教育クラスの実施に始まり、先に書きました保健・衛生関連以外の啓発活動も再開しました。加えて、これまで四半期ごとに子どもたちの雇用主や地域の方々をお招きして、子どもたちの状況の共有や「子どもの権利」など子どもたちを地域で見守ることができるための会を開催していましたが、こちらも再開することができました。そして何よりも遠足や屋外でのスポーツを再開できたことは子どもたちにも大きな喜びとなりました。特に昨年11月には子どもたちの大好きなスポーツ、クリケットをやることができ、コロナ感染拡大が本格化する直前の2020年2月以来、2年半ぶりの実施となりました!

昨年9月に遠足で子どもたちをウォータースライダーなどの遊具があるプールへ遊びに行って来ました。その後のセンター長タリクの言葉をご紹介します。

「私もこのような所は初めてだったのですが、一日中思い切り遊んで楽しむ子どもたちの姿を見て、私自身、彼らの願いを叶えてあげることができ、とても感動し、涙ぐんでしまいました。私にとっても2022年の一番の思い出です」

2022年9月にみんなで行ったプール

長く続いている新型コロナウイルス感染症のための我慢、心苦しいですがそれは子どもたちに対しても同じように強いてこなければなりませんでした。大事なことではありましたが、やはり子どもたちには子どもらしく過ごせるようにしてあげたいという気持ちが強くなっていった期間でもありました。子どもたちの笑顔の写真、タリクの言葉を受け、子どもも大人もこれからもっと笑顔が増える様な機会を増やしていきたいと気持ちを新たにしました。皆さまの応援を糧に2023年も頑張っていきます。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

※この活動は、日本の皆さまからのご支援で成り立っています。

バレンタイン&ホワイトデー「+1」キャンペーン2023

バングラデシュのストリートチルドレンに、愛情のこもった栄養ある温かい食事を、みんなで届けてください。150名からのご寄付と、子どもたちへの質問を募集しています。
ぜひご参加ください!

 

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