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職業訓練が未来をひらく~バングラデシュでの取り組みの成果~

報告:KnKスタッフ 三喜 一史

バングラデシュは、ダッカのバッタ地区において2016年よりインフォーマルセクターで働く青少年の生活改善事業を実施してきました。
2018年6月に事業の2年次が終わりましたので、これまでの成果を共有させていただきます。
インフォーマルセクターとは、工業省に登記されていない零細ビジネスで、行政の指導がなく国家の統計や記録にも含まれないものを指します。日雇いや店舗を持たずに路上で行う商売などもこれにあたります。

本事業は、大きく二つの活動によってインフォーマルセクターで働く青少年の生活改善を目指しています。
一つ目は、インフォーマルセクターで働く青少年が技術を身につけることでより良い就職につなげることができるよう、職業訓練から就職や個人開業までの就労支援を実施しています。
もう一つは、インフォーマルセクターの雇用主やコミュニティの方々、インフォーマルセクターで働いている青少年に対し子どもの権利や労働法などに関する啓発活動を行い、また劣悪な労働環境が目立つこれらの職場において安全管理や働きやすさなどについての改善を促し、包括的な労働環境の改善に取り組んでいます。

今回は主に就労支援についてご紹介したいと思います。

インフォーマルセクターで働く青少年は、金銭的な余裕もなくまた学校中退者も多いため、公の職業訓練校で技術を学ぶ機会がありません。本事業では、この様な青少年を対象に学歴を問わず無料で職業訓練を提供しています。
本事業の職業訓練校では「工業ミシン稼働」、「家庭電器配線と軽家電」、「電子基盤・機器修理」、「携帯電話修理」、「冷蔵庫・エアコン修理」、「バイク修理・メンテナンス」の計6つのコースを提供しています。

2016年より計4期、訓練を実施し、これまでに798名が訓練を修了しました。
現在、訓練修了生の内、正規企業への就職や個人開業をした青少年は571名になります(2018年8月)。
修了生の内7割程が進路決定していますが、日本でも就職活動に時間を要するように、本事業の修了生の多くも就職までに3ヵ月から半年程度かかっています。
これまでに訓練を修了した青少年、特に6月の第4期生の就職決定情報を現地スタッフ共々心待ちにしています。

冷蔵庫・エアコン修理コースの授業の様子

ここで一人、携帯電話修理の会社に就職をしたスディップを皆さんに紹介したいと思います。

スディップは携帯電話修理の職業訓練3期生(2017年7月~12月)になります。
訓練受講前は木材の加工を仕事としていた兄の手伝いをしていましたが、近所に住む本事業の訓練受講生から職業訓練の話しを聞き訓練参加を決意しました。訓練終了後、家の近くの商店で携帯電話修理の仕事に就きましたが、この度、バングラデシュ全体に支店を持つより大きな企業への転職を果たすことができました。
以前3,000タカ(約3,900円)だった月給も8,000タカ(約10,400円)まで上がりました。本人も家族もこの転職を喜んでおり、前職のオーナーも彼の成長を手助けでき大きな企業への転職の力になれたことを喜んでいるそうです。

個人商店で働いていたスディップ

転職後キレイなオフィスで働くスディップ

本事業の活動における支援は、就職や個人開業に至るまでの就労をゴールとしていますが、今回のスディップの転職に関しては彼が自力で切り開いた道です。彼だけに限らずチャンスがあればステップアップできる青少年が多くいます。
今後もより多くのインフォーマルセクターで働く青少年が自力でステップアップできるように、このチャンスを提供していければと思います。
※この活動は、外務省「日本NGO連携無償資金協力」の活用ならびに日本の皆さまからのご支援で成り立っています。

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3,000円で子ども2人が1ヵ月間職業訓練を受けることができます。
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