報告:KnKスタッフ 久野 由里子
2019年度のノンフォーマル教育のALS(Alternative Learning System)の登録が始まったことを先日Facebookでご報告させていただきましたが、先月は2018年度の学業修了試験合格者への表彰式もバゴンシーランで行いました。2018年度はKnKのバゴンシーラン教室から22名が合格しました。
親が離婚し、お金がなく6年生で学校をやめて人生に希望を失っていたと話す少女、8年生で学校をやめて、働きながらALSに合格、秋からは自分で稼いだお金で大学に通う予定と話してくれる青年など、ALSを通して再び人生を生きる希望を得られた青少年の話を聞くことができました。
今日は、2014年からKnKでALSの教員として働いてくれているコニー先生のインタビューを紹介したいと思います。
Q:ALSを教える中で、特に難しかったことなどはありますか?
コニー先生:政府が実施しているALSは建物がありますが、KnKの場合はオープンスペースや、生徒の家を教室として使っています。柔軟とも言えますが、私にとっては運営上、難しいことでもありました。期の途中で教室の場所が変わることもあり、生徒が新しい場所がわからなかったり、歩きたくない、交通費のお金がないといった理由で通えない子もいました。そういうときは生徒たちと集合して新しい教室に連れていったり、私自身が一緒に子どもと歩いて励ますようにしました。
Q:KnKのバゴンシーラン教室に通ってきている生徒はどういうバックグラウンドですか?
コニー先生:働いている子、ドロップアウト、学校から追い出された子、若い母親、家族に何らかの課題を抱えた子ども、周囲から悪評をつけられた子どもなど様々な子どもが通ってきています。
Q:子どもたちのバックグランドが違ってどのようなことを工夫しましたか?
コニー先生:働いている子もいたのでその子たちには特別時間を割くようにしました。例えば家に行ってテキストを渡し、次行くときには前回渡したテキストができたか確認、次の単元のテキストを渡して、というサイクルを繰り返したりしたこともあります。遠いところで働いている子にはSNSや携帯電話のメッセージで教えてあげたりもしました。
実際、2018年の合格者の中には、朝7時から夕方4時まで週6日間働いていたので教室にはほとんど行くことができず、仕事のあと、夜中まで勉強していたという青年もいました。彼はSNSを通してコニー先生と連絡をとり、宿題を提出していたそうです。
バゴンシーラン教室では黒板や白板がない教室で授業を行うこともありますが、彼女は仕掛け絵本のような教材を自分で作り、壁を活用して授業を実施するなど、決して何もかもがそろっている状況ではなくても、子どもたちが授業を楽しめるよう工夫をしてくれています。
最後に、コニー先生から日本の皆さまへのメッセージをお届けします。
「いつもKnKの活動をご支援いただき、ありがとうございます。皆様からのご支援のおかげでたくさんの子どもたちと若者が支えられ、教育を受け、色々な側面で学びを深めています。今後も引き続きKnKをご支援いただけますと幸いです」
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