2015/01/29
報告:プロジェクト・マネージャー 原 理栄子
KnKが昨年7月よりミャンマーで学校の修繕活動に着手し、10月下旬に工事を開始して約3ヵ月が経ちました。事業地であるカレン州コーカレーは、過去の紛争から逃れ、タイや国内の比較的安全な場所に避難していた人々が帰還すると予測されている地域のひとつです。
より良い学習環境を確保するために
KnKは、学校設備を整備し、帰還民や既にコーカレー地域に暮らす子どもたちにとってより良い学習環境を確保すべく、まず破損や老朽化が深刻な学校6校を対象に修繕活動を実施しました。各学校において、修復箇所はひとつやふたつにとどまらず、校舎の屋根、天井、壁、床、窓や、トイレ、井戸の屋根、フェンスなどの設備を大規模に補修することになったため、修繕後はまるで新しく建て替えられたかのような校舎となった学校もあります。工事前に訪れた際に見かけた、風通しの悪い、湿気のこもる教室で汗をかきながら一生懸命ノートに何かを書いていた子どもたちも、大きな窓や遮熱効果のある天井に変えられたことで、快適な学習環境の下、一層勉強に集中できるようになっています。
自ら教育資金を調達し始めた地域の大人たち
また、修繕活動を進める中で、KnKにとって大変嬉しいできごとがありました。教師やPTAの役員が中心となり、工事によって取り外された古い校舎の廃材を再利用し、敷地内に図書スペースを造ることや、またそれらを売ることで資金を確保し、教育資材の調達に充てる計画がそれぞれの学校で立てられていたのです。実際に、屋根に使用されていた廃材を売ったお金でレンガとセメントを購入し、KnKの修繕対象外の箇所を自らで補修した学校も既にあります。「助けてほしい、あれがほしい、これがほしい、とばかりは言えない。自分たちでできることがあるのであれば、自分たちでやらなくてはいけない」校長先生はこう語ります。
海外(日本)から支援機関が来れば、住民がその援助に依存しがちになってしまうケースも少なくありません。財政が困窮する中で学校側が自分たちでできることは限られています。それでも学校関係者や保護者自らが努力しようとする姿は、KnKにとっても励みとなり、地域と協働で活動を展開できる支援の意義をも見出すことになっています。
地面に座り学習していた子どもたちに真新しい机を提供
KnKが行う子どもたちのための学習環境整備事業は学校設備の修繕だけに限りません。地元の大工に発注し製作された子ども用学習机やホワイトボード、教師用机やキャビネットといった学校用の備品を各校に供与しており、これまで地面に座り古くなった椅子を机代わりに使用していた低学年層の子どもたちも、手作りの真新しい机と椅子で勉強できるようになりました。本棚が破損もしくは不足しており、段ボールを教材入れとして使用せざるをえなかった教師陣からも、整理整頓のできるキャビネットは大変喜ばれています。
支援対象校において修繕工事の全工程が終了する頃には、修繕箇所を中心とした学校設備の維持にかかる研修を実施するほか、子どもたちが授業中に使う学用品、また図書スペースに置くための教材を提供し、引き続き活動を継続してまいります。
※ この活動は、認定NPO法人ジャパン・プラットフォーム助成金(ミャンマー少数民族帰還民支援)の活用ならびに日本の皆さまからのご寄付で成り立っています。
子どもたちを支えるために、あなたのサポートを必要としています
5,000円で、5人の青少年が1ヵ月間、学校に通えます。
国境なき子どもたちへのご寄付は寄付金控除の対象となり、税制上の優遇措置を受けられます。