報告:シリア難民支援 現地事業総括 松永 晴子
1月の後半から2月の初旬にかけて、冬季アクティビティを実施しました。
冬休みの間の冬季アクティビティは、普段の授業とは異なり、参加を希望する子どもたちだけが登録します。少人数にはなりますが、その分、子どもたちのやりたい活動を集中して提供することができます。また、いつもは5年生以上を対象とした授業ですが、休み中のアクティビティ期間には、下は4歳から、上は15歳まで、幅広い年齢層の子どもたちが参加します。
休み期間のアクティビティでは、期間最後の日に、オープンデーという発表会をすることになっています。
普段はなかなか、子どもたちの様子を見にくることのない親御さんたちにも、学校に来ていただき、子どもたちの取り組みの成果を観る機会ともなっています。
2週間という短い冬季アクティビティでしたが、女子は70名以上、男子は50名以上の生徒が登録し、発表会の日には、140名以上の子どもたちが来てくれました。
ほぼ毎日アクティビティに来ていた子どもたちは、練習した出し物を親御さんの前で披露します。
アクティビティにいつも参加してくれる子たちは、発表会でどんなことをするのか経験上よく、分かっています。また、小さい子たちが親御さんやお兄ちゃん、お姉ちゃんたちと一緒に来て、ややもすると混乱してしまうことも、よく知っています。
そんな常連の子どもたちに当日のお手伝いをお願いすることで、これまでの自分の経験からの解決策を考え、上手に立ち回ってくれます。
今回は司会進行、出し物準備係、子どもたちをきちんと座らせる係をしてもらいました。
風の随分と強い日でしたが、親御さんも開始前から来てくださり、リハーサルの時から携帯電話でビデオを撮っている方もいました。
アラーダ(伝統的なパフォーマンス。結婚式などのおめでたい会に披露するもの)、男子のダプケ(伝統的なダンス)、ピアニカ演奏、ラップ、高学年女子のダンス、演劇、低学年女子のダンス、個人詩の朗読、合唱と、様々な演目がありました。
参加した子どもたちが必ず、出し物のいずれかには参加できるように、年齢や内容などを調整しました。
スムーズに全ての演目ができたのは、係の子たちがきちんと仕事をしてくれたから。
そして、外で行なった発表会で使った机や椅子などの片付けまで、私がお願いしなくても、子どもたちが自主的に始めてくれる姿を見ることができました。
今回の発表会では、過去に事業をしていた同じキャンプ内のバハレーン学校から遊びに来てくれた女子生徒によるラップもありました。シリア人の有名なラッパーをカバーしてくれていました。
随分と人見知りで、人前で何かをできるような性格の子ではなかったというこの生徒は、演劇の授業で人形を使った劇をしてみたことで表現の面白さに気づき、今ではキャンプ内の様々な場所でラップを披露するまでになっています。
遊びに来てくれたことで、以前はバハレーン学校で働いていた先生たちも大喜び。すらりと背が伸びて、かっこいい女性の片鱗の見え始めた彼女を眩しい目で見つめる生徒たちの姿も見受けられました。
また演劇は、ある一家に扮し、学校へ行きたいのに家の事情で行かせてもらえない女の子が、本人や周りの人たちの力を借りて、また学校へ行けるようになる、という内容のものでした。
女の子たちが自ら、このような内容の演劇を演ずることで、早期結婚や学校へ行く意義を再確認できています。
会の最後には、いつもの通り賞状をもらい、親御さんと一緒に帰って行きました。
新学期は今週から始まっています。
今年は2月に入っても雨の多い日が続いていますが、冬休みのアクティビティで得た達成感を糧に、また新学期も休まず学校に来てくれることを願っています。
子どもたちを支えるために、あなたのサポートを必要としています
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