活動ニュース

職業訓練を通じた若者の就労支援/カンボジア、パイリン州

カンボジア・パイリン州での新規事業

2020年2月より開始した「カンボジア、パイリン州におけるコミュニティ・ラーニング・センター(CLC)の質の向上を通じた青少年の就労支援事業」は、カンボジア西部タイ国境に位置するパイリン州において、学校中退者を中心とした若者に対して就労支援を行う事業です。

カンボジアでは若者の学校中退率の高さとそれに伴う不安定な就労状況が問題になっています。しかし、若者を対象とする支援体制は未整備なままです。カンボジア国内各州にはコミュニティ・ラーニング・センター(CLC)と呼ばれる若者への職業訓練を通して就労支援をする施設はあるものの、予算の不足が原因で実際には訓練が行われていない、老朽化した施設のままで満足した訓練を提供できていないなどの問題を抱えています。また、自身の将来を設計する「ライフスキル」が不足しているために、少なからずの若者が長期的な視野をもって職に就かず、不安定な就労状況に自ら拍車をかけています。

KnKでは、こうした若者を取り巻く問題に取り組むべく、パイリン州内7カ所にあるCLCの環境を整備し、ライフスキルトレーニングを伴う職業訓練コースを開講し、州の中心部から遠隔地に暮らす若者にも等しく就労機会を提供してまいります。事業1年目の2020年は新型コロナウィルス感染症の世界的流行のため、春から夏にかけて州間移動規制や渡航規制が敷かれ、現地スタッフによる現地調査の中断や日本人スタッフの渡航延期などの厳しい条件下での事業の運営を余儀なくされてきました。しかし、7月には日本人スタッフのカンボジア入国がようやく実現しました。

スケジュールの遅れを取り戻すべく、急ぎ事業計画にそって業務を進め、先月10月26日にパイリン州北西部のプノンコイのCLCにおいて、ついに本事業初となる職業訓練コースを開講することができました。

職業訓練コースの選定

プノンコイのCLCに開講した職業訓練コースは「エアコン修理」と「美容・理容」の2コースです。KnKでは2019年よりパイリン州や隣接するバッタンバン州内の企業に対して、雇用に関する調査を進めてまいりました。各業種の若者に対する採用意欲や実際に採用を希望している企業数を調べるとともに、それら業種の将来性や賃金上げや休日及び雇用契約書の有無などの労働条件も調査しました。

これは我々KnKが単に雇用される若者の数が増えれば良いと考えてはおらず、CLCの職業訓練コースを修了後、安定した就労状況を保つことが重要だと考えるためです。若者の生活を安定させ、彼らが希望ある将来設計を描くためには安定した雇用が重要であり、そういった職業に就けるための就労支援が必要だと考えています。

また、地域の職業訓練コースを決定は地域コミュニティであるという考えのもと、前述の企業の雇用動向の調査結果をプノンコイのCLC運営委員会と管轄するパイリン州の教育局ノン・フォーマル教育課に提示しました。そして、このKnKの調査結果をもとにプノンコイのCLC運営委委員会はエアコン修理コースと美容理容コースを選定、ノン・フォーマル教育課がこれを承認し、この2コースを開講するにいたりました。

この地域コミュニティ主体の決定プロセスはKnKの事業が終了した後も持続可能なものとして残り、今後も運営委員会を中心にCLCの職業訓練コースを運営していくことを目指しております。開講したエアコン修理コースには16人、美容理容コースには21人が参加し、講師の熱心な指導のもと訓練を受けています。訓練生に話を聞いてみると「エアコン修理の技術を身につけて、ホテルでメンテナンスの仕事につきたい」「美容・理容クラスを修了したら、パイリンのヘアサロンに勤めて経験を積みたい」と、再び学べることを喜び、希望をもってこの職業訓練コースに参加していることが伝わってきました。KnKでは今後も就労支援及び将来設計を中心に訓練生をサポートしてまいります。

プノンコイ CLCエアコン修理コースの様子。講師のスム・アン先生は物静かだが熱心な方(写真右)

コミュニティ・ラーニング・センター(CLC)校舎建設

プノンコイのCLCでの職業訓練コース開設の他に、事業1年目の2020年はパイリン州北東部に位置するオードンターのCLCに老朽化し使用が困難になった建物に代わる形で、新たなCLCを建設しています。入札には地元建設会社3社が参加、日本のODAによる建設案件を担当したこともある経験豊かな建設会社を選定することができました。また、オードンターのCLC建設現場には円滑な工事進捗とその品質を保つために、KnKのエンジニアが常駐し、建設コンサルタント会社の助言を受けながら、常時モニタリングを行っています。雨期の終わりの大雨による工事の断続的な中断というトラブルにあいながらも、無事11月末に工事が完了しました。この新CLCの建設工事と並行して、オードンターのCLCではCLC運営委員会とともに開講する職業訓練コースの選定をすすめています。事業2年目となる2021年の春には、プノンコイのCLC同様に職業訓練コースを開講する予定です。

建設中のオードンターのCLC新校舎の外観

11月末に完成したCLC(コミュニティ・ラーニング・センター)

本事業では、プノンコイとオードンターのCLCで職業訓練コースに参加する若者を支援していくとともに、事業2年目、3年目と進めていく中でパイリン州の他4カ所のCLC にて職業訓練コースを随時開設してまいります。

プノンコイのCLC美容理容コースの実技の様子。ヘアアレンジを学び中。

※この活動は、外務省「日本NGO連携無償資金協力」の活用ならびに日本の皆さまからのご支援で成り立っています。

子どもたちを支えるために、あなたのサポートを必要としています


50en
 imakihu
5,000円で、5人の青少年が1ヵ月間、学校に通えます。
KnKへのご寄付は寄付金控除の対象となり、税制上の優遇措置を受けられます。

関連記事:カンボジアで新規プロジェクトを開始しました
関連記事:カンボジア「若者の家」の子どもたちへクラシック音楽のプレゼント
関連記事:【カンボジア】職業訓練、そして女性が収入を得るまで

【カンボジア活動概要】

寄付する
寄付する
資料請求

カテゴリー

月別アーカイブ