6月20日は「世界難民の日」です。
国境なき子どもたち(KnK)がヨルダンで支援するシリア難民の子どもたちの近況を、前後編に分けてお届けします。
2011年から続くシリア紛争は、もう6年目に入りました。紛争勃発から隣国であるヨルダンに逃れてくるシリア人は増え続け、彼らの多くは未だ、ヨルダンで難民としての生活を余儀なくされています。
KnKは、2013年3月にヨルダン北部にあるザアタリキャンプ内公立学校においてシリア難民の子どもたちの情操教育を開始しました。また2014年以降はホストコミュニティと呼ばれる、キャンプ外の場所(受け入れ側地域社会)に住むシリア人の支援も継続的に実施しています。
ザアタリキャンプでの私たちの支援事業は、2016年4月で4年目を迎えました。
当初は一時的な避難場所として、仮住まいのつもりでキャンプでの生活を始めたシリア難民。人々はいつ帰れるのか先の見えない不安定な暮らしを続けています。
外観だけをみると、テントがプレハブに変わり、トイレの数も増え、道路も整備され、目抜き通りには店も並ぶキャンプでの暮らしは、改善しているように見えます。確かにインフラは整えられつつありますが、自然環境が及ぼす生活への影響は4年前と同じように、過酷です。
砂漠地帯で寒暖の差が激しい環境は、夏を迎えた今、より厳しくなってきています。
キャンプ内にある学校の中に給水車が入ってくると、タンクから漏れた水を頭から浴びている子や、頭に巻いているスカーフを水に浸して再び頭に巻くなど、皆工夫をしてこの暑さを乗り切ろうとしています。
KnKの活動に携わるシリア人の教師たちに、ザアタリキャンプ内や家庭での夏の過ごし方を聞きました。
「プレハブが2軒立ち並ぶ間に、コンクリートの狭い廊下があります。そこに水を撒きその上で寝ることもあります。あまりに暑いので、マットレスでは眠れません。電気も夜の限られた時間にしか使えず、扇風機があっても意味がありません」
「夏の間は、水道水が熱くなってしまいます。だから、大きな鍋に水を入れて、しばらく涼しい日陰に置いて冷まします。でも、水があるだけでましで、10日に1度しか水が来なかったこともありました」
シリア人教師たちは笑って話をしてくれますが、笑わないと話せないぐらい辛いのが実情です。彼らの多くは、祖国シリアにいた頃は、洗車用の水にも困らず、電気が切れたら電力会社に電話するだけで5分と経たないうちに、復旧する、それが当たり前という暮らしを送っていました。
彼らは皆一様にこう語ります。
「シリアにいた頃を思い出すと、本当に帰りたくなります」
難民として逃れてきてキャンプに入る人もいますが、キャンプの過酷な暮らしに耐えられず、首都アンマンや周辺地域などホストコミュニティ(受け入れ側地域社会)での暮らしを決めたシリア人も多くいます。また避難当初からヨルダン人が暮らす地域を生活の場として選ぶ人たちも含め、実にヨルダンにおけるシリア難民人口の約8割がキャンプ以外の土地に住んでいます。
ホストコミュニティに住む人々はヨルダン人と同様に、アパートの一室を借りて生活をしています。しかし、シリア難民の多くは、シリアから命からがら脱出することができた人々であり、ろくに荷物や財産も持ち出せないまま辛うじて逃げてきました。幸い隣国に逃れることはできましたが、支援なしでは住居を確保することもままならない生活――困難な避難生活が、最長で5年も続いています。
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シリア難民のために、私たちには何ができるでしょう?
シンポジウムに参加する ~シリア難民の問題についてさらに理解を深めよう~
UNHCR駐日事務所 / JPF 共催シンポジウム
『シリア危機: 人として – 分かちあう責任』
日時: 2016年6月20日(月)、14:00-17:20 (開場 12:30)
場所: 国連大学、ウ・タント国際会議場
主催: 国連難民高等弁務官(UNHCR)駐日事務所 / ジャパン・プラットフォーム(JPF)
言語: 日本語、英語 (同時通訳あり)
申込方法: 下記サイトよりオンラインでお申込ください
https://www.japanplatform.org/event/syria_symposium20160620/
「寄付」でシリア難民の子どもたちを支える
シリア難民が避難生活を送るヨルダンは、現在乾季にあたり、水が不足しがちです。気温は40℃近くになることがあり、プレハブの教室ではクーラーや扇風機もなく、やむなく授業を早く切りあげる学校もあります。
ラマダン明けに、子どもたちが元気に勉強を再開できるよう、ぜひご支援をよろしくお願いします。
1,500円で50名の子どもたちに清潔な飲料水を配れます。
KnKへのご寄付は寄付金控除の対象となり、税制上の優遇措置を受けられます。
※ヨルダンにおけるKnKのシリア難民支援活動は、認定NPO法人ジャパン・プラットフォーム助成金(イラク・シリア人道危機対応プログラム)の活用と日本の皆さまからのご寄付で成り立っています。
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