活動ニュース

カンボジア政府の方針変更、そしてKnKカンボジアと「若者の家」のこれから

報告:カンボジア事業担当 三喜 一史

カンボジアで2000年より活動を続けてきた「若者の家」ですが、近年は世界的な潮流を受け、現地政府も孤児院を始めとした居住型での支援形態から支援を要する子ども・若者が可能な限り地域に残りながら支援を受けられるようにするコミュニティベースでの支援形態に方針を変えました。

過去の若者の家の活動についてはこちらもご確認ください。
「若者の家」事業:https://knk.or.jp/khm181204/

方針転換の主な要因となっているのが子ども・若者の置かれている状況をよく精査せずに施設などに誘導する支援が横行した問題があり、その最たる例として孤児でもない子どもを引き連れて観光客などの目を引かせ寄付金を集める悪徳孤児院ビジネス問題もありました。その余波を受けてとも考えられますが、健全に運営していた居住型支援を提供している団体の多くがコミュニティベースでの支援に切り替えました。

幸いと言うべきかわかりませんがKnKが運営している「若者の家」については正式にカンボジア行政の関係機関より「孤児院」として認識はされておらず、学校教育や職業訓練に若者を繋げる教育機関として考えられ、「寮」の機能を持つ団体として認められています。しかし、やはりコミュニティ内でも多くの若者が支援を要しており、「若者の家」内だけではなくコミュニティでの活動についても拡大していくよう行政より要請がありました。そして上記のような流れにある中で全体の仕組みの様相も変わってきたために我々としても検討を重ね、方向性を変えました。

まず、「若者の家」の機能として自ら子ども・若者を探し出して入居させることは人身売買予防の観点から認められておらず、ソーシャルワーカーなどフィールドで活動されている他機関の方々と連携し、丁寧に子ども・若者の状況を精査した上で「若者の家」への入所が適切か否か様々な機関の目を通して判断されます。この行程を含む仕組みの中で活動を実施してきたわけなのですが、連携を取ってきた他機関の方々の意識がよりコミュニティに向き始めたことで我々へのも年々減ってきたという現状もありました。その結果、一時は3、40人いた「若者の家」の入居者も20人を切る事態となり、今年の始めには10名と以前では考えられない少ない人数となってしまいました。

人数の多い少ないだけで物事の良し悪しを判断することはできませんが、他事業・他地域での活動を通して、また、関係諸機関とのミーティングで多くの方々からの話しから、まだまだ支援を要する子ども・若者がいるとの情報受けており、我々としても対策を講じる必要がありました。子ども・若者たちとつながるためにできることが残されていると考え、結果、基本に立ち返り、より多くの他機関と、より綿密に連携を図ることが支援を要する子ども・若者とつながる道だと考えました。前述の通り、我々自身がコミュニティを探し回ることはできません。その中でどのように他機関とコミュニケーションを取り、我々として何ができるのかを一緒に考えながら活動を行うように変化を起こす時でした。

2023年に入り、現場のスタッフはこの連携強化に励みました。その結果、年始の「若者の家」の入居者は10名、コミュニティでの支援対象者も10名の計20名の支援でしたが、9月にそれぞれ12名、13名の計25名、と支援対象者が増えました。たったの5名と考えられるかもしれないですが、既に述べた通り、丁寧な精査の元、他団体などでの支援含め支援方針の結果によるもので他機関との連携による家庭訪問や精査を行う作業、いわゆるアセスメントの数を多く行ってきました。

次の機会で、このアセスメントから支援につながるまでの過程をより詳細に報告できればと考えております。

引き続き応援のほどよろしくお願いいたします。

 

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