報告:KnKスタッフ 久野 由里子
2016年1月からダッカで開始した事業について、その後の進捗をご報告させていただきます。
インフォーマルセクターで働く青少年の生活環境向上を目的とし、以下の活動を行っています。
- インフォーマルセクターで働く貧困家庭出身の青少年に職業訓練を提供し、より良い就職ができるようにサポートします。
- インフォーマルセクターの雇用主、コミュニティの方々、また青少年自身に対して子どもの権利や労働法などについて啓発活動、能力強化を行い、インフォーマルセクターの労働環境改善を目指します。
より良い就職ができるようサポート
今回はまず、「1.インフォーマルセクターで働く貧困家庭出身の青少年に職業訓練を提供し、より良い就職ができるようにサポートします。」の進捗について報告させていただきます。
2016年5月から以下6つのコースを午前、午後の一日2シフト、半年間×2期実施しました。
- 工業ミシン稼働コース
- 携帯電話修理コース
- 家庭電気配線と軽家電コース
- 電子基板・機器修理コース
- 冷蔵庫・エアコン修理コース
- バイク修理・メンテナンスコース
家族の引っ越しなどの理由で職業訓練を最後まで受講できない生徒も数名いましたが、多くの青少年が技術を身に着けて職業訓練を修了しました。
①履歴書作成ワークショップ
②個人開業支援ワークショップ
(※)フォーマルセクターとは?・・・工業省に登記された企業、ビジネス事業所
①履歴書作成ワークショップは、主にフォーマルセクターへの就職希望者を対象に実施され、スタッフが実物の履歴書を使って記載情報を説明するほか、履歴書を受け取ったフォーマルセクター企業はどんなところに着目して履歴書を読むのかなど、注意点もアドバイスし、参加者は一人一人自分の履歴書を実際に書いてみます。
参加者のほとんどは履歴書を書くこと自体が初めてでもあり、友だちと相談しながら丁寧な字で履歴書を作っていきます。
②個人開業支援ワークショップは、その名の通り個人開業希望者を対象に実施され、個人事業の立ち上げ方、資材調達、価格設定、会計、マイクロファイナンス等を取り扱います。開業時にマイクロファイナンスや家族・親戚からお金を借りるケースも多く、会計は特に重要と考え、会計帳簿のフォーマットも含めて指導します。
これらの授業、ワークショップを青少年に提供しながら、スタッフは修了生がフォーマルセクターに就職できるよう、足しげくフォーマルセクターの企業に出向き、修了生の採用について理解、協力を求めています。
その結果、職業訓練1期(2016年5月~12月)、2期(2017年1月~6月)修了生の進路は以下のようになりました。
職業訓練登録 | 修了者数 | 就職者数 | 個人開業者数 | % | |
---|---|---|---|---|---|
第一期 | 216 | 215 | 77 | 85 | 75.3% |
第二期 | 200 | 192 | 59 | 46 | 54.6% |
日々就職者数は増加しており、第二期修了生について、今後も就職数の増加は見込まれます。
就職先でインタビュー
縫製のフォーマルセクターに就職したビューティーさんを紹介します。
彼女はボリシャル地域出身で、より良い生活を求めて15年前に両親とダッカに移住したそうです。現在は4年生の弟と幼稚園の妹を含め5人家族で、お父さんはリキシャの運転手をしているそうです。
ビューティーさん自身は5年生まで学業を修了し、KnKの職業訓練を受ける前はインフォーマルセクターの縫製工場で働いていたとのこと。それまで職業訓練を受けたことがなかった彼女は型紙作成、ミシンの使い方など縫製の技術を職業訓練で習得し、今はフォーマルセクターの縫製工場に就職することができ、彼女の収入は残業代も含めて職業訓練以前の2倍以上になりました。
「収入を何に使っているの?」と尋ねると、「家族の食事、弟と妹の教育費と家賃…。あと、自分の洋服代や化粧品にも使えるようになりました。フォーマルセクターに就職できて、いい暮らしになりました」と答えてくれました。
職業訓練を受講し、必要な技術を身に着け就職、個人開業し、青少年とその家族の生活がより良いものとなるよう、引き続きサポートしていきます。
※この活動は、外務省「日本NGO連携無償資金協力」の活用ならびに日本の皆さまからのご支援で成り立っています。
子どもたちを支えるために、あなたのサポートを必要としています
3,000円で子ども2人が1ヵ月間職業訓練を受けることができます。
KnKへのご寄付は寄付金控除の対象となり、税制上の優遇措置を受けられます。
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