6月20日は「世界難民の日」です。
ヨルダンでシリア難民支援事業に携わる松永晴子からのメッセージをお届けします。
シリア難民支援事業総括 松永晴子からのメッセージ
ヨルダンからこんにちは。シリア難民支援事業を総括しております松永晴子です。いつもKnKの活動を通じて困難な状況にある子どもたちをご支援くださり、本当にありがとうございます。
ヨルダンでの活動は、ザアタリ難民キャンプでの活動が丸5年、そして首都アンマンなどヨルダンの街で行ってきた活動は、イラク難民支援を開始した2007年から丸11年が過ぎようとしています。わたし自身はKnKで2014年から働かせていただいておりますが、その中で、たくさんの子どもたちと出会う機会がありました。
ザアタリ難民キャンプにはシリア人のみ住んでいますが、キャンプの外にはシリア人だけでなく、イラク人やパレスティナ人、スーダン人など、さまざまなルーツの子どもたちが暮らしています。命からがら逃げてきたけれどアパートの家賃も払えないシリア難民家庭や、故郷ダマスカスに不動産を持ち比較的まだ安定しているシリア人家庭もあれば、10年以上支援が滞り、経済的に厳しい生活を強いられているイラク難民家庭、そしてずっと同じところで周りの環境が変化していくのをじっと見ているヨルダン人家庭など、それぞれの暮らす状況の中で、子どもたちの背景にも違いがあります。
社会の不条理は子どもたちに関係なくどこにでも存在しますが、それでも、よりよい未来をつくっていくための根幹にある、周りの人の気持ちを理解しようとする力や、どんな相手も尊重して接する気持ちがいかに大切であるかを、子どもたちの姿からまざまざと感じてきました。
長らく続けてきた難民キャンプでの支援事業は、予算の縮小で事業規模も縮小しております。多いときは30人近くの教員やスタッフで回していた事業も、今は教員4人のみで細々と継続しています。ただ、長く続けてきたからこそ見えてくる子どもたちの様子を、できるだけ多くの方々に知っていただきたい思いから、先々月、久々に日本に帰国している間に、子どもたちの話をする機会をいただきました。
「シリア難民」という言葉から、どうしてもミサイルや戦争、政治的な動きや過激な言動を想起させてしまう報道が多い中、子どもたちの日々の楽しみや辛さ、小さな喜びや成長が、どこにいても人々の暮らしの中に当たり前にあることをお伝えしたいという願いがありました。
それらは、私たちが大人になるまでに経験してきたことと何一つ変わることのない、大事な時間です。友だちとけんかをして、友だちの涙を見てどうしたらいいのか分からなくておろおろしたり、新しく手に入れたビー玉を日の光に透かして眺めてみたり、先生に叱られてやっと自分がしたことが何だったのか分かったり、歌が上手だと誉められてとても嬉しくなったり、一つ一つの日々の経験が子どもたちの心に大切に残されていきます。
柔らかい心を持っている間に過ごすべき時間をできるだけ確保してあげたいと、いつも子どもたちを見ながら思っています。その想いは、KnKで働く教員たちとも共有し、心を一つにして事業を続けております。
教員の中には、自身も難民としてキャンプに暮らす人たちもいます。また子どもが生まれてお父さんになったばかりのヨルダン人の教員もいます。自分の子どもと同じように、生徒たちに愛情を持って接する先生たちの姿に、わたし自身学ぶことが多く、同僚ながら心から尊敬しています。彼らの教育への視点や考えは、わたしのような難民でもなく、アラブ人でもない外からの人間では知ることのできない、言葉に尽くしきれない辛さを持ってもまだ失われない温かさがあります。
そのような信頼できるスタッフと事業が継続できているのは、ひとえに皆さまからのご支援によるものです。ご支援は同時に、いただく方々からの事業への信頼の一つの形だと思うと、身の引き締まる思いです。
目を曇らせず、子どもたちにとって意味のある事業を継続していく所存です。これからもご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
シリア難民支援事業総括 松永晴子
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