活動ニュース

下村健一さんの、特別授業 ~ヨルダン活動現場より~

報告:シリア難民支援 現地事業総括 松永 晴子

3月最終週、ザアタリ難民キャンプに、ジャーナリストの下村健一さんがいらしてくださいました。
二日間にわたり、キャンプ内のKnKの活動対象校にてモニタリング、そして、子どもたちに授業をしていただきました。

下村さんは昨年12月、東京で開催された、キャンプでの課題を解決するためのワークショップ、「あなたと作る、シリア難民キャンプの子どもたちへの授業」の講師として、来てくださっています。
今回は、そのワークショップと、いただいた下村先生著の絵本「窓をひろげて考えよう」のご縁があって実現した、特別授業でした。

ワークショップ開催前、日本各地で講義をなさっている下村さんの講義を拝見させていただき、目から鱗、という経験をさせていただいたこともあり、今回のキャンプでは、日本でなさっているメディアリテラシーに関する授業をしていただきました。
また、話を伺ったときからずっと、自分たちでもやってみたいと思いつつも、実現していなかった、「未来同窓会」という授業もしていただくことになりました。
子どもたちが自分の20年後を想像し、その姿になりきって自分の話をする、という授業、キャンプの学校でもキャリア教育を取り入れ始めた時から気になっていた、興味深い教材でした。

男女の授業をモニタリング ~子どもたちの授業の環境を見る~

1日目はモニタリングの日としました。
キャンプの子どもたちが実際、どのような環境で授業を受けているのか、見ていただきます。
教室に入ると、子どもたちは日本からのお客様が気になります。教室で観覧なさる下村さんのご紹介に、「窓をひろげて考えよう」の話をしました。
「あのクマと人の話の絵本、覚えているひと!」と声がけをすると、こんな話だったよ、と手を挙げて次々と、子どもたちは説明をしていました。

子どもたちは、とてもしっかりと、下村さんからいただいた絵本の話を、覚えていました。
「あぁ、あの本を書いた人なんだ!」と、声を上げる子も居て、子どもたちは、作者が来てくれたことに、驚いていました。

女子シフトの授業をモニタリングする様子

男子シフトの授業をモニタリングする様子

メディアリテラシーの授業 ~「ものの見方」を学ぶ~

二日目は、授業を実施していただきました。
9年生女子(中学校3年生に相当)を対象として実施した、メディアリテラシーの授業。
日本と難民キャンプの子どもたちを巡る、メディアへの接し方には、違いがあります。スマホの所有率も低く、テレビこそ見られるものの、ニュースの読み解き方には、政治や思想に触れる部分も多く、学校教育での扱いには、難しさがありました。
そこで、メディア(情報)リテラシー(読み解く)ために必要なスキルとして、身近な事柄にも応用できる、「ものの見方」を学ぶ授業をしていただきました。

自分が今見えているもの、それが全てではない、かもしれない。
自分が見ている方向の他にも、違う方向からの見方がある、かもしれない。
自分が聞いた話は、順序によって、相手への見せ方が変わってくるかも、しれない。

分かりやすい図や絵で構成されたスライドを用い、どこの中学生の年代の子どもたちにもある、友だちとの問題、友だちとの会話、など、例え話も交えつつ、話をしていただきました。

実は、ずっと天気が良くなかったヨルダン。太陽光発電で動いていた視聴覚室の電気が途中で落ちてしまって、急遽スライドを紙媒体に変更しなくてはならないハプニングが起こりつつも、子どもたちは興味深く、授業を受けていました。

視聴覚室での授業の様子-電気が止まってしまったため、ノートに描いた図を用いた授業の様子

「未来同窓会」の授業 ~20年後の未来を想像する~

「未来同窓会」の授業は5年生の女子のクラスで実施しました。
授業の始まりに、20年先の2039年、自分はどこで、何をしているのか、詳細を想像して、準備されたプリントに子どもたちは書き込んでいきます。

5年生の授業。アブダッラ先生による、プリントの説明

実は、あまり自由にいろいろなことを想像する習慣がない環境の子どもたち。
自由なお題で絵を描かせると、家と木と太陽の絵しか描けなかったり、お話を自分で作ってみると、友だちとみんな似たり寄ったり、という現象がよく起きてしまうのは、キャンプの子どもたちだけではなく、ヨルダンの子どもたちにも、見られることです。
そのため、20年後の自分になりきる、という発想を理解するのには、時間が必要でした。
子どもたちがプリントに書き込んでいる様子を見ていると、お題の理解度に差が出ていましたが、自分なりに考える姿勢が見られました。

ランダムに選んだ3人の子どもたちの、20年後の職業、住んでいる場所などをホワイトボードに書き写しながら、下村さんは、本人たちの話を引き出していきます。
お医者さんになっている子が二人、一人はシリア、一人はカナダに居ます。どこで勉強したの?という問いかけに、シリアの同じ大学で勉強していたんだ、という答えが返ってきます。日本にご家族と移り住んでいる、と書いた子も居ました。いつ、日本に来たの?という質問に9年前から、と答えていました。

これからの授業 ~下村さんの授業のアイデアを生かします~

即興の質問に、子どもたちが素早く反応しているのが、普段から子どもたちに接しているKnKの教員には、とても新鮮に映りました。
もっと、下村さんと子どもたちのやりとりを拝見したかったのですが、最終時限の授業だったので、時間が足りませんでした。子どもたちへの質問を通じて見えてくる、未来での、今のクラスメートたちのつながり、また質問から子どもたちの想像の広がりを、もっと見たかった、と心残りです。
ここからは、下村さんの授業を拝見させていただいていた、こちらの教員やスタッフが、意図や目的は変えず、子どもたちの日常により近いキャンプ仕様にして、実施していくことになっています。

ワークショップだけではなく、キャンプという現場でもまた、「アイディアという支援」を具体化、実施していただいた下村さんに、スタッフ一同、心から感謝しております。
これからも、ワークショップでのアイディア、下村さんがしてくださった授業のアイディア、実施の様子をお伝えしていきたいと思っております。

※下村健一さんの特別授業の様子が、4月4日(木)のモーニングCROSS(TOKYO MX)「オピニオンCROSS neo」にて紹介されました。
4月7日(日)までエムキャス(下記URL)でご視聴いただけます。

http://mcas.jp/movie.html?id=749815351&video=799308&genre=453017945

 

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