バングラデシュの首都ダッカにあるストリートチルドレンのための「ほほえみドロップインセンター」が、2021年9月で開設から丸10年を迎えました。
2011年の開設以来、「ほほえみドロップインセンター」を通じて、のべ約89,000人のストリートチルドレンに、食事、衛生ケア、識字教育やライフスキルトレーニングなどを提供してきました。
昨年より日本と同様にコロナ禍の影響を受けてきたバングラデシュですが、直近のロックダウンは今年7月から8月にかけて約5週間続きました。首都のロックダウンは、これで3回目となります。
ロックダウン時の子どもたち
ロックダウンが実施される度に、行政命令でKnKはセンターを閉めざるを得ませんが、昨年春ごろの最初のロックダウン時に、子どもたちに対して何もしてあげられなかったのと比べると、最近は、非常時に路上の子どもたちを見守る体制が整備され、それに沿って行動できるようになってきました。
その内容を一部ご紹介すると、センター閉館時は、
- 毎日、子ども40名がセンター近くのカフェレストランで食事をとれるように手配する。
- カフェレストランのオーナーと地域の方々に、子どもたちの見守りとサポートをお願いにまわる。
- 子どもたちが日々生活するショドルガット港やその近辺で働く方々、センターの年長の子どもたちと携帯番号を交換し、港で暮らす子どもたちの情報を定期的に収集する。
- 可能な時にはセンタースタッフが子どもたちの様子を見まわりに出る。
- 子どもたちに、マスクの着用と手の消毒を徹底して促し、また清潔を保って安全に過ごすよう念を押す。
- 地域の医療施設や薬局に連絡し、子どもたちがケガや病気をした場合は治療をしてもらえるよう、医療関係者にお願いをしておく。
といった具合です。
ロックダウンが明けて、センターに戻って来た子どもたちに話を聞いてみると、昨年のロックダウンの時よりも、食事を配ってくれる地域の大人が増えたとのことでした。また、行政が管理する公衆シャワーやトイレ施設を利用する子どももいれば、汚染した河川で洗濯をしたり、身体を洗っている子どももいるようで、衛生管理について改めておさらいをする必要がありそうです。
地域の人々の理解が深まり、強化された見守り体制
こうやって、試行錯誤を繰り返しながら、コロナ禍でのセンター運営を続けていますが、前代未聞の非常事態の中で、センターや子どもたちに協力してくれる地域の方が増えたのも事実です。その一人、上記のカフェレストラン「カフェ・アル・ラウフ・ナゴール」のオーナー、モハメド・ソハグさんは、前々回のロックダウンの時から、センターに代わり食事の提供を引き受けてくれるようになりました。
今後またロックダウンが実施される場合は、その都度、食事支援を担当することを約束してくれています。以下は、ソハグさんのメッセージです。
モハメド・ソハグさん/「カフェ・アル・ラウフ・ナゴール」オーナー
私がKnKのドロップインセンターに代わり食事を提供するのも2回目となりました。子どもたちは、「ロックダウンの期間中に食事をもらえるなんて信じられない」といった様子で、とても嬉しそうに私のレストランにやって来ます。私たちが食事の準備をして彼らを待っていることに驚いてもいました。KnKのドロップインセンターのことは、私が近所にレストランを構えた5年前から知っています。センターのソーシャルワーカーのチョンドンやビブロップがうちに定期的に来て、地域のストリートチルドレンの様子や課題、センターの活動について熱心に教えてくれていたので、私も徐々に関心を持つようになり、彼らをサポートするのは私の責任でもあると考えています。
食事の提供をはじめ、シャワーで体を洗ったり、識字クラスを実施したりと感染対策を行いながらこれまでの活動を行っておりますが、コロナ関連以外の公衆衛生などについての啓発活動を再開するかどうかは、状況を見て判断していきます。
子どもたちを支えるために、あなたのサポートを必要としています
5,000円で、5人の青少年が1ヵ月間、学校に通えます。
KnKへのご寄付は寄付金控除の対象となり、税制上の優遇措置を受けられます。
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