友情のレポーター(2019)としてフィリピンを取材中の高橋叶多(たかはしかなた/15歳)くんよりウェブ取材レポートが届きました。
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皆さん、こんにちは。2019年友情のレポーターの高橋叶多です。
フィリピンに到着して2日目、初めての取材に向かいました。
子どもたちの希望とは? ~「希望の家を訪ねて」~
まず初めに訪れたのは、「希望の家」という名前が付いている青少年鑑別所です。ここは15歳から18歳の犯罪を犯した子どもたちが生活する場所です。しかし、この年齢の範囲に当てはまらない子や犯罪を犯していないのにもかかわらず連れてこられた場合もあるそうです。
高い柵に覆われた敷地内に入ると『Hello!』と元気な声が聞こえてきました。子どもたちが生活する二階に上がります。すると、『hello,コンニチハ,アニョハセヨ』と、私たちを迎えてくれました。
格子で隔てられた一室に案内されました。まずはKnKフィリピンスタッフのジュンジュンさん一人一人に、名前・年齢・なぜここに来たか・将来の夢を尋ねました。私が一番印象に残ったのは、将来の夢への答え。船乗りや警察官、消防士などと答えてくれました。夢を堂々と話してくれる姿から、この答えには、このような環境下にいながらの全ての希望が詰まっているように感じられました。
「希望の家」では、三人の子どもにインタビューをさせてもらいました。
私がインタビューさせてもらったのは、ロイ君、14歳です。楽しそうにお話ししていて、将来の夢をファッションデザイナーと答えていたのが印象に残っていました。
彼の家庭は崩壊状態だったそうです。ロイ君は、お母さんを亡くし、お父さんが失業してしまうという困難な状況下に置かれました。そんな中で、お父さんを助けたいという思いから、友達が働いているファッション業界に入りたいと思ったそうです。もしできるのならば、学校に通いファッションデザイナーになるための勉強をしたいと教えてくれました。
さっきまでは、こんな悲しみが彼を襲っていたなんて全く考えられませんでした。
他にも、一人の男の子と一人の女の子に話を聞かせてもらいました。
二人は【友だち】について話してくれました。まずは、前に一緒に悪いことをして遊んでいた仲間はもう友だちではないこと。そして、今ともに生活している「希望の家」の仲間の中にも友だちと呼べる人は少ないこと。特に二つ目のことから、この場所で暮らす子どもたちの本音がのぞいたような気がしました。
ストリートフレンド(道路の上の友だち)~ストリートチルドレンを取材して~
夕方にはマニラ圏内で、ストリートチルドレンを取材しました。
私が取材した子どもたちは、昼間は学校へ行かず、家で過ごしたり、ごみを集めてリサイクルショップに売りに行ったりしているそうです。そして、夕方になると友だちと街を歩き回ったりしているようです。この子たちはそうして友だちと遊んでいる時間が一番楽しいのだそうです。一方で、この生活は、楽しくもないし、幸せではないとミッシェルさん(15歳)は教えてくれました。一番幸せなのは学校に行くことだと。
Behind Filipino ..
今日の取材を通じて、出会った子どもたちは笑顔の裏に複雑な思いを抱え込んで生きているのではないかと感じました。今日訪ねた先々でたくさんの子どもたちに出会い、そして彼らの笑顔に触れました。その温かみにあふれた笑顔の裏にはここまでの過程であったり、現状の生活と将来の夢との葛藤…。そのようなものが隠れていたのではないでしょうか。そうだとするならば、私ができることは、たくさんの子どもたちと話すことです。話すことで気持ちが整理できる、新たな視点に気が付くことができる、話したことが実現に近づいたような気がする。全て、私がこれまでの友情のレポーターの準備の中で様々な人と話して起きたことです。だからこそ、フィリピンの子どもたちにも自分のことを話して、そして何かを自分の中で変えてほしいと思います。これから取材を続けていく中でまだまだたくさんの子どもたちに出会うと思います。その時には、今日感じた、笑顔の裏の気持ちを話してもらうことを心に留めて、取材をしていきたいです。
(文中の子どもたちはすべて仮名です)
<主催>認定NPO法人国境なき子どもたち(KnK)
<協賛>国際ソロプチミスト東京-広尾、フィリピン航空、オリンパス株式会社
<協力>Dialogue for People、株式会社GARDEN
<助成>公益財団法人三菱UFJ国際財団
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