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子どもたちの未来想像図/友情のレポーター(2019)

こんにちは。友情のレポーターの高橋叶多です。

フィリピンに到着して6日目。こちらの雰囲気にもやっと慣れてきました。
この日は4日目、5日目と訪ねたバゴンシーランという街に再び取材に向かいました。バゴンシーランという街はマニラ首都圏の中でも大きなスラム街の一つです。しかし、通りがかりにあいさつをしてくれる人がたくさんいる素敵な街でもあります。私たちのホテルがある場所と違い、三輪バイクタクシーや自転車、歩行者が目立ちます。また、建物は大きくても二階建てまでのようです。

にぎわいのあるバゴンシーランの街

今日はこの街で家庭訪問をさせてもらった2軒のうち一つのお家での様子をお話しします。
今日訪れたのは、先日、写真ワークショップに参加してくれたヨハンのお家です。彼の家は車の通ることのできる大きな道から、細い路地を少し奥の方へ入ったところにありました。きれいな水色で塗られた平屋建てのお家です。狭い入口を通り抜けて家へ入ると彼の家族が迎えてくれました。

ヨハンの家族も見守る中、取材スタート!

ヨハンはお父さんを亡くしています。そしてお母さんは再婚し別の場所に住むことになったので、彼は今、叔父さん一家と祖父母とともに暮らしています。彼の平日の一日の生活の始まりは朝の4時か5時。

どのように寝ているのか、再現してもらいました

学校が6時から始まります。学校では友だちと休み時間に遊ぶことが楽しいと言います。12時に学校は終わり、2時か3時頃から市場で働き始めます。市場では、掃除の仕事をしているそうです。市場で働いている人からもらう100~120ペソのお金は祖母に渡したり、学校へ通う費用に充てているそうです。市場での仕事は夜8時ごろまで続きます…

どの質問にも目を合わせて聞いてくれました

彼にさせてもらった質問の中で、特に次の三つが印象に残っています。まずは「今のこの生活は幸せ?」と尋ねたところ、「幸せだよ」という答えが返ってきました。次に「違うところへ行ってしまったお母さんについてどう思う?」と尋ねたところ、「お母さんが幸せなら僕は理解するよ」と答えてくれました。しかし、私が「この生活で一番楽しいことはなに?」と聞いたときに、「新年にお母さんと義理の兄弟に会ったこと」と、教えてくれたのです。これを聞いて私は、ヨハンがお母さんに会いたいと思う気持ちは強いのではいのではないか、と思ったのです。これまで知ることのできなかった、彼の気持ちに触れることができたと思った瞬間でした。

ヨハン、そして家族の皆さん ありがとうございました!

この地域で出会った子どもたちに将来の夢を聞くと、警察官という答えが多く返ってきます。住んでいる地域の他の人を助けたいという思いが、子どもたちに共通する思いのようです。しかし、これはこの世にあるいくつもの仕事から選んだ答えなのでしょうか?そうならば、私は何の心配もすることなく子どもたちを応援したいと思います。私が心配するのは、子どもたちが、様々な仕事を知らないということです。忙しい日々を送り、少ない情報しか手に入れることのできない子どもたちに、その子の興味、得意なことに合った仕事を知ることはあるのでしょうか?将来のことを真剣に考える時間はあるのでしょうか?子どもたちに未来の想像図を描いてもらうことこそ、私たちができる一番の支援なのではないかと思う、今日でした。

高橋叶多

(文章中の子どもの名前はすべて仮名です)

<主催>認定NPO法人国境なき子どもたち(KnK)
<協賛>国際ソロプチミスト東京-広尾、フィリピン航空、オリンパス株式会社
<協力>Dialogue for People、株式会社GARDEN
<助成>公益財団法人三菱UFJ国際財団

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