報告:バングラデシュ事業担当 三喜 一史
国境なき子どもたちは2011年9月よりダッカの港ショドルガット船着き場でストリートチルドレンのためのドロップインセンター(DIC)を運営しています。前回の記事より今年はこれまで行ってきた支援を少しずつ拡充していくことをお伝えしました(DIC事業は路上で生活する子どもたちのために更なる向上を約束します! )。
その中で女性スタッフ1名の増員と地域住民とのコミュニケーションと連携について言及しましたが、今回はその地域住民へのアプローチについて報告いたします。
地域住民へのアプローチは2つ考えました。一つは家庭への働きかけともう一つは地域での見守り体制の強化です。DICの支援対象である「ストリート」チルドレンと聞き、路上で生活する子どもたち、家の無い/家から飛び出した子たちを想像するかと思います。確かに、これらの状況下の子どもたちを「ストリートチルドレン」と括りますが、もうひとつ、日中の大半を路上で過ごす子も含まれてきます。そのため家があり両親と暮らしている子でも「ストリートチルドレン」と考えられています。
ちなみに、この「ストリートチルドレン」という表現は広く使われていますが、同時に子どもたちの状況を表しきれていないということで別の呼び方が国際機関を始めとして提唱されてきています。また、この呼び方・表し方については団体内部でも議論し、別の機会にご紹介できればと思います。
さて、このようにDICでも近くに家のある子も無い子も支援対象と考えているわけですが、特に家はあるものの日中の大半を路上で過ごす子は近隣に家があることが多く、そこのご家庭に直接アプローチしていくことで子どもの状況の改善に取り組めるのではと考えました。
6月に初めてDICで保護者の集まる場を設定し、第一回となった今回は「子育ての仕方」についてのワークショップを開き、どのように子どもと関わっていくかを一緒に考えました。14名が参加し(女性12名、男性2名)、親として子どもが健全に成長する責任があり、そのために体罰は悪影響である、子どもの行動変容や成長を急がない、夫婦含め良い家庭環境が子どもの発育に良い影響を与えるだろう、などのポイントを確認しました。
家庭へのアプローチに加えて、地域住民による見守り体制も子どもの、特に本事業で対象としている子どもたちの成長に欠かせないのではないかと考えました。DIC事業開始からこれまで地域においては子どもへの暴力が減るなど改善点も多く見受けられるようになりました。しかし、依然として子どもたちは厳しい環境下にあります。その中で暴力など危険な目に合わせないようにすることはもちろん、子どもたちが困った時に手を差し伸べてくれるような地域を目指していきたいと考えました。

コロナ禍のロックダウン中に許可を得たレストランが子どもたちに食事は提供してくれた
この考えのもと、地域の見守りグループとしてCommunity Watch Group:CWGを結成しました。DIC近隣で自営業を営む人や子どもたちと直に接する機会の多い水売りなどの雇用主を中心とした方々にお声がけしグループに参加していただきました。具体的なアクションはこれからになりますが、子どもたちに対して大人が何をしてあげられるかを考えるきっかけを作れたのではないかと思いました。今後月1回の頻度でミーティングを開始し、ショドルガット付近の子ども状況の共有から問題への対応策に取り組んで参ります。

以前の雇用主に集まっていただいた時の写真
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