活動ニュース

アンマンの公立校、ホストコミュニティでの補習授業が再開しました

報告:シリア難民支援 現地事業総括 松永 晴子

アンマンの公立校、ホストコミュニティでの補習授業が再開しました。

9月から新学年で新学期を迎えるヨルダン。9月初頭にあったイスラム教の連休を経て、学校が始まりました。そして、新学期に合わせて補習授業も再開しています。
前年度と同様に、アンマン市内の公立学校内で、シリア人、ヨルダン人を対象に英語、アラビア語、数学の3教科の補習授業とアクティビティを実施しています。また、サンドイッチなどの軽食の配布、スクールバスの運行も始まりました。

9月はまだ暑かったアンマン市内の学校。新しい人工芝が校庭に植えられていました。

夏休みが長いヨルダンでは、6月中旬から8月いっぱい、2ヵ月半もの間、夏休みが続きます。ホストコミュニティの子どもたちは、キャンプに住む難民の人々のようにキャンプ外へ出るのが難しい、という環境ではありませんが、家族の仕事の都合や、金銭面の問題で、どこへ出かけるでもなく家で過ごす子どもたちが圧倒的に多いのが事実です。「おでかけをしたよ」と言う子の行き先は、近くのモールか親戚の家。どこかへ観光旅行する、という話は一度も耳にしたことがありません。
夏の間にも近所のコーラン教室や学習センターへ往って勉強している子どもたちがいる一方、家の働き手として親の手伝いなどをしていた子どもたちも少なくありません。

新学期を迎えた学校で、前年度に補習授業を受講した子どもたちに会うことができました。
どことなく顔つきが大人っぽくなっていたり、ぐんと背が伸びたり、うっすら髭が生えていたり、と変化が見られる子どもたちですが、登録を希望する子どもたちはみな、学校も補習授業も、楽しみにしていてくれました。

カラフルなボールを使ったアクティビティ。新しいアクティビティ・ファシリテーターの先生が張り切ってくれています。

補習授業は4年生から10年生が対象となっています。
内戦は2011年から始まっているので、例えば4年生10歳の子が、2014年までにヨルダンに入国していれば、シリアで学校には通っておらず、ヨルダンで小学校1年生から始めたことになります。つまり、戦争による空白の時間はなく、普通に1年生から学校教育を受けている子どもとなるわけです。
それでも、多くの子どもたちの学力は通常の同じ学年の子どもたちよりも随分と低いのが現状です。
シリア人増加により始まった2部制のために授業時間数が減ってしまったこと、シリア人シフトの教員の質に問題があること、引っ越しが多くて学校に休まず通えなかったこと、など、子どもたちの背景にある原因はそれぞれ違います。
そんな見えづらい背景を抱え、学力、国籍、年齢、すべての要素に違いのある子どもたちで構成された補習授業。国籍別で分けられた2部制の公立学校の中で、どの国籍の子どもたちも一緒に楽しく、心地よく、安全に勉強やアクティビティができる環境を提供することを、大切な目的の一つに掲げて実施してきた補習授業も、今年の9月で4年目に入りました。

補習授業の新学期もアセスメントテスト(学修成果の測定・把握)から始まります。

みんなで円になって、新学期の自己紹介をしている様子。

これまでヨルダン教育省と共に実施してきたノウハウ、現場で子どもたちと接する教員たちの力、子どもたちの勉強したいという意欲、また子どもらしい元気な力を最大限活用して、新学期も支援をしていきます。

子どもたちを支えるために、あなたのサポートを必要としています


50en
 imakihu
KnKへのご寄付は寄付金控除の対象となり、税制上の優遇措置を受けられます。

※ヨルダンの首都アンマン公立校(ホストコミュニティ)におけるKnKの活動は、日本の皆さまからのご寄付と認定NPO法人ジャパン・プラットフォームの助成により実施されています。

関連記事:シリアの戦禍で失われた「学ぶ機会」/カリドさん一家(後編)
関連記事:シリアの戦禍で失われた家族写真/カリドさん一家(前編)
関連記事:難民キャンプを出たシリア難民の子どもたち、その教育環境は?

【ヨルダン(シリア難民支援)活動概要】

寄付する
寄付する
資料請求

カテゴリー

月別アーカイブ