2015/12/28
報告:現地代表 石原 聡美
KnKは、パレスチナのエルサレム県にある小学校で、音楽・図画工作・伝統舞踊の授業を提供しています。
今回は、アブディス小学校1年生の図画工作の授業の様子をご紹介します。
9月に入学した1年生たちは、学校生活に馴染むところから学びます。最初は授業中に自分の席に座っていられない子や集中して先生の話を聞くことができない子が少なくなく、担任の先生たちは苦労しているそうです。そんな子どもたちも、図画工作の授業のときは、自分の席についてKnKが派遣する図画工作担当のニスリーン先生に注目していました。
この日の授業のメインは、自分の好きなことを描きましょう、というお絵かきの時間です。普段の授業で言うことを聞かない子が多いというのが信じられないくらい、みんな自分の席についてお絵かきに夢中でした。黙々と絵を描く子もいれば、「学校は何色で塗ったらいいと思う?」と隣の友だちと相談する子、「緑の色鉛筆忘れちゃったから貸して!」と離れた席の友だちのところまで借りに行く子、「スクールバスはどうやって描いたらいいの?」とニスリーン先生に助けを求める子もいました。
授業の終わりに、子どもたちが描いた絵を見せてくれましたので、幾つかご紹介します。
オマル君は「昨日見た夢を描きました」と、描いた絵を見せてくれました。「家にいたら、外にライオンがやってきて、大きな蛇と喧嘩を始めて、喧嘩を怖がって、ヤモリが家の中に逃げ込んできたの。ライオンと蛇は大きすぎて家に入れないんだ。でも飛行機が飛んできたら、ライオンも蛇もみんな逃げて行った」と、夢で見た内容と一緒に絵を説明してくれました。
「雲、虹、家、リンゴ、イチゴ、木、それと地面に草が生えていて芋虫がいるところ」を描いたのは、ファラちゃん。「リンゴとイチゴが好きだから、家の庭に生っていたらいいなと思って、この絵を描きました」と、その理由も教えてくれました。
「太陽、雲、雨、家、男の子、蛇、あと地面を描きました」というのは、ムハンナド君。「家の中に蛇が入らないように、男の子が蛇を捕まえようとしているところ」だそうです。「この前、家の庭に蛇が出て、それ以来、蛇に興味があるから、この絵を描きました」とのことでした。良く見ると、雲も蛇の形に描いています。
自分の描いた絵をみんなの前で発表すると、「そのスクールバス、上手だね」「木と一緒に地面も描いたらいいと思います」などと、他の生徒たちからもコメントが出ます。中には「名前を書き忘れているよ!」というコメントもありました。このクラスでは、自分の絵を発表することを恥ずかしがる子はおらず、みんな積極的に発言していました。
「低学年の授業では、上手な絵を描くよりも、まず、自分の描きたいものを描くこと、そして色々な色を使うことを教えています。絵で表現することを楽しんで欲しいからです」と、ニスリーン先生は言います。子どもたちも、「自分の好きなものを好きな色で描くのは楽しい」と、授業中ずっと楽しそうな様子でした。授業時間が終わっても絵を見せに来る子どもたちが絶えず、ニスリーン先生と一緒に「今日はもうおしまい、また来週ね!」と、逃げるように教室を出ないといけないほどでした。12月下旬には学校が試験期間と中休みになります。1月の休み明け以降も、子どもたちが楽しめる授業を提供していく予定です。
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5,000円で、5人の青少年が1ヵ月間、学校に通えます。
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※この活動は、外務省「日本NGO連携無償資金協力」の活用ならびに日本の皆さまからのご支援で成り立っています。
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