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ヨルダンからの報告「朝の体操 ―体を動かす楽しみを体験する―」

報告:ヨルダン/シリア難民支援 事業総括 松永 晴子

朝、学校が始まる時間に学校施設の近くを歩いていると、必ず号令や国歌斉唱の音とともに、「1、2、3、4!」というかけごえが聞こえます。日本と同様にヨルダンでも朝礼があり、国歌斉唱、連絡事項の伝達や校長先生や先生からの言葉、コーラン斉唱とともに、体操もあるのです。

運動や体操は子どもたちの成長に大事ですが、得意不得意、好き嫌いのあるのも事実です。
また、ヨルダンの学校では体育の授業は週1、2時間、運動の種類も人気のあるサッカーや鬼ごっこなどと限られているため、体を動かすことに慣れている子とそうでない子の間には開きがある傾向があります。
そんな状況の中でも、誰もが必ず体を動かす時間が、この朝礼の体操となります。

コロナ後、教育省は子どもたちの運動不足を懸念し、朝礼の体操をしっかり実施するように各学校へ働きかけていました。しかし、そもそも簡単な準備体操のような体操のみを知っている先生たちが体操の時間の充実のために、新しい体操を覚えて踊ったり、それを子どもたちに教えて実践したりするのは難しいことでした。こういった状況は、KnKが活動しているアンマンの公立学校でも確認していました。

そこで、ヨルダンの先生が直面しているこの困った状況を伝えたところ、ザアタリ難民キャンプへ訪問したこともある振付演出家の南流石さん、さまざまなジャンルの音楽家とセッションをしている津軽三味線奏者の小山豊さんが、振付、楽曲をヨルダンに住む子どもたちのために、作ってくださることになりました。

南流石さんプロフィール(流石組HP;http://www.sasugagumi.com )南流石(みなみさすが)。振付演出家。3歳から踊る。
乳幼児から⾼齢者へ向けた「ダンス」を提供する、振付け界のパイオニア。
エンターテイメント・エデュケーション、ココロカラオドルをモットーに、地球規模での「エンタメダンス」を、独⾃のクリエーションで創出している。主な振付作品として、⻑野パラリンピック開会式(1998)、冬季アジア札幌⼤会(2017)サザンオールスターズ.ドリームズカムトゥルー. Bʼz. THE BOOM.福⼭雅治.GLAY.乃⽊坂46.⼤塚愛.PUFFY.SMAP.嵐.氷川きよし.Kalafina.舞台/醉いどれ天使(演出:三池崇史).くまモン.おしりかじり⾍.せんとくん.しまじろう.ハローキティ.ふじキュン.上海舞廊.東⼤寺福祉療育病院.NHK紅⽩歌合戦など多数。
伝説のファンクロックバンドJAGATARA(1985-)のメンバーとしても有名。
南流⽯の芸名の名付け親は同郷の桑⽥佳祐⽒。
近年では、乳幼児教育従事者らと乳幼児期における脳育プログラム開発や⾼齢者福祉のココロとカラダの健康プログラム開発を進め、国内外の乳幼児施設、療育施設、⽀援学校、医療機関、⾼齢者施設、被災地⽀援など、ケアダンスメソッドの実施を精⼒的に⾏っている。
また、⾃治体や⼤学機関関連として、ハワイ⼤学、東京芸術⼤学、近畿⼤学、多摩⼤学などでダンスを通じた教育授業の実績も多数。
2016年、国連UNHCR協会(国連難⺠⾼等弁務官事務所)「つなごう難⺠プロジェクト・WOW with Refugees」サポーター就任。中東ヨルダンのシリア難⺠キャンプにて、「国境・⾔語・世代」を超えた実践ダンス交流を⼿がけている。

