活動ニュース

カンボジア「若者の家」の子どもたちへクラシック音楽のプレゼント

報告:KnKスタッフ 村松 知恵子

カンボジアの首都プノンペンから車で6時間かかる北西部のバッタンバンはカンボジア第2の都市で、KnKが運営する青少年自立支援施設「若者の家」があります。
2019年12月下旬の乾季、カンボジア国民の大半は仏教徒ですが、街中にはクリスマスのデコレーションが見られ、家族連れが楽しげにサンタやツリーと記念写真を撮影していました。

12月25日、「若者の家」にも素敵なクリスマスがやってきました。それは「クラシック音楽」のプレゼント。
この機会を届けてくださったのは、世界中で活躍されているヴァイオリニストの五嶋みどりさんと若手女性演奏家3名。五嶋さんは演奏活動の傍ら、認定NPO法人ミュージック・シェアリングの理事長として、文化・芸術の振興、子どもの健全育成を目的に活動されています。
そのインターナショナル・コミュニティー・エンゲージメント・プログラム(ICEP)ではアジアの途上国に生演奏を届け、音楽を通じた相互理解と文化交流を行っています。今年は訪問国がカンボジアで、クリスマス当日にKnKの「若者の家」を訪れました。

前日から「若者の家」スタッフたちがアイディアを練り、当日は朝から子どもたちと一緒に歓迎準備を行いました。
敷地内にある、いつもは識字教室に使用している建物を掃除して飾りつけをするチーム。字のきれいな女子が手書きのウェルカムボードを書き、東屋では折り鶴やクリスマスらしいデコレーションを吊るしました。皆のワクワク感が伝わってきます。

学校から戻った子どもたちが協力して会場を飾りつけ

ウェルカムボードを書きました

中庭の東屋もクリスマス風に

お礼のカードに寄せ書き中

子どもたちが午前中の授業を終えて学校から「若者の家」に戻る頃、ICEPのカルテットとコーディネーターがトゥクトゥクで到着。子どもたちは早くから会場に体育座りで待ち構えていました。
近隣の子どもたちや親子連れも集まる中、五嶋みどりさん、エリーナ・ブクシャさん(ヴァイオリン/ラトビア)、エリカ・グレイさん(ヴィオラ/アメリカ)、ノエミ・レイモンド-フリセットさん(チェロ/カナダ)が楽器を手に登場。

五嶋みどりさんたちの到着が待ち遠しい子どもたち

メンバーからクメール語の通訳を交えた自己紹介を聞き、初対面の子どもたちは少し緊張気味でしたが、いよいよ演奏が始まりました。
モーツァルト、ベートーヴェン、チャイコフスキーそしてロッシーニ。日本人にはどれもなじみのあるクラシックの有名曲が4曲披露されました。カンボジアの子どもたちはTVやラジオで聴いたことがあるかどうかという様子でしたが、1曲ごとにみどりさんたちから、にこやかにわかりやすい楽曲の説明があり、美しい音色が流れると、いつものおしゃべりやいたずらもなく段々と引き込まれていく様子が伺えました。

近所の子どもたちも招待し開かれたミニコンサート

演奏後には4人から、「誰かこの楽器弾いてみたい人いますか」と声を掛けられ、最初は照れて恥ずかしがっていた子どもたちでしたが、一人が友だちに無理やり前に出させられたのをきっかけに、「私やってみたい」「僕もいいですか」と手が挙がり始めました。おぼつかない手つきで恐る恐る弾いてみたら「ギギー」という音しか出ず苦笑したり、アーティスト気分でポーズを取ったりなど、あちこちで笑顔が弾け、日頃クラシック音楽や楽器に触れる機会の少ない子どもたちにはまたとない機会となりました。

ヴァイオリンの弾き方を教える五嶋みどりさん(左から2人目)

「楽しかった!」「きれいな音楽だと思いました」「自分が弾いたら変な音しか出なかった!」 興奮気味の子どもたちからは、メンバーひとりひとりに手書きのポストカードと、ラッピングしたキャンディ、そして職業訓練生がカンボジア・シルクで作ったネズミ(日本では来年の干支です)のオーナメントをプレゼント。現地スタッフも含め全員で記念写真を撮影し、笑顔いっぱいのクリスマス・コンサートが幕を閉じました。

楽器を弾くのって難しいけど楽しい!

五嶋みどりさんやカルテットの皆さまからは「子どもたちの表情が素晴らしかったです」「最初はシャイでも演奏するにつれて目を輝かせて聴いていただき、私たちも楽しんで演奏できました」「特に若手演奏家にとっては貴重な機会となり、どうもありがとうございました。カンボジアの少年少女の心に残るひと時になれば幸いです」とうれしいコメントをいただきました。
その後は敷地内のIGA(収入創出活動)の縫製ルームや機織りルームなどを見学され、子どもたちの生活ぶりや職業訓練を受ける女性たちの様子などを、質問を交えて熱心にご覧いただきました。

素晴らしい音楽を披露してくださった五嶋みどりさんをはじめとする演奏家の皆さま、ICEP/認定NPO法人ミュージック・シェアリングの皆さまに、KnKカンボジアのスタッフと共に心からの御礼を申しあげます。同時に、「若者の家」の子どもたちの成長を長く見守ってくださる日本のご支援者の皆さまにも厚く感謝を申しあげます。

KnKは、子どもたちがこのように子どもらしく過ごせる時間を大切に、2020年も活動を続けてまいります。どうぞ変わらぬお力添えをお願い申しあげます。

全員で「カンボジアからメリー・クリスマス!」

 

※「若者の家」の運営は、日本の皆さまからのご支援で成り立っています。

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