活動ニュース

バングラデシュ教育事業と組合事業:振り返りと今後の展開

 

2015/12/28
報告:プロジェクト・コーディネーター 西村 静、土岐 三輪

 

2015年12月、バングラデシュの南部ボリシャル地域にて行っていた教育事業と組合事業は、一段落を迎えることになりました。2008年から8年間、この地域で活動を続けてきましたが、事業の目標を概ね達成したことから、KnKはこの地を離れることになりました。

今回の活動ニュースでは、教育事業と組合事業の2015年の振り返りと今後の展開を、ご報告します。

 

教育事業(就学前教育):2015年の振り返り

教育センターにおいて、就学前教育を1年間実施してきました。最終テストでは、120人の生徒のうち、115人(95%)の子どもが合格し、小学校入学の準備が整っていることが分かりました。

 

最終テストを受ける子どもたち

最終テストを受ける子どもたち

孫のテストを見守るおばあちゃん

孫のテストを見守るおばあちゃん

※テストは、知識を問うのではなく、できるようになったことを認識し合うことに重点を置いているため、教え合うこともOKとしています。

 

1年間行ってきた就学前教育事業について、「どのような成果があったか?」を振り返る作業を行いました。クラスに参加していた子どもたちの保護者へインタビューを行い、就学前教育を受ける前と後で、子どもたちにどのような変化があったかを聞き取りました。

保護者からは、「学校へ行く事が習慣化し、自ら朝早起きをして通学への支度をするようになった」「子どもの学習意欲が向上し、家でも自ら進んで勉強するようになった」という声が多く聞かれました。さらに勉強の面だけではなく、「学校で教えてもらった手洗い、身なりを整えることなどを親に言われなくてもするようになり、病気をすることが少なくなった」という声もありました。バングラデシュでは小さな病気が原因で学校を休んだことがきっかけとなり、通学を止めてしまう子が多数いるのが現状です。さらに、「地域住民の方や、家族、年配の方にきちんと挨拶ができるようになった」というコメントも寄せられました。教育センターという場を通じて、家族以外のより広い社会を経験し、地域の中でよりよいコミュニケーションや対人関係を築く基礎を身につけたことが分かりました。

 

保護者へのインタビュー

保護者へのインタビュー

子どもへのインタビュー

子どもへのインタビュー(「これできる?」と聞くと「はーい!」と元気よく手が上がる)

 

学校に行った事がなかった幼い子どもたちにとっては、私たちの教育センターへ通学すること自体が、初めはとても大きな挑戦だったことと思います。またこれまで就学前教育がなく、自らも教育を受ける事ができなかった親にとっても、どのように小学校進学前の幼い子どもの通学をサポートすればいいのか、とまどった保護者の方もいたと思います。しかしながら、子どもたちは自らの力でたくましく成長することができました。

本事業で就学前教育を受けられた子どもたちが、来年から新しい小学校という環境にうまく適応し、友人や先生と楽しく学び続けられる事を願っています。

 

教育事業:今後の展開

今後は教育センターにて、元スタッフたちが独自に教育サービスを提供していくことになっています。就学前教育、小学校へ通う1年生向け通学サポート、小学校3~4年生向け学習塾など、その地域の状況に合わせた教育サービスを提供していきます。

今まで無料だった教育センターでのサービスをどう有料にしていくのか、ノート・ペンなどをどのようにまかなうのか等の課題はありますが、小学校の先生方やコミュニティの人々と連帯しながら、小学校への就学率を保ち、小学校からのドロップアウトを防止し、地域の全ての子どもたちが初等教育を終えられることを目指していきます。

 

子どもたち、スタッフと記念撮影

子どもたち、スタッフと記念撮影

 

組合事業:振り返り

「女性が稼ぐことで、世帯収入が安定・向上する」「収入を通じて女性のエンパワメントを」というゴールに向かって、2010年から組合事業を行ってきました。

当時、限られた収入しか得ることのできなかった女性たちは、今では300~1,500タカを稼ぐようになり、生活費・教育費に充てたり、貯金ができるようになっています(世帯収入は概ね7,000タカ)。

 

この数年で女性たちは逞しく成長し、12月に行ったアンケートでは、稼ぐことができる悦びを表現してくれました。「自分が稼いだお金で、子どもの好きな食べ物を買ったり、夫に新しい服をプレゼントできることが誇らしい」「自分の服やコスメを買うのに、夫からお金をもらわなくてもいいのが嬉しい」「自分で稼げば、高校へ通い続けられる」「何か問題が起きた時に、自分で解決することができる範囲が広がった」「新しいことに挑戦する自信がついた」など、女性たちは稼ぐことを通じて自信を付け、世界が広がったことに悦びを感じています。

組合全体ミーティング

組合全体ミーティングで議論をする女性たち

 

組合事業:今後の展開

今まで作り上げてきた組合の仕組みは、女性たちのみで運用できるようになっています。毎月の組合ミーティングでは、ミシン貸出制度の賃借料を集めて組合資金へ入れ、無償ローンの貸出と返済を行い、帳簿への記帳と現金管理を行っています。組合センターに開設したショールームでは、布などの資材を買い付け、シフトを組み、村の女性たちへ販売し、収益を組合資金へ還流させています。ミシン貸出制度を通じて、14人の女性が自宅で作業を行って、収入を得ています。組合資金から無利子ローンを受けた10人が、資材やミシンを購入するなどして、個人のビジネスを拡大させています。

 

12月11日、第2回組合年次総会を開催し、集まった80人の女性たちは組合の活動を報告し、今後への抱負を語ってくれました。組合活動を足がかりに、女性たちが収入を得て、自信と経験を付け、ハツラツと生きていってほしいと願っています。

組合年次総会での発表

組合年次総会での発表

着飾った女性たちと記念撮影

着飾った女性たちと記念撮影

 

KnKはいったんこの地から離れますが、今後もパートナー団体と共に定期的なモニタリングを行い、彼ら彼女らの活動をサポートし続けていきます。

ご支援をいただきました皆さま、本当にありがとうございました。

 

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【バングラデシュ活動概要】

 

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