小山豊さんプロフィール(津軽三味線小山流三代目小山豊HPより抜粋;http://oyamayutaka.com)幼少より津軽三味線小山流宗家(祖父)小山貢翁に師事。 日本最大流派の1つである小山流の三代目として、国内のみならず海外(2023年現在30カ国)で演奏活動を行っている。 2001、 2002 年 (財) 日本民謡協会津軽三味線コンクールで優秀賞を連続受賞。 2011 年には自身が結成した津軽三味線ユニット、OYAMA x NITTA で、ニューヨーク・カーネギーホール主催コンサートを成功させ、NY TIMES から称賛を受ける。古典以外でも様々なコラボレーションを精力的に行っている。嵐の楽曲参加や共演、【ARASHI LIVE TOUR 2015 Japonism】【 ARASHI Japonism Show in ARENA 2016】 では和楽器隊リーダーとして数十名の奏者を率いて参加。松山千春氏の41年ぶりとなる全国弾き語りツアー【松山千春コンサートツアー2018弾き語り】に唯一のゲストとして参加。2020年ソニー ミュージック・ダイレクト粋凛レーベルよりメジャー初となるアルバム~obi~をリリース。 2021年松本まりか主演WOWOWオリジナルドラマ【向こうの果て】の主題曲、演奏指導を担当。 近年では【ずっと真夜中でいいのに。】の楽曲やコンサートに参加、【原神】【Ghost of Tsushima】をはじめとする多くのゲームやアニメ【鬼滅の刃遊郭編】において三味線の音を収録。2023年【鬼滅の刃遊郭編 鬼滅の奏】出演。小泉今日子氏をプロデューサーに迎えた新たなユニット【tagayas】結成、2022年、新たな民謡の形を提唱する和の文化集合体的バンド【東京民謡倶楽部】を結成、2023年同バンド初のアルバムをリリース。その活動の幅は広く多方面のジャンルにおいて活躍中である。津軽三味線や民謡の魅力を伝えるため、伝統の継承とともに、枠にとらわれない柔軟な新たな解釈で既存には無いサウンドを生み出し続けている。

南流石さんは、ザアタリ難民キャンプ訪問のご経験があり、その時に出会ったシリア難民の子どもたちのことを心に留めていらして「子どもたちの喜びのきっかけになれること」をこの体操の振付で大切にしてくださいました。これまで、著名なアーティストの方々だけではなく、被災地、難民キャンプなど身体だけではなく、心にも痛みを持つ方々のために振付を作っていらしたご経験をもとに、子どもたちが体を動かす楽しさや嬉しさを引き出す動きを考えてくださいました。
また、小山豊さんにはヨルダンを中心に現地の人たちにポピュラーな音楽を紹介して、イメージを伝えた上で楽曲を作成していただきました。普段津軽三味線という伝統楽器を表現手段に携えていらっしゃる小山さんが、慣れた楽器を使うことで日本らしさを出すということはあえてせず、現地の子どもたちに親しみが湧くメロディーを主軸に作成していただいています。いただいた体操のVTRを見ながら団体スタッフも振付を覚えて、まずは、支援対象校の先生たちと一緒にやってみました。日頃ほとんど運動をしない先生が多いので、ついていくのに必死な様子でした。難しくない動きと、リズム感の必要な動き、ゆったりとした動きが織り交ぜられた体操を先生たちと試してみた時、体操の最初と最後の難しくない動きに、先生たちがうれしそうに体を動かしている様子が印象的でした。
キャンプの家庭訪問先でやってみた時には、2歳から10歳までの兄弟姉妹5人が、きゃっきゃと声を上げて笑いながら、楽しそうに体操をしていました。

昨年の夏休みの間、キャンプ内の学校で実施した夏季アクティビティでは、縦割り班対抗の体操大会を実施しました。高学年と低学年が混じるそれぞれの班では、高学年の子どもたちが低学年の子どもたちに動きを教えたり、一緒に体操をしたりする様子が見られました。縦割り班の高学年生徒に求められるのは、どちらかというと統率やリーダーとしての役割が大きいのですが、自分達にとっても初めての体操を、低学年の子どもたちと一緒に学び合い、楽しく覚えていく過程は、普段の役割を超えて、新鮮な経験だったと思います。

実は昨年の2月には完成していたこの体操、特別活動の一環として、縦割り班活動を活用し、高学年の子どもたちが低学年に教えられるようにできないかと考えていましたが、KnKが活動する支援対象校では、縦割り班活動の時間が限られていること、また、縦割り班活動を選択して実践する学校が限られていたこともあり、定着にはまだまだ、時間がかかる様子です。
丁寧な体操指導の時間をもつのにはなかなか余裕がありませんが、この体操を通じて少しずつ、確実に、体を動かす楽しみを体感できる日々の学校生活が創り出せるよう、広めていきます。

(※)ヨルダンでのこれらの活動は国際協力機構(JICA)より草の根技術協力事業として業務委託を受けた「特別活動の継続的実施と普及のための基盤整備事業」の一環として行っています。
https://www.jica.go.jp/partner/kusanone/partner/ku57pq00000x9tkg-att/jor_03_p.pdf

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