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「自分を生きる」ために「子どもの権利」を知ろう/コラム:岡田茜

【国境を越えて】広げよう!子どもの権利条約キャンペーン

コラム:「自分を生きる」ために「子どもの権利」を知ろう
岡田 茜/KnKスタッフ

国境なき子どもたち(KnK)は「広げよう!子どもの権利条約キャンペーン」に賛同し、連続でウェブサイトに記事を掲載しています。今回はKnK職員の私、岡田が担当です。この企画では、日本で暮らす18歳未満の子どもたちにメッセージを送ろうということで、私が今伝えたいことを正直に書きたいと思います。

「自分のため、人のために生きてください」

私が子どもたちに伝えたいことは、「自分の人生を自分らしく生き切って欲しい」ということ、そして「自分なりの幸せを感じて生きていく」ことを心から願っています。そのことを「子どもの権利条約」は保障していますし、この機会に条文を一通り読んでみてください。なかなか難解なので、条約を扱った書籍と一緒に読むのをお勧めします。

読んでも実感が湧かなかったり理解に苦労する時は、自分の身の回りで生活する海外から来た同世代の子どもたちを思い出してみてください。先日、「友情のレポーター」の伊藤さん、高橋くんと学校の話をしていた時、東アジアや東南アジアなどから来て一緒に学んでいる子どもたちがたくさんいることを教えてくれました。今は日本に働きに来ている方も急激に増えていますし、日常の光景なのでしょう。果たして彼らが日本の子どもたちと同じように権利を享受できているか、自分と比較し、そういった子どもたちのために何かをすることも、素晴らしいと思います。

「人生は誰のモノ?」

ダッカのある零細工場にて。左の少年はダッカに出てきてまだ2週間、見習い中だった

今年6月、私は仕事でバングラデシュへ行きました。その際、首都ダッカのスラム地区を見学する機会がありました。行政に認められていない零細工場が軒を連ね、窓も換気口もない埃っぽい空間で、男性たちが機械の部品を作っていました。そしてそこには必ずと言っていいほど、大人に混じって少年が一人、二人働いていました。

素手とサンダルで溶接作業をする15歳の少年

話を聞くと、年齢は11歳から15歳くらい、家が貧しく、父親に言われて地方から出稼ぎに来たということでした。働き始めて日の浅い子はまだ給料をもらえず待遇は食事と寝場所の提供のみ。それでも朝9時から夜9時まで働いているそうです。3年くらい働いている子の収入は食事と寝場所がついて月6,500円で、そこから家族へ仕送りをしているとのことでした。

真剣にインタビューに答えてもらえありがたかった

子どもたちにインタビューをしている時、一人の工場主が私に話しかけてきました。
「子どもを働かせるのは良くないと言うけれど、田舎は貧しくて仕事もないから皆ダッカに来るんだよ。ダッカで生きていくのは大変だけれど、物乞いをするよりここで仕事する方が良いに決まっていると思わない?」
聞けば、その工場主も子どもの頃に田舎から出稼ぎに来て、コツコツ貯めたお金で自分の工場を開いたとのこと。私への問いかけは、質問と言うより確信に満ちていて、私は驚き、返す言葉を見つけられませんでした。あれから約3ヵ月経ち、東京で仕事をしながら、ふとした瞬間にあの雇用主の言葉を思い出します。「あの時どう返答すれば良かったんだろう…」この答えをちゃんと出すことが私の宿題だと思っています。努力して今の地位を築いた工場主の人生は素晴らしいし尊重できますが、その価値観を子どもに押し付けるのは違いますし、そもそも働く子どもと物乞いする子の人生を比較できないのではないでしょうか。
究極には、児童労働はなくならなければなりません。子どもは家族と一緒に暮らし学校で学ぶ権利があります。そしてそのためには親がちゃんとした仕事に就く必要があります。でも現実は、少年の親にまともな仕事はなく、少年が働くことを今やめてしまったら、家族が困窮してしまうことになります…。状況はとても複雑です。雇用主には少なくとも、「少年が健康かどうかいつも見守ってください。働いた分、温かいご飯をしっかり食べ、十分に休めるようにしてあげてください。少年が少しでも自分の好きなことができる時間をつくってあげてください。少年の意見や希望を聞いてあげてください…」と、もしあの時間と空間に戻れるなら、まずはそういったことを伝えたいな、と思います。

岡田 茜/KnKスタッフ(プロフィール)

1977年宮崎県生まれ。1984年の東アフリカ大飢饉の際、お小遣いを寄付したことをきっかけに国際協力と子ども支援の道をめざす。公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンなどいくつかの国際協力NGOでの勤務を経て、2014年より現職。主に、広報とご支援者さま対応業務を担当する。

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