2016/06/03
報告:KnKスタッフ 加藤 香子
1967年以来、イスラエルの占領下にあるパレスチナ。
ヨルダン川西岸にある自治区内はイスラエルの占領政策により分断され、高い分離壁や検問所、入植地により人やモノの移動も厳しく制限されています。このような状況の下、日々閉塞感や緊張感に包まれて暮らしている子どもたちがいます。
KnKは、2011年11月よりパレスチナにおいて、子どもや青少年が、学校や地域のユースセンターで、音楽や図画工作、伝統舞踊の授業を通じた自己表現やクラスメイトとのチームワークを行うことで、落ち着きを取り戻したり、他者理解を深めることを目指し活動を継続してきました。
こうした課外活動が学校や地域でさらに促進されるよう、教員や保護者向けの研修も行ってきました。
教員や保護者を巻き込んだ支援
研修は、対象校の教員および保護者が対象で、課外活動の意義を共有し、活動への理解を深めてもらうことが目的です。研修内容は、音楽療法入門、非暴力コミュニケーション、学校と教員が抱える問題、児童心理とストレスについてです。特に、音楽を用いていかに子どもたちの緊張状態を解き放つか、という内容に人気が集まりました。
研修後に実施したアンケートからは、参加者全員が、子どもとのコミュニケーション向上が必要であり、その手段の一つとして課外活動が重要であると回答、また、保護者の8割以上が子どもの課外活動への参加を望むなど、課外活動への理解が広がったことを確認できました。
見えてきた課題
一方で、参加した教員からは、課外活動に取り組む上で下記が障害となっているという意見が寄せられました。
- 学校の現場においては通常のカリキュラムについての教員の負担が大きいこと
- 課外活動分野に関する専門研修が受けられないこと
- 学校の活動へ保護者の協力を得るのが困難なこと
実際に学校の現場で課外活動が活発に行われるには、まだまだ厳しい状況が見えてきました。
子どもたちの笑顔が増えるよう
最近のニュースで「パレスチナ」について耳にすることは減っているように思います。一方で、子どもたちは変わることなく、閉塞感や鬱屈を抱えた生活を送っています。むしろ、恒常的な緊張状態が続くことで内面が不安定となり、他者への攻撃的な言動の増加や、投石やナイフなどで危害を加える青少年の事件数が急増しているという現状です。
KnKは、こうしたパレスチナの子どもたちが抱える閉塞感を看過することはできず、引き続き、彼らを支援していきます。特に今後は、本研修を通じて見てきた課題を踏まえ、子どもの身近な存在の親や教員を巻き込みながら、学校や地域のセンターにおいて課外活動が充実していくよう支援に力を入れていきます。
引き続き、皆さまの温かいご支援、どうぞよろしくお願いします。
※この活動は、外務省「日本NGO連携無償資金協力」の活用ならびに日本の皆さまからのご支援で成り立っています。
子どもたちを支えるために、あなたのサポートを必要としています
5,000円で、5人の青少年が1ヵ月間、学校に通えます。
KnKへのご寄付は寄付金控除の対象となり、税制上の優遇措置を受けられます。
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