活動ニュース

寒い冬休みを元気に乗り越えよう!シリア難民の子どもたち

 

2016/02/05

寒いヨルダンの冬

「ヨルダン」「中東」と聞くと、「砂漠」「1年中暑い」というイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。でも実際は、ヨルダンの緯度は日本とそう大差なく、また特にアンマンの標高は平均1,000mと高いため、アンマンと東京の年間平均気温はほぼ同じです。砂漠に囲まれたヨルダンは、年間を通して乾燥しており、日本のように四季があります。

現在のヨルダンは冬です。最近は特に寒い日が続いており、昼間、太陽が出ていると暖かくても、夜間の冷え込みはかなり厳しく、最低気温がマイナスになる日も少なくありません。冬の間に数回は雪が降ったり積もったりする日もあります。つい最近も、寒い気温の中で雨が続いたために路面凍結の恐れがあることから、ヨルダン政府が夜間の外出を控えるように発表をしました。

KnKが活動する学校で、子どもたちに夏か冬かどちらが好きかと聞くと、「夏」と答える子どもが圧倒的に多いのですが、それでも雪が降ることを楽しみにしている子どもは少なくなく、雪だるま(雪ガールと答えた子もいました)を作ったり、雪の上に文字や絵を描いたりして兄弟や友だちと遊ぶのが、子どもたちにとって冬の楽しみのひとつになっています。

寒い冬でも、KnKが提供する授業や補習授業に通う子どもたちに快適に過ごしてもらうため、ザアタリ難民キャンプとアンマンのホストコミュニティの学校では、11月頃から教室にストーブを設置しています。また、教室や校庭で、声を出したり軽く体を動かしたりし、体を温めてから授業を行っている学校もあります。

授業の前に、体を動かして体を温める

授業の前に、体を動かして体を温める

授業前に校庭に整列し、軽い運動と国歌斉唱

授業前に校庭に整列し、軽い運動と国歌斉唱

ヨルダンで一般的なのは、灯油ストーブとガスストーブです。授業の前や休み時間には、子どもたちがストーブの周りに集まって、温まっている様子をよく見ます。雨や雪が降り、寒い日が続いている中でも、子どもたちはKnKの授業や活動に参加することを楽しみに登校しています。

ストーブを教室の真ん中に置いて

ストーブを教室の真ん中に置いて

11. ストーブを囲んで音楽の授業/ザアタリ難民キャンプ

ストーブを囲んで音楽の授業/ザアタリ難民キャンプ

おやつの時間に、ストーブの周りに集まる子どもたち

おやつの時間に、ストーブの周りに集まる子どもたち

 

冬休み中の過ごし方

今、ヨルダンはちょうど冬休み中です。そして、冬休み中もKnKはザアタリ難民キャンプとアンマンの合計13の学校において、冬休みの特別補習授業や課外活動を行っています。

ザアタリ難民キャンプ内の3つの学校では、音楽、作文、演劇の授業に子どもたちが参加しています。冬休み初日の活動日には、各教科で行われる授業の説明を行うとともに、子どもたちが楽しめるような課外活動を用意し、子どもたちやKnKのスタッフ、先生たちにとって楽しい冬休みの幕開けになりました。

寒さが厳しい冬のザアタリ難民キャンプでは、子どもたちの多くが家で家族と過ごし、両親の手伝いや兄弟の面倒を見て過ごしています。また、冬休みの間に、家計を助けるために働く子どももいます。キャンプの外から入ってくる商品をキャンプのゲートから各商店や家に運ぶ仕事や、バスの車掌のような、乗客からお金を集めるコンダクターの仕事などに就いています。

家で過ごすことが多い冬休み中の子どもたちにとって、KnKの授業は楽しみのひとつになっており、寒くても皆元気に学校に通っています。友だちと一緒に学べる喜びや、自分を表現できる環境が、彼らにとって自分の居場所のひとつになっていることを実感しています。

アンマン市内では10校において、英語、アラビア語、算数の冬季補習授業と、他者理解を目指した課外活動を行っています。3教科では1学期の復習をしっかりし、勉強の遅れを取り戻して2学期に進めるよう、少人数のクラスの中でヨルダン人とシリア人が共に学んでいます。課外活動では、自己紹介のカードを作ったり友だちに手紙を書いたりし、自分自身のことを考えたり、また他者に知ってもらい、クラスメイトとさらに仲良くなるきっかけを作っています。

冬季補習授業のひとこま。友だち宛の手紙を書こう

冬季補習授業のひとこま。友だち宛の手紙を書こう

冬季補習授業のお昼休み

冬季補習授業のお昼休み

アンマン市内の子どもたちは、冬休み中は友だちとサッカーやかくれんぼをして遊ぶことが多いそうです。家で1学期の復習に励むと回答した真面目な子どももいます。また、アンマン市内に住むシリア難民の子どもの中には、ザアタリ難民キャンプや他の市などで離れて暮らす親戚に会いに行く子どももいるようです。

また、ヨルダンには、イスラム教の聖書クルアーンを学ぶ塾のような学校が難民キャンプ内も含めて地域ごとにあります。冬休み中にその学校に通い、クルアーンを通じてアラビア語の読み書きや発音を学習し、イスラム教について学ぶ子どもたちも多くいます。

子どもたちはみんなそれぞれに冬休みを過ごしているようですが、家で過ごす時間が多い子どもたちからは、「冬休み中にもKnKの活動があり、友だちに会えてうれしい」「新学期が待ち遠しい」という声も聞こえてきます。KnKの活動を通じて、勉強が好きになったり、新しい友だちと出会えたり、また子どもたちにとって将来のことを考えるきっかけになればと思います。

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冬休みも終盤になり、2月初旬に始まる新学期まで残りわずかとなりました。寒い日が続く中でも元気に登校し、KnKの活動に参加している子どもたちから、私たちKnKスタッフも元気をもらっています。

寒さ厳しい環境の中でも、友だちと楽しく学んでいる子どもたちの未来につながるよう、残りの冬休み中も、子どもたちが楽しみながら学べる場を提供し、新学期以降も活動を継続して参ります。

 

子どもたちを支えるために、あなたのサポートを必要としています


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例えば9,000円で、ザアタリ難民キャンプのシリア難民の子ども1名が
約5ヵ月間、音楽などの情操教育を受けられます。
KnKへのご寄付は寄付金控除の対象となり、税制上の優遇措置を受けられます。

※ ヨルダンにおけるKnKのシリア難民支援活動は、認定NPO法人ジャパン・プラットフォーム助成金(イラク・シリア難民・国内避難民支援)の活用と日本の皆さまからのご寄付で成り立っています。

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【KnKヨルダン活動概要】

 

 

